幻想怪獣記   作:大栗蟲太郎

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宇宙船内部、一人の男が怪獣カードを持って高らかにつぶやく。
「遂に機は熟した.......このローエスト様が、ヤプールよりも先にこの幻想郷を貰い受けるのだ.......!」


悪魔は三たび

ある日突然、魔法の森から赤い怪獣が現れた。

その怪獣は破怪獣「モンスアーガー」かつてメラニー遊星に来た者を殺害していた生体兵器である。

 

黒幕であるゼラン星人に操られて、魔法の森の木を潰しながら闊歩するモンスアーガーに、霧雨魔理沙が彼の前へと現れた。

 

「霊夢はまだ来ないか……だが、私だけでもやれるんだ!」

 

小手調べにとスペルカードを使わない星型の弾幕を連発する。

しかし、その頑強な攻殻にダメージが通らずに弾かれるだけであった。

 

「なにっ……!?」

 

驚く魔理沙、しかしそんな間も無く今度はモンスアーガーのターンだった。

モンスアーガーは両手に魔力を貯めて、赤色破壊光弾を魔理沙に向かって放った!

 

持ち前のスピードで急上昇して回避を目論む魔理沙も、その大きさにより完全回避は敵わずに服を少し燃やしてしまう。

 

「くそッ……」

 

慌てて服を扇いで炎を消しながらも、急上昇した魔理沙はモンスアーガーの頭頂部の青い部分を発見した。

赤い部分が硬いのなら、青い部分は……一か八かだが、それに賭けようと一つの瓶を取り出した。

 

しかし、モンスアーガーが魔理沙の行動に気付いてしまった。

両手を合わせてまた赤色破壊光弾を発射して、魔理沙を撃退しようとするモンスアーガーだったが、2度目は通じなかった。

 

光弾に向けてマスタースパークが放たれたのだ。

光弾にも負けない出力と威力で赤色破壊光弾をかき消し、取り出した瓶を蹴落としてこう叫んだ。

 

「魔廃『ディープエコロジカルボム』!」

 

その瓶は、モンスアーガーの弱点の頭の青い部分で大爆発して大ダメージを与える。

頭から煙を出してフラフラする隙は、魔理沙とて見逃さない、八卦炉に魔力を溜めて叫ぶ。

 

「マスタァァァァァ……スパァァァク!」

 

その叫び声と共に放たれた彼女の必殺技、マスタースパークはモンスアーガーの弱点に直撃する。

やがて、そのマスタースパークは全身を貫通してモンスアーガーを絶命させる。

 

撃ち終わった後にモンスアーガーの意思はない。

ゆっくりと倒れ伏して大爆発するのみだった。

 

霊夢が到着したのは怪獣を討伐した後だった。

 

「あれ……もう終わっちゃったの?」

 

「勿論だ!私だけでも怪獣は倒せるのさ」

 

自慢げに語る魔理沙を見て、霊夢はほっと一息をついたのだった。

霊夢も魔理沙も怪獣を倒せて一安心、しかしモンスアーガーが倒されて苛立った者もいるのだ。

その者こそ、モンスアーガーをけしかけた張本人であるゼラン星人・ローエストであった。

 

「おのれ……あのメトロン星人からゼットンのカードを奪うためにモンスアーガーを出したというのに、地球人に負けたとあっては大損ではないか……!」

 

宇宙船の床を蹴り、モニターを睨む。

何かを思案するローエストであったが、最後までいい策など浮かんでこなかった。

 

「斯くなる上は……」

 

二枚のカードを見詰めて、機が熟すのを待つ事に決めた。

 

博麗神社にて、巫女と魔法使いがいつもの様に戦績報告をしていた。

 

「アンタ、いつの間に怪獣を1人で倒せる様になった訳?」

 

「ま、私だって日々進歩してる訳だからな。それに……弱点が分かりやすかったってのもあるが……」

 

「弱点?」

 

「ん?ああ……頭の青い皿みたいな部分があってな、ここを攻撃したらどうかと思ったんだがビンゴ!という訳だ!」

 

得意げに、笑顔で語る魔理沙の元にメトロン星人ドーカが現れた。

 

「霊夢、済まない。モンスアーガーを倒そうと思ったのだが、地球人の少女に先を越された様でね……おっと、そこのお嬢さんは?」

 

「ああ、アンタは初対面だったか。コイツは魔理沙、さっきの怪獣を倒した少女よ」

 

こうして、2人は自己紹介をしたのであった。

 

「なるほど、魔理沙は魔力という未知のエネルギーをそのブースターに込めて威力を高めて光線として放出する武器を持っているのか……」

 

魔理沙に八卦炉のことを教えてもらい、興味深そうにそれを見詰めるドーカ。

魔理沙も彼の持つ科学技術に興味津々の様だった。

 

「そうだ、ドーカは何で来たんだ?」

 

思い出した様に魔理沙に尋ねられれば、彼はその質問に答える。

 

「うん?ああ……あの怪獣、モンスアーガーについてだが……アイツは元々遊星の守護獣として作られた人口怪獣でね。何かバックに宇宙人がいると見て間違い無いだろう、という話をしにきたのさ」

 

宇宙人の陰謀、つまり黒幕がまだ姿を現していないから警戒を怠るなという内容であった。

調査用の怪獣ならば、対策を施した怪獣が現れる、それまで油断は禁止だぞと伝えてその場を去っていった。

 

「ヤプール様……いや、ヤプール達の元から奪ったこの超獣カードと、いくつものデータにより強化されたモンスアーガーIIがある。これであの紅白の巫女と白黒の魔法使いを……!」

 

ゼラン星人は円盤を幻想郷の上空へと移動させ、モンスアーガーIIを魔法の森へと登場させる。

そして、幻想郷全域に自分の声明を伝えた。

 

「博麗の巫女と白黒の魔法使い!貴様等がこの怪獣を討伐しに来い!さもなければこの幻想郷へ集中砲火をするぞ!」

 

幻想郷へ向けた脅迫、力の強い妖怪なら勝てるかもしれないが相手の力は未知数。

どんな被害が出るか全く分からないこの状況下において、下手に動く事は出来なかった。

 

霊夢達はどこだ、魔理沙は何をしているというザワつきが人里を覆う中、魔法の森にヒーロー達は現れた。

 

「来てやったわよ宇宙人!さあ、姿を現しなさい!」

 

霊夢が叫ぶと、ホログラムのゼラン星人・ローエストが姿を現す。

 

「現れたわね……!」

 

「残念だが、私はホログラムだ。実体はないよ」

 

「卑怯な……」

 

魔理沙が呟くと、ローエストは彼らを嘲笑いながらも続ける。

 

「はっはっは……まあ落ち着けよ。これからお前たちと遊んでやるんだからな……!」

 

彼が取り出したのは超獣のカード、ミサイル超獣ベロクロン。

怪獣リングにそれをかざすと円盤から一条の光が飛び出して、ベロクロンが魔法の森に姿を現す。

 

『さぁ……存分に踊ってみせろよ、お前たち』

 

ベロクロンが咆哮をあげるとモンスアーガーIIも雄叫びをあげながら接近して来る。

魔理沙の弾幕をモンスアーガーIIに当てるも、ジャブ程度では全く止まらない。

 

「グロロロロロ!」

雄叫びをあげて背中からミサイルを発射するベロクロン、縦横無尽に飛び交うミサイルを避けながらも撃ち落とす為にスペルカードを宣言する。

 

「神霊『夢想封印 瞬』!」

瞬間移動に近い高速な動きをしてミサイルを華麗に避けつつも放ったお札をミサイルへと飛ばして空中で爆発させていく。

 

しかし、霊夢のスペルを以ってしてもベロクロンの放つミサイルではジリ貧になってしまうのだ。

 

「チッ……これじゃあラチがあかないわ……魔理沙、そっちはどうなの!?」

 

モンスアーガーIIを相手取っている魔理沙も、怪獣の耐久力に手こずっていた。

 

「だ、ダメだ!コイツ頭にあった弱点もしっかり対策してやがる!」

 

そう、モンスアーガーIIのモンスアーガーとの違うところは頭部の青い部分が固められているのだ。

 

『フハハハハ……そうだとも、この侵略活動のために私は怪獣を二体も費やしたのだ!』

 

ローエストが下卑た笑いをした後に、今まで進むだけだったモンスアーガーIIが突如攻撃を開始した。

魔理沙のいる所目掛けて赤々とした火炎を吐き出したのだ!

 

「うぉあぁっ!」

広範囲に渡る炎には流石に全速力を出さねばならず、周囲を見ずに一直線に発進してしまう。

しかし、それすらもローエストには予想の範囲内だった。

 

『そこだ!』

指の爪からミサイルを発射して魔理沙を狙い撃つ。

霊夢の夢想封印 瞬で向かおうとするが間に合いそうにない、魔理沙がここまでか……と思い目を瞑ったその時、魔法の森に彼らのものとは違う銃声が響いた。

その音が響いた後、魔理沙は自分の身が無事だった事に恐る恐る目を開くと、そこにはラウンドランチャーを装備したメトロン星人ドーカがベロクロンのミサイルを弾丸で撃ち落としていたのだ。

 

「ドーカ!」

2人の声が重なる。

 

「……済まない、到着が遅れてしまった。超獣と怪獣の挟み撃ちでは辛いだろう、助けてくれた恩返しにベロクロンは私に任せてくれ!」

 

「ありがと、やってみせるわ!」

 

2人はモンスアーガーIIを見据えてその先に駆け出していく。

 

 

────続く




3度に渡るゼラン星人との戦いも遂に決着の時!
メトロン星人の力を借りて、幻想郷を掌握せんとする外道を討て!
次回幻想怪獣記「怪獣と超獣対宇宙人」さぁ、次回もみんなで見よう!
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