プリキュアR   作:k-suke

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第5話「忘れられたR」

 

 

世間は連休に入り、帰省やら旅行やらをする人々でいっぱいの新幹線のなかに、私こと渚 美里はいた。

 

 

こないだ形の上で保護者になっている親戚から連絡が来たのだ。

 

なんでも、連休なんだから一度ぐらいは近況報告も兼ねて顔を見せに来いというのである。

 

だから今月は仕送りをしない、というのである。

 

結局親友たちに借金を断られたため、あれ以来近所のパン屋でもらったパンの耳と水だけでなんとか生き延びた私に選択の余地はなく、連休に入るや否や列車に乗ったというわけである。(ご丁寧に切符だけは送られてきた)

 

美里「仕方ないか。ここで一人暮らし禁止なんて言われたら、あいつらに復讐できなくなるしね」

 

正直あまり行く気はないが、きちんと一人暮らしができているということを見せておかないと、いつ強制的に親戚の元に引き取られることになるかわからない。

 

ここは我慢だと自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

オーエエドー市郊外 雑木林の洋館

 

 

クジャク「おーい、なーんかいい案思いついたかい?」

 

タバコを吹かしながらどこか色気のある声でクジャクが尋ねたが

 

 

アカンコウ「いーえ、ダメです。全然ダメ。悔しいけどあいつ強いんですよね」

 

アカンコウはため息とともにそう告げた。

 

 

三獣士達は対プリキュアの作戦を練っていた。

 

毎回毎回キュア・インフェルノにやられているとはいえ、大神獣の闇の力を宿したベースアニマルで出撃して破壊活動を行っていることで、大神獣の復活に必要なブラックエナジー自体は多かれ少なかれ収集できている。

 

つまり戦術的に負けてはいるが戦略的には勝っていることになるわけだが、それでもやはり諸手を挙げて喜べない。

 

プリキュアを倒してさえしまえば、もっと効率的にブラックエナジーを集められるのは確かなのである。

 

そのためにどうすればいいかを三人で思案していたが、どうにもいい案が浮かばなかった。

 

そんな暗い空気の中ゴロリンが口を挟んできた。

 

ゴロリン「あの〜わてが思うにはですね…、そもそも戦って勝とうとすることが間違っているのではと…」

 

するとその言葉にアカンコウは反応した。

 

アカンコウ「あーもう。それを認めちゃったら話が進まないでしょ。あんたは頭じゃなくて体使ってりゃいいのよ」

 

 

クジャク「まあまあ、どうせいい考えも浮かばないんだ。一応聞いてやろうじゃないの」

 

クジャクはそう言ってアカンコウを諌め、ゴロリンに続きを促した。

 

 

ゴロリン「あの〜おそらくあいつもこの周辺に拠点があると思います。せやから、わざわざあいつがすぐ来るようなところで戦おうとせず、この街からもっと遠く離れたところでブラックエナジーを収集すればいいのではと…」

 

ゴロリンはおずおずと自分の考えを述べた。すると

 

 

クジャク「何!!」

 

クジャクは声を張り上げ、アカンコウも声を荒げた。

 

アカンコウ「あのね、あんたはスカか! プライドってもんがないのか! ねえクジャク様」

 

 

そう言ってクジャクに同意を求めたアカンコウだったが

 

 

クジャク「スカはお前だ、アカンコウ」

 

アカンコウ「そう、スカは私よ。え?」

 

クジャクの返事に驚いた。

 

 

クジャク「その手があった。何も毎回毎回馬鹿正直にこの近くで暴れる必要はないんだ。プリキュアがそう簡単に来られないどっか遠く離れたところで大暴れすればいい。そうすればブラックエナジーを簡単に大量に収集できる」

 

クジャクは力強く宣言した。

 

アカンコウ「しかし、それは逃げるということになりませんか」

 

クジャク「名を捨てて実を取るとお言い。よーし、そうと決まれば早速行動開始だ!!」

 

アカンコウ・ゴロリン「「イエッサー!!」」

 

 

 

 

 

私は新幹線で三時間ほど揺られ、親戚のいるキノウトキョウト市に着いた。

 

 

美里「えーっと。迎えに来てくれてるとは聞いたけど…」

 

 

「美里、こっちだ」

 

その声に振り返るとおじさんがいた。

 

美里「あっおじさん」

 

このおじさんは、父さんの弟で名前を雄三さんという。

 

格闘技が好きでプロレスやボクシングの観戦が趣味なんだそうだ。

 

それだけに、男の子ができなかったことが残念だったらしい。

 

 

 

雄三「どうだ美里。よかったら明日プロレスでも見に行かんか?」

 

家に向かう途中、車を運転しながら雄三さんはそう言った。

 

美里「またそれ? 会うたびにそれだもん。やれプロレスだボクシングだって」

 

雄三「まあいいじゃないか、お前だって嫌いじゃないだろう」

 

まあそうだ。格闘技に一切興味がなかったら格ゲーなんかやらない。

 

 

美里「しょーがないな。あかねちゃんやおばさんについていくの断られたんでしょ」

 

私は軽くため息をつきながらそう言った。

 

あかねちゃんというのは、今年小学五年生になる私のいとこだ。

 

おとなしい子でありアイドルやタレントには興味のある子だが、格闘技なんかには興味はない。

 

むろん、おばさんもである。

 

雄三「ははは、実はそうだ」

 

 

美里「んもう、そこまでして前に言ってたお気に入りのレスラーを見たいの?」

 

 

雄三「いや、その人は怪我で引退しちゃってな。今は別のレスラーのファンなんだ」

 

美里「ふーん、あっさりしてるね。でもまあそんなもんか」

 

よく話題にのぼるアイドルやタレントだって大体そんなもんである。

 

人気がある時は我も我もと噂もするが、すぐに熱も冷める。

 

むろん根強いファンも多いのは知っているが、一般的な世の中の反応なんてそんなもんだろうと私も思っている。

 

だからこそ、次々に新しいブームやら何やらが起こるのだろうとも。

 

 

美里(でも、そんな風に忘れられた人って今どうしてるのかなぁ)

 

私は、ふとそんなことを考えた。

 

 

 

 

そんな会話をしながら10分ほどして、私たちはおじさんの家に着いた。

 

 

雄三「ただいま」

 

美里「お邪魔します」

 

 

おばさん「美里ちゃん。久しぶり、よく来たわね」

 

あかね「お姉ちゃん、いらっしゃい」

 

久しぶりの出迎えは私にも嬉しいものだった。

 

だから自然と笑みがこぼれた。

 

美里「お久しぶりです、おばさん。あかねちゃんも元気だった?」

 

あかね「うん、元気だったよ」

 

おばさん「あんなことになったけど、思ったより元気そうでよかったわ」

 

世間一般では、私の家族は突然押し入った強盗に殺されたことになっている。

 

まあ、あんな怪物が出たなんて当時は誰も信じてはくれないだろう。

 

 

美里「心配してくれてありがとう。でも元気でやってますから」

 

雄三「まあ、よかったよかった。今日はご馳走を用意してあるから、ゆっくりしなさい。いつもは食事の支度も大変だろう」

 

その後私は、久しぶりに心のこもった手料理を味わった。

 

テーブルを囲む食卓の暖かさに少し涙ぐんだのは内緒だ。

 

 

その夜、私はあかねちゃんの部屋で布団を並べて寝た。

 

 

美里(おじさんたちの優しさが身にしみるなぁ。あったかいよ、ここ)

 

メル「美里、起きてるメル?」

 

夜も更け、あかねちゃんが可愛い寝息を立てたころを見計らって、カバンの中からメルが話しかけてきた。

 

どうせ私にしか声は聞こえないが、私が変な独り言を言っているように見えないように、この時間以外話しかけるなと言っておいたのだ。

(注:美里主観で少々きつめに メル主観で半ば虐待)

 

 

 

美里「なによ。私も眠いんだけど」

 

メル「美里はいつも無理してるメル。ここで暮らしたほうがいいんじゃないかメル」

 

 

その言葉に私は自分でもわかるほど不快感丸出しな声で返事をした。

 

美里「冗談じゃないわ。確かにおじさんたちの優しさはわかるしありがたいわ。でもあいつらへの、大神獣への復讐をやめるつもりはない。絶対に家族の仇は討つんだから」

 

メル「でも…このままじゃ美里がボロボロになっちゃうメル…」

 

メルの言いたいことはわかる。私が戦うことで私みたいな人が増えている。戦うたびに罵倒されていることも含めて、その事実には心が痛む。

 

美里「ボロボロになる? あんたのせいで私の人生はもうボロボロよ。これ以上無くすものなんてないわ。私はこの先どうなろうとも戦い続ける」

 

私は自分を奮い立たせるようにそう言った。

 

メルはそんな私を悲しそうに見つめながらも、それ以上何も言ってこなかった。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

私は雄三さんと一緒にプロレス会館に来ていた。

 

一頻り試合が終わった後、雄三さんは興奮冷めやらぬ声で話しかけてきた。

 

雄三「いやあ、いい試合だったなぁ。美里、お前の感想は?」

 

美里「うん。久しぶりに楽しめたわ」

 

それは本心だった。

 

私は久しぶりに何もかも忘れて、純粋に楽しむことができた。

 

 

雄三「そうか。それはよかった。で、だ」

 

 

雄三さんは真剣な顔つきになって言った。

 

雄三「美里、こっちに引っ越してこないか」

 

美里「え?」

 

雄三「友達と別れたくないという気持ちはわかる。だがな、なんとなく無理をしてるような気がしてな。お前はまだ中学生なんだ。大人にもう少し甘えてみろ。それに、あの街は最近物騒じゃないか。わざわざそんな危ないところで一人で暮らす必要もあるまい。なにかあったら大変だぞ」

 

私はやっぱりそういう話が来たかと思った。

 

別に雄三さんたちと暮らすのが嫌なわけではないし、私のことを本気で心配してくれているのはわかる。

 

でも、私にはやるべきことがある。だからこそあの街を離れることはできない。

 

のだが、本当のことは言えない。

 

だから私は昨夜考えたそれっぽい理由を口にした。

 

美里「ありがとうおじさん。でも、私あの街を離れられないよ。おじさんたちと暮らすのは楽しいだろうけど、そんなことしてると父さんや母さんや亮太のこと忘れちゃいそうでそれが怖いの。辛いことは忘れろって言うけど、忘れちゃいけないものもあると思うの。だから…」

 

かなり苦しい言い訳とは思うが、この説明におじさんはひっかかるところはあるようだが納得してくれた。

 

 

 

その頃

 

 

クジャク「やれやれやっと着いたかい。ここまで来ればそうそうあいつも来れないだろうね」

 

アカンコウ「はい、途中で追いつかれないようにわざわざ新幹線使いましたからね。早速ベースアニマルの準備をしますよ。おいゴロリン」

 

そう言ってアカンコウはゴロリンを呼んだが返事がなかった。

 

 

不審に思い見てみると、ゴロリンは何かを睨むように見つめていた。

 

アカンコウ「おい、返事ぐらいしろっての。何見てんのよ一体? ん?」

 

みると視線の先にあったのはプロレスの宣伝ポスターだった。

 

アカンコウ「何アンタこんなんに興味あるの?」

 

クジャク「まあ、気持ちはわかるけどね。まずはやることやってからだよ。そもそも作戦の発案者はお前なんだから」

 

 

するとゴロリンはすさまじい怒声をあげた。

 

 

ゴロリン「冗談じゃないでまんねん!! こんなもんに興味は微塵もないでまんねん!!」

 

その怒声に二人は驚いた。

 

クジャク「わ、わかったってば」

 

アカンコウ「何もそんなに怒んなくてもいいでしょう」

 

ゴロリン「わかってくれればいいでまんねん。さあベースアニマルの準備でおま」

 

 

アカンコウ「はいはい、ポチッとな」

 

そう言ってアカンコウがリモコンを操作すると、巨大なメカが闇の力で目の前に転送されてきた。

 

 

そのメカに乗り込みながら、ゴロリンは思った。

 

ゴロリン(ふん。あんなもんにもう興味はない。たった一瞬の為になんもかんも犠牲にするなんてくだらんでおま。それはわてが嫌というほど知ってるでまんねん)

 

 

 

 

 

ゴロリン、当たり前のようにこれも彼の本名ではない。

 

彼は子供の頃から力の強い少年だった。

 

勉強は苦手だったが、体育の時間などではヒーローであり、彼の自慢でもあった。

 

長じて彼はプロレスラーになった。

 

体力が自慢だったからという安直な理由だったが、その強さから一躍人気レスラーの道を歩みはじめた。

 

雑誌のインタビューやCMの出演なども行い、彼は得意の絶頂であり、熱狂的なファンも数多くいた。

 

美里のおじ、雄三もまたそんなファンの一人だった。

 

 

 

そんな時、彼の人生は大きく狂うことになった。

 

ある時道を歩いていると、たまたま車に轢かれそうになっている少年を見つけ、とっさに飛び込んでその少年を助けた。

 

結果、その少年は助かったものの彼の代償は大きかった。

 

その時に代わりに車にひっかけられ、膝に大きなダメージを負ってしまった。

 

リハビリの結果、日常生活は支障なく行えるようになったものの、レスラーとしては再起不能になり引退を余儀なくされた。

 

すると、今までちやほやしていた連中は手のひらを返したように冷たくなり、すぐに次の話題へと飛びついた。

 

あれほどいたファンもたちまちいなくなり、通っていたジムでコーチをやろうとしたが、人に物を教えるのは不向きだということで解雇された。

 

 

一時の名誉とともに彼は人生の全てを失ったのだ。

 

その後新たな仕事を探そうにも、まともに働いたこともなかった彼は事務職につくこともできず、体をつかう仕事もどこかプライドが邪魔をしてしまう。

 

ついには住む家もなくし、その日の糊口をしのぐこともままならなくなってしまった。

 

(なんでこんなことになりまんねん。わてはなんも悪いことはしてへん。それやのに、この世界はわてのことなんか忘れてもうたみたいになってる。わてが助けたあの少年もお礼の手紙を一度よこしただけ。わてがこんなことになってるなんて知りもせんのやろ。この世界の理不尽さと身勝手さは我慢ならん)

 

冷たい風の吹く中、ガード下で小さくなりながら彼はこの世界を恨んでいた。

 

 

そんなどん底の中、黒いモヤのような物が現れ、彼に話しかけてきた。

 

 

「そうだ、この世界は身勝手なものだ。今こうして存在しているのがなぜなのかを知りもせず、身勝手に暮らすもので溢れているのだ」

 

 

彼はその言葉に返事をした。

 

「そうやこの世界は勝手すぎる。いっそめちゃくちゃにしてやろうかもう。ん?だれでおま?」

 

 

その疑問に答えるように、彼の周りの黒いモヤはなんとなく動物を思わせる形になった。

 

 

「我は大神獣。かつて理不尽な仕打ちを受け、存在さえ忘れ去られたもの」

 

 

ゴロリン(あの日わては誓った。こんな理不尽な世界に復讐してやると!!)

 

 

 

 

 

キノウトキョウト駅前

 

 

 

あかね「じゃあねお姉ちゃん。また来てね」

 

美里「またねあかねちゃん。おじさんたちもありがとうございました」

 

私はお礼を言うと、駅のホームへと向かっていった。

 

みんなの暖かさには心から感謝している。でも、今の私にはそれよりも優先することがある。

 

美里(とても暖かかった。でも、今の私はこれに甘えられない…)

 

 

そんなことを考えていた時、アナウンスが聞こえてきた。

 

「お客様に申し上げます。沿線で巨大なロボットが暴れております。そのため列車のダイヤが大幅に乱れておりますことをお詫び申し上げます」

 

 

そのアナウンスを聞いた私は、頭に血が昇るのを感じた。

 

美里「あいつら…なんでこんなところにまで…!!」

 

こんなところで暴れればおじさんたちに危害が及ぶかもしれない。

 

そんなことは絶対にゴメンだ。

 

 

 

 

私は人気のないところに行くと、バッグの中でぐうぐう寝ていたメルを引きずり出して叩き起こした。

 

 

美里「何をぐーすか寝てるの!! 早くしなさい!!」

 

 

メル「わかったメル…」

 

メルは目をこすりながらスマホに変身した。

 

その態度に地面にこいつを叩き付けてやりたくなったが、ぐっとこらえて鍵の形のアプリをタッチした。

 

美里「プリキュアマスクチェンジ!!」

 

次の瞬間、私は赤い光とともに深紅のドレスに身を包んでいた。

 

そして、赤い仮面を装着して変身を完了した。

 

 

 

 

 

一方、新幹線の沿線ではウサギを人型にしたような巨大ロボットが暴れていた。

 

ピョンピョンと飛び跳ねては、家や車を踏み潰していた。

 

 

アカンコウ「いやあ、このウサギ型メカのジャンビットはいい調子ですよ。これだと一気に大神獣様も復活させられるんじゃないでしょうか」

 

クジャク「うーん。邪魔者がいないとここまで効率的にことが運ぶとはねぇ。ゴロリン、お前のアイディアはなかなかじゃないか」

 

アカンコウ「そうそう、体力だけかと思ってたけど、結構頭も回るじゃない」

 

 

ゴロリン「うへへ、ありがとうございます」

 

珍しく褒められたゴロリンはいい気分だった。

 

 

そうして、ニヤつきながらふと前を見ると何か空に光るものが見えた。

 

ゴロリン「ん? なんか光りませんでしたか?」

 

クジャク「あのね、なんのためにはるばるキノウトキョウトまできたと思つてんだい。いいんだよそれは」

 

アカンコウ「そうよ。ワンパターンはいい加減にしないと飽きられるのよ」

 

ゴロリン「でもほら、あれは鳥やおまへんか」

 

ゴロリンの指差した先は、確かに何か光るものがあった。

 

 

するとアカンコウはため息まじりに言った。

 

アカンコウ「んもう。どうしてもやりたいの? そんじゃ飛行機だ…」

 

クジャク「プリキュアだー!! な〜んてそんなわけないだろ。来るにしてもこんな早くさ」

 

アカンコウ「そうそう」

 

そんな会話をしている間も、光はだんだん大きくなってき、その正体に気がついたときはすでに遅かった。

 

 

 

アカンコウ「でー!! 本当にプリキュアだー!!」

 

クジャク「なんて憎ったらしい!! わざわざこんなところまで、しかもこんなに早く!!」

 

 

 

 

インフェルノ「本当にいた。なんて憎らしい奴らよ!! わざわざこんなところまで来て!!」

 

私は街中で暴れている巨大ウサギ型メカを確認すると舌打ちまじりにそう呟いて着地した。

 

そしてそのロボットを、憎しみを込めた目で一睨みすると名乗りを上げた。

 

 

インフェルノ「地獄からの使者 キュア・インフェルノ!!」

 

 

 

コックピットの中でアカンコウは慌てていた。

 

アカンコウ「うわーまずいなー!!」

 

その口調にクジャクも慌てて尋ねた。

 

クジャク「ど、どうしたんだい? え?」

 

アカンコウ「プリキュアがこんなとこまで来ないと思ったから、対プリキュア用の武器を用意してないんですよ」

 

クジャク「何!?」

 

 

 

インフェルノ「ハァァァァ!!」

 

私は名乗りをあげると同時に、目の前のウサギ型メカに向かっていき、強烈なパンチで殴り倒した。

 

そしてそのまま一方的にラッシュを浴びせた。

 

インフェルノ「何? 図体がでかいだけなのかしら?」

 

まるで抵抗してこない目の前のメカに私はいささか拍子抜けしていた。

 

 

インフェルノ「まあいいわ、このまま一気にとどめよ!!」

 

 

 

必死に起き上がろうとしているウサギ型メカジャンビットのコックピットではアカンコウがヤケクソ気味に叫んだ。

 

アカンコウ「えーい! もうこうなりゃ破れかぶれよ!!」

 

 

アカンコウのその叫びとともに起き上がったジャンビットは、なりふり構わずキュア・インフェルノに突撃した。

 

 

しかし、そのあまりにも直線的な突撃はあっさりかわされた挙句、足を攻撃され倒されてしまった。

 

インフェルノ「こんのー!!」

 

そしてインフェルノは倒れこんだジャンビットを重量上げの要領で持ち上げると大きく投げ飛ばそうとした。

 

 

 

そんな時、アカンコウたちはコックピットの中で逆さまになりながらもチャンスと判断した。

 

アカンコウ「しめた! この体勢のまま自爆装置の安全スイッチを解除すれば勝てるよ。ポチッとな」

 

アカンコウがスイッチを押すと、ジャンビットは突然赤く光りだした。

 

 

当然そのことに最も異変を感じたのはキュア・インフェルノだった。

 

 

インフェルノ「!! なんか危ない!! プリキュア・ヘル・バックファイア!!!」

 

 

そう叫ぶと、私は全身から強烈な高熱を放射した。

 

 

すると、自爆寸前だったジャンビットはその高熱で誘爆し跡形もなく吹き飛んだ。

 

もちろん、この爆発で半径数百メートル近くが焼け野原になったことはいうまでもない。

 

 

そして、爆発の中心部にいた私だが、自分の発した高熱がバリヤー代わりとなり無傷で済んだ。

 

 

 

 

 

 

あの戦いの後、私は三時間遅れで発車した新幹線の中にいた。

 

 

美里(さっきの戦いで起きた爆発に巻き込まれて、また何台かの車も壊したし家も燃えた…。そのせいで列車もさらに遅れて、多くの人の迷惑になっている…。こんな私に誰かと一緒にいるなんて許されるわけない…)

 

私は自分の復讐に多くの人を巻き込んでしまっていることを悔やみながらも、自分の生き方を変えられないことに悩んでいた。

 

すると、車両の前の方で口論する声が聞こえてきた。

 

喧嘩かと思ったが、どこかその口調は楽しそうであり今の私には羨ましく思えた。

 

美里(いいなあ。あんな風に楽しそうに喧嘩ができるって。きっといい人達なんだろうなぁ)

 

そんな人たちを傷つけることしかできないのかと思うと、私はなおさら心が痛んだ。

 

 

 

一方、その車両の前方では

 

 

 

クジャク「解説のゴロリンさん。今回の敗北の原因はどういうわけか解説を願えませんか?」

 

ゴロリン「はい、実況のクジャクさん。理由は極めて明確でまんねん。わてらが弱かった、ただそれだけでおま」

 

クジャク「なるほど、では同じく解説のアカンコウさん。一体これからどうなると思われますかね」

 

アカンコウ「そうですね、おそらく今あなたは怒りのぶつけどころを探していて、とりあえず私らを殴る。まあそんなところでしょうよ」

 

クジャク「大正解!!」

 

そのセリフとともにクジャクは二人を殴った。

 

 

 

ゴロリン「くう、痛いでまんねん。傷口を殴るから」

 

アカンコウ「何よ。そもそもあんたがくだらない作戦立てたからでしょ。こんなところにいてもすぐにあいつが来るなら、結局どこにいても同じじゃない。体だけ使ってりゃいいのにたまに頭使うからこんなことになるのよ」

 

ゴロリン「何を言うてまんねん。メカに武装も付けなかったアカやんのせいでもありま。ウサギ型メカってなんですねん。大体あんなクソみたいなチームのもんをモチーフにするから!!」

 

クジャク「えーい! 訳のわからん討論をすんな!! どんぐりの背比べ、五十歩百歩、目くそ鼻くそだっての」

 

ゴロリン「なんですか、わての考えに乗り気だったのはクジャク様です」

 

アカンコウ「そうよ、私は反対したのに無理やり賛成したんでしょ」

 

クジャク「なんだって私のせいだっていうのかい!?」

 

かくして、ボロボロになった三獣士の不毛な水掛け論が続いていた。

 

そんな中でも、ゴロリンは心の中では嬉しかった。

 

ゴロリン(全く、あんなどん底に落ちたわいがこんな風に喧嘩できる仲間に会えたのも大神獣様のおかげでおま。感謝しとります)

 

 

 

 

 

プリキュアR(リベンジャー)第6話に続く。

 

 

 

 

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