プリキュアR   作:k-suke

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第6話「R達の夢」

 

オーエエドー市内 某所

 

 

車が行き交う大通り。クラクションの音が鳴り響き道行く人の喧騒が聞こえてくる。

 

ここに、一軒のラーメン屋があった。

 

こんなご時世にもかかわらずそこそこ繁盛している店で、リピーターも多い。

 

そこの従業員の休憩室にアカンコウとゴロリンがいた。

 

 

アカンコウ「なんだろうねぇ。こうして平和な町並みを見ていると何もかもが遠のいていくような気がしてくる。復讐か。考えてみれば実にくだらんよ」

 

アカンコウは吐き捨てるようにそう言った。

 

 

アカンコウ「私はね、最近思うのだよ。メカの開発資金の足しにと思って始めたラーメン屋のアルバイトだがね。このままここで働き続けようかと…」

 

ゴロリンはその言葉に驚いた。

 

ゴロリン「アカやん! 何を!?」

 

 

しかし、アカンコウはそれを遮るように続けた。

 

アカンコウ「まあ聞け。確かに俺たちはこの世界の理不尽さに全てを失い、復讐を誓った身だ。でもな…現実はどうなんだよ!!」

 

 

その言葉に二人の脳裏には、復讐者として戦いを始めてからこっちのことが思い浮かんだ。

 

それは同時にキュア・インフェルノとの戦い、すなわち連戦連敗の記憶でもあった。

 

それを思い返したゴロリンの気持ちも沈んでいき、アカンコウも悔しそうに続けた。

 

アカンコウ「惨めな敗北に次ぐ敗北。それも、この世界の辛さも、頭を押さえつけられて泣いてるやつの涙の味も知らんような小娘相手にだぜ」

 

 

そう言うとアカンコウは椅子から立ち上がり、シャツをめくった。

 

するとそこには包帯が巻いてあった。

 

 

アカンコウ「それに見ろ。こないだキノウトキョウト市で戦った時の怪我がまだ治らんのよ。もう若くはないんだ。やったやられたの生活はほとほと疲れ果てたよ」

 

そうため息まじりに言うと、どこかしみじみと続けた。

 

アカンコウ「俺の未来。偉大な科学者として、この空に燦然と輝く星のようになると夢見たこともある。だがな、都会の片隅にひっそりと咲き、道行く人々の心をふと和ませる。そんな小さな花のような生き方もありなんじゃないかと思わんか」

 

その時休憩時間終了を告げるタイマーが鳴った。

 

 

アカンコウ「真面目に頑張れば、小さな店ぐらいは持てるかもしれねぇよ。まあ、ちょっと考えてみてくれ」

 

そうゴロリンに告げるとアカンコウは厨房へと向かっていった。

 

そんなアカンコウにゴロリンは何も言えなかった。

 

 

 

アカンコウ「遅くなりました」

 

そう言いながらアカンコウが厨房に戻り、皿洗いを始めようとすると

 

 

店長「あ、もういい。バイト代は出すから今日はもう上がれ」

 

突然のことにアカンコウは驚いた。

 

アカンコウ「えっなんでですか!?」

 

店長「奥さんが迎えに来てるぞ、家出はいかん家出は」

 

その言葉に振り向くと、そこには険しい顔をしたクジャクがいた。

 

クジャク「見つけたぞ。二人とも戻ってこい!!」

 

 

 

 

 

 

オーエエドー市郊外 雑木林の洋館

 

 

クジャク「ったくもう。突然帰ってこなくなったと思ったら、あんなところでバイトだなんて、ハタから見ても情けないと思わないのかい、え?」

 

クジャクが二人相手に怒鳴り散らしていた。

 

クジャク「全く、進歩というものがお前にはないのか!! 現実逃避している暇があるなら、どうすればプリキュアを倒せるかに頭を使え!! ほら!!」

 

一方的に怒鳴られる中、アカンコウの目には涙が浮かび始めていた。

 

 

ゴロリン「クジャク様、ちょっとそれは言い過ぎでは…」

 

クジャク「お前は黙ってろ!!」

 

見かねたゴロリンが口を挟むもクジャクは一蹴した。

 

 

 

アカンコウ「クジャク様」

 

アカンコウは意を決したように言った。

 

クジャク「ん? なんだい?」

 

アカンコウ「よっくわかりました。全ては私の不徳の致すところです。今までお世話になりました」

 

そう告げるとアカンコウは深くお辞儀をした。

クジャク「何言ってんだい?」

 

アカンコウ「今日限りで私はカタギに戻ります」

 

 

クジャク「え゛?」

 

 

一瞬の沈黙の後

 

 

 

クジャク「ばっかもーん!!」

 

 

洋館が揺れるほどの大声に、アカンコウはひっくり返った。

 

 

クジャク「お前というやつはお前というやつは、バカだとは思ってたけどここまでバカだったとは。親の心子知らずならぬボスの心部下知らずというかもう」

 

 

クジャクは、そうして息が切れるほどひとしきり怒鳴ると少しは落ち着いた。

 

 

クジャク「はあはあ。もういい、とりあえず今回のことは許してやるから、大至急出撃準備だ」

 

 

しかし、アカンコウはあくまで自分を曲げなかった。

 

 

アカンコウ「お断りします。例え連載打ち切りになろうとも私は断固としてカタギに戻りラーメン屋となります!!」

 

そう言ってそっぽを向いてしまった。

 

 

その態度にクジャクの怒りが再燃し、肩をブルブルと震わせた。

 

その空気を察したゴロリンが二人の間に割って入った。

 

 

ゴロリン「クジャク様、わてが言って聞かせるでありますから。アカやんも意地を張らずに、ね、ね」

 

 

しかし、クジャクの怒りは収まらなかった。

 

 

クジャク「えーい情けないにもほどがある!! あの時の復讐の誓いはどこへ行った!!!」

 

アカンコウ「うるせー!! こんなに連敗続きで復讐もくそもあるか!! まともな生活しようと考えて何が悪い!! そもそもお前のせいだろうがこのヘボリーダー!!!」

 

 

クジャク「黙れ!! 負け続きなのはお前のメカのせいだろうが!! 責任転嫁するんじゃないよ!!」

 

アカンコウ「だからもうやめてやるって言ってんだよ!! もうほっといてくれよほっといて!!」

 

 

ゴロリン「ちょっと二人とも落ち着くでまんねん!!」

 

口論はヒートアップし、今にも取っ組み合いが始まりそうな中、ゴロリンが必死に割って入ったが焼け石に水だった。

 

 

クジャク・アカンコウ「「邪魔だ!! すっこんでろー!!」」

 

 

その怒鳴り声とともにゴロリンは二人から突き飛ばされた。

 

 

 

 

クジャクのリーダーシップとアカンコウの意地をかけた激しい対立。

 

かくして、この三獣士結成以来の最大の危機を前に、ゴロリンの必死の説得工作が行われたのであった。

 

 

 

 

 

ネローべ中学校

 

 

私は放課後の教室で一枚の紙を前にして、暗い気持ちで席についていた。

 

 

美里(進路調査か…、今の私に何を書けっていうのよ…)

 

 

私はそう呟きながら、数時間前のことを思い出していた。

 

 

理香「ねえ、進路ってどこにするの? 私はブナンナ高校にするつもりだけど。あそこ結構部活に力入れてるから楽しそうだし」

 

久美「私はイイトコ学園かな。あそこカッコイイ男子が多いっていうし。偏差値高いけどまあ努力すれば圏内かなって」

 

理香「ったくミーハーなんだから。雪菜は音大の付属高校だったっけ」

 

雪菜「うん。やっぱりピアニストになりたいから。それがダメでも音楽に関わる仕事がしたいなって。それならやっぱりね」

 

 

久美「ふーん。ねえ美里は…ってゴメン」

 

そこで急に空気が暗くなったので、私は取り繕うように明るい声を出した。

 

美里「いいっていいって。こっちにいるのは中学卒業するまでって約束だし。それまででもみんなと一緒にいられてよかったよ、ホント」

 

 

でも、正直私はみんなが羨ましくて仕方なかった。

 

みんなは大なり小なり目標というものを持っている。

 

私だってないわけではないが、それは…

 

 

美里(あいつらを皆殺しにして…家族の仇を討って……それから……どうするんだろう……)

 

 

童話の猿蟹合戦なら、蟹の子は猿を退治してめでたしめでたしだった。

 

あの後蟹の子がどうなったか知らないけど、蜂や栗や臼と仲良く暮らせたかもしれない。

 

でもそれは、蟹の子が一人で仕返しをしなかったからだ。

 

でも私は違う。

 

渚 美里としては、家族を殺された女の子としてみんなからある程度の同情はしてもらえるし、友達や親戚と仲良く暮らせたかもしれない。

 

 

でも私はただ一人で仮面をかぶることにした。

 

復讐者という仮面を。

 

復讐ができればそれでいいと、なりふり構わず戦った。

 

 

結果、その仮面の戦士は世間からは疫病神呼ばわりされている。

 

駅前でキュア・インフェルノ被害者の会による排斥街頭演説なんかも時々行われているぐらいである。

 

仮面を身につけたことに後悔はないが、どうしても、復讐を終えましためでたしめでたし、まる、といったことが自分でも想像できないのだ。

 

 

美里(私には…どんな未来を、夢を見ることができるんだろう…)

 

こうして思うと私は孤独なんだということが、いや、孤独になってしまったということが嫌でも身にしみた。

 

 

 

 

 

オーエエドー市郊外 雑木林の洋館

 

 

 

この洋館の地下室で、アカンコウが鼻歌交じりにベースアニマルの最終調整を行っていた。

 

そんなアカンコウにゴロリンが近寄った。

 

アカンコウ「おう、ゴロリン。そのケーブルはそこに繋いどいてくれ」

 

ゴロリン「わかったでまんねん」

 

そうして一緒に作業をしていると、アカンコウが尋ねた。

 

アカンコウ「おい、今度の出撃でプリキュアを倒せたら、大神獣様からもらってる資金の一部をラーメン屋の開店資金に回してくれるっていうクジャク様の話、本当なんだろうな?」

 

 

その質問にゴロリンは胸を叩いてにこやかに、そして力強く言った。

 

ゴロリン「もちろんでまんねん」

 

 

アカンコウ「そーかそーか♪」

 

ゴロリンのその返事に気を良くしたアカンコウはさらに張り切ってメカの調整を続けた。

 

 

 

 

 

一方ゴロリンは、ため息まじりにクジャクのところへと行った。

 

 

 

ゴロリン「クジャク様。出撃準備が整ったでおます」

 

 

その言葉にソファーに座っていたクジャクも気合を入れて立ち上がった。

 

クジャク「よし、行くかい」

 

 

そしてクジャクはゴロリンに尋ねた。

 

クジャク「で、だ。今度の出撃でプリキュアを倒せたら、バカな妄想をきっぱり吹っ切るっていうアカンコウの決心、本当なんだろうね?」

 

 

その質問にゴロリンは胸を叩いてにこやかに、そして力強く言った。

 

ゴロリン「もちろんでまんねん」

 

クジャク「そーかそーか♪」

 

 

ゴロリンのその返事に気を良くしたクジャクは弾む足取りで地下室へ向かった。

 

 

 

一人残されたゴロリンは、肩を落とすとため息とともに呟いた。

 

ゴロリン「あーあ。どうなっちゃうんだろうなぁ…」

 

 

 

 

 

通学路

 

 

 

私は一人トボトボと街中を歩いていた。

 

元々、私はやりたいことというものが特になかった。

 

ただ、家族や友達と毎日を楽しく過ごせればそれでよかった。

 

だから、それを奪われた時に目の前には憎しみしか残らなかった。

 

そして、この憎しみは私の中から消えなくなってしまった。

 

 

 

 

例えば今、実に楽しそうに笑いながら歩いている家族連れが目に入った。

 

お母さんと小さな子供であり、夕食の買い出しにでも行っていたのだろう。

 

そして、今夜は家族で暖かい夕飯を、楽しく食べるのだろう。

 

 

それを想像しただけで、私の中からそれを奪ったやつへの憎しみが燃え上がったぐらいである。

 

 

 

そして同時に、どこか虚しさを感じ始めている自分にも気づいていた。

 

 

この先も私は復讐を続ける。でもその先は…。

 

結局振り出しに戻ってしまう自分がだんだんわからなくなってきた。

 

 

その時カバンの中でメルが震えだしたのがわかった。

 

途端に、今まで悩みでいっぱいだった頭が急にクリアになるのを感じた。

 

美里「メル!! あいつでしょ行くわよ!!」

 

私はメルを鞄から引きずり出すと怒鳴りつけた。

 

 

 

 

美里「ほら!! 早くしなさい!!」

 

 

メル「美里、もうこんなことは…」

 

メルは何か言いかけたが、私はそれを無視してメルを締め上げた。

 

 

美里「は・や・く・しろっての! 聞こえた!?」

 

 

その態度にメルは何も言わず、スマホに変身した。

 

 

 

美里「プリキュアマスクチェンジ!!」

 

 

 

 

 

 

オーエエドー市内 某所

 

 

今ここでは、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されていた。

 

巨大なライオンを思わせる真っ白なロボットが、その爪で片っ端から建物を引き裂いて、体当たりで破壊していた。

 

その瓦礫から人々は逃げ惑うことで手いっぱいになっていた。

 

 

 

クジャク「うーん。アカンコウ、いい調子じゃないかい。今日は気合い入ってるね〜」

 

なかなかの調子にクジャクがアカンコウを褒めていた。

 

アカンコウ「もちろんですよクジャク様。このライオン型メカのレオライナーの力を見ていてくださいね」

 

その言葉にアカンコウも気を良くして、ほくそ笑んていた。

 

アカンコウ(くくく、これで店が持てるよ。やったね〜)

 

 

クジャク(やれやれ、これで脱落者を出さずに済むわ)

 

 

そんな二人の笑顔の裏の危うさを知っているゴロリンは、不安丸出しといった顔をしていた。

 

 

クジャク「アカンコウ、これからも仲良くやっていこうね」

 

アカンコウ「はい、クジャク様。店のオープンの時は是非来てくださいね。腕振るいますからね〜」

 

クジャク「ん? なんだって」

 

 

その会話にゴロリンは冷や汗が噴き出していた。

 

 

 

その時、ゴロリンは天の助けというようなものを感じた。

 

空に何かが光ったのだ。

 

ゴロリン「あっ鳥だ!!」

 

ゴロリンはそれを指差して叫んだ。

 

 

アカンコウ「飛行機だ!!」

 

アカンコウもお決まりのフレーズとともに叫んだ。

 

そしてクジャクも続けようとしたが、

 

 

アカンコウ「ねぇ、このフレーズもう古いと思いません? 原作コミックスの初版が1939年だから、もう80年ぐらい前のやつなんだよ」

 

ゴロリン「そうですな。大体今はもちろん当時も鳥や飛行機なんて驚くもんやおまへんしな」

 

 

その言葉に調子を崩した。

 

 

クジャク「古くたってなんだって、いいものはいいの!! もう!!」

 

 

アカンコウ「じゃ、せめて少し今風にアレンジしましょう。あっスカイフィッシュだ!!」

 

ゴロリン「北の国から飛んできたテポドンだ!!」

 

 

 

クジャク「いや、スーパーマンだー!!」

 

 

 

その言葉にアカンコウたちは盛大にこけた。

 

 

アカンコウ「やってられっかっての。早くラーメン屋さんになろう」

 

 

 

 

 

 

私は目の前で暴れているライオン型メカを見て、あの日のことがフラッシュバックした。

 

大神獣という何よりも憎い仇。それによく似た姿をしているメカを見て、私はそれ以外何も目に入らなくなった。

 

そして着地するや否や、憎しみを込めて名乗りを上げた。

 

 

インフェルノ「地獄からの使者 キュア・インフェルノ!!」

 

 

 

 

 

インフェルノの姿を見ると、クジャク達は真剣な顔になり、気合を込めた声を出した。

 

クジャク「来たなプリキュア。戦闘開始だ!!」

 

アカンコウ「ラジャー!!」

 

 

クジャク(負けられない! 今回だけは負けられない!)

 

アカンコウ(勝つぞ! 勝って俺の店を持つんだ)

 

 

アカンコウ「行くぞプリキュア!! 男アカンコウの夢をかけた一戦だ!! 何が何でも貴様を倒す!!」

 

クジャク「仲間を貴様の為に失うことがあってたまるか!!」

方向性にはかなりズレがあるものの、三獣士の士気はかなりのものだった。

 

 

街中に響くかと思われる遠吠えと共に、ライオン型メカのレオライナーはインフェルノに向かっていった。

 

 

 

ライオン型メカは、鋭い爪を振りかざし向かってきたが、怒りで頭の中がいっぱいだった私には恐怖も何もなかった。

 

インフェルノ「ハアアア!! プリキュア・ヒート・カッター!!」

 

 

右手を上げて手刀を振り下ろすと、私の右手から半月状の炎の刃が飛んでいき、ライオン型メカの前足を爪ごと焼き切った。

 

 

 

 

アカンコウ「なんの!! たてがみミサイル発射!!」

 

アカンコウの叫びとともに、ライオンメカのたてがみがミサイルとなって雨あられとインフェルノに襲い掛かった。

 

 

 

インフェルノ「ふん、こんなもの!!」

 

私は次々襲いかかるミサイルを全てかわして、一気にライオンメカの懐に入り込んだ。

 

ミサイルの流れ弾があちこちに着弾したようだったが、なりふり構わずパンチを浴びせた。

 

そうして、体勢が大きく崩れたのを見計らって渾身の回し蹴りを放った。

 

 

その一撃にライオンメカは大きく吹き飛んだ。

 

 

 

アカンコウ「くそうくそう。負けてたまるか!!」

 

クジャク「そうだ!! 行けアカンコウ!!」

 

 

アカンコウは操縦桿を必死に動かし、ライオンメカでインフェルノに突撃していった。

 

 

インフェルノ「何!? 妙にやる気ね。まあいいわ、こっちだってね!!」

 

私は両手を大きく振りかぶると、イライラをぶつけるかのように炎の塊を叩きつけた。

 

インフェルノ「くたばれ!! プリキュア・インフェルノ・バースト!!」

 

そうして、直撃を受けたライオンメカは真っ赤に燃え上がった。

 

 

 

ゴロリン「もうあきまへん。脱出を!!」

 

ゴロリンのその叫びに、クジャクとアカンコウは悔しそうに脱出した。

 

アカンコウ「チクショー!!」

 

クジャク「こんなことになるなんて…!!」

 

それと同時に、ライオンメカは大爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

インフェルノ「はあはあ…」

 

私は興奮状態のまま、肩で大きく息をしていた。

 

すると突然

 

 

「このやろう!!」

 

後ろから何かで頭を殴られて倒された。

 

倒れたまま、頭を押さえながら振り返るとそこには凄まじい形相の人たちがいた。

 

 

 

「今日という今日は許さねえぞ!!」

 

「いつもいつも街中で暴れやがって!!」

 

「ここは、私たちの夢が詰まった場所なの!! それを壊すことがそんなに嬉しいの!? 一体いつまでこんなことを続けるんですか!!」

 

 

今となってはいつものことではあるが、今日の私は特に機嫌が悪かった。

 

夢などという単語を聞いてしまったから…。

 

 

インフェルノ「うるさい!! あいつらが出てくるからそれを倒してるだけよ!! 何も知らないあんたたちにうだうだ言われる筋合いはないわ!!」

 

そう怒鳴りつけると、私の体は真っ赤に燃え上がった。

 

「うわっ」

 

「アチチッ!!」

 

私を取り囲んでいた人たちは、その熱に驚いて後ずさった。

 

それと同時に私は、怒りを必死に抑えるかのように火の玉になって飛び立った。

 

 

「卑怯者!!」

 

「また逃げるのか!!」

 

そういった数々の罵声に見送られながら。

 

 

 

 

オーエエドー市郊外 雑木林の洋館

 

 

アカンコウ「くそう、くそう。俺の夢が…」

 

アカンコウが悔し涙を流しながらそう呟いていた。

 

クジャク「まあ、まだ次がある。頑張ろうね」

 

クジャクはそう言ってアカンコウを慰めた。

 

クジャク(やれやれ、また負けたけどこれでなんとかアカンコウのやつは抜けたりしないだろう。まずは良かった)

 

アカンコウ「クジャク様…」

 

アカンコウ(くう、暖かいじゃないか。変な意地を張った俺がバカだった…)

 

 

 

そんな二人を見ながら、ゴロリンはホッとしていた。

 

ゴロリン(ふう、なんとか丸く収まったでまんねん。またみんなで仲良くやれそうで何よりでおま)

 

 

 

クジャク・アカンコウ・ゴロリン(復讐をやめる気はないけれど、こうやって三人でいるのもいいもんだなぁ。三人でいい夢を見よう)

 

三人はしみじみとそう思っていた。

 

 

 

 

 

渚家

 

 

 

私は、家の中でめちゃくちゃに荒れていた。

 

漫画や食器を片っ端から投げつけ叩きつけ、家の中はめちゃめちゃだった。

 

 

美里「はあはあ、くそくそくそ!! 夢が何よ!! 未来が何よ!! そうよそんなものはどうだっていい!! 私の目的は復讐!! そのためなら、一人ぼっちになろうが未来なんかなくなろうが、もうどうだって構うもんか!!」

 

 

私は自分を奮い立たせるようにそう叫んだ。

 

 

メル「美里…本当にそれでいいメル…?」

 

 

そんな私を今にも泣きそうな目で見ているメルに気づくこともなく…

 

 

 

 

 

プリキュアR(リベンジャー)第7話に続く。

 

 

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