幻想怪獣記   作:大栗蟲太郎

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幻想郷、危機一髪!

ある日の事、幻想郷に3つの隕石が落ちた。

その日を境に幻想郷に、いや妖獣や人間達に異変が起こった。

 

~人間の里~

 

人里では、八百屋で孝がキュウリを買おうとしていたのだが

 

「すみません、この野菜……何て言うんだっけ?」

 

孝が尋ねると、出てきた店員も首をかしげて

 

「…あれ?何だっけ、これ」

 

と答えてしまい、

 

「う~ん……」

 

二人はキュウリを持ちながら考え込んでしまった。

 

~魔法の森~

 

魔法の森では、何時ものように魔理沙が本を借りる名目で奪おうとしていたのだが、何をしようとしていたのかを忘れてしまっていた。

「私は何をしようとしてたんだっけ?…そもそも、わたしはだぁれ?」

 

~命蓮寺~

命蓮寺でも同様の被害が起きていた。

 

白蓮がぬえを見たので挨拶をした。のだが

 

「あら、おはようございます」

 

 

「おはよう!って、誰?」

 

ぬえはまるで知らない人のように、聖に誰かを尋ねた。

 

「私は…あれ?」

 

人里でも起こったように、二人とも首をかしげてしまったそんなとき、命蓮寺に元気な声が響いた。

 

「おっはよー!今日も人を驚かしに来ましたー!」

 

オッドアイの唐笠お化け、多々良小傘である。

だが、二人は見知らぬ人と言った様子で小傘を見る。

 

「あれ?二人とも、どうしたの?」

 

「「……どちら様?(誰?)」」

 

「ど、どうしちゃったの?聖にぬえ」

 

「何故貴女が私の名前を知ってるのでしょう?」

 

「分からない……」

 

二人はさっぱり意味が分からない風に言う。

 

「そんな……」

 

小傘はとぼとぼ命蓮寺から出ていった

 

同時刻、毒を操る捨てられた人形から生まれた、メディスン・メランコリーが人里に行っていた。

 

「さ~て、今日も人形解放活動を進めるわよ~」

 

そう意気込んだは良いのだが、やはり人里に自分を覚えている人物などおらず、見知らぬ少女のような扱いを受けてしまったのである。

メディスンはこの状況に混乱して、人里を飛び出してしまった。

そして色々な場所で妖怪たちと会ったのだが、やはり誰一人として自分を覚えているものはいなかった。

 

「はぁ、はぁ…!」

 

メディスンは宛どなく走る。

そして、走っているうちに、前方から来た小傘にぶつかってしまった。

 

「「あいたっ!」」

 

二人は倒れた後、ゆっくり起き上がって互いを見詰めた後、口を開く。

 

「あら?あなた、唐傘お化けの…」

 

「あなたは人形の…」

 

「もしかして、覚えてるの?」

 

「…忘れてないの?」

 

二人は嬉しさからか、お互いに抱き締め合う。

メディスンと小傘は交互に

 

「良かった…!覚えてる人がいて」

 

「私も不安で仕方無かったわ…」

 

と、言った。

 

「でも、何でこんなことに…」

 

「分からないわ。でも、何と無くだけど記憶を失う人の傾向が分かってきた気がするの」

 

その言葉に、メディスンが食い付く。

 

「どう言うこと!?早く教えて!」

 

「分かった。今まで私が話してきたのはナズーリン、ぬえ、文、聖とか。どれも、生き物が元になった妖怪たち。それで私たちは物から生まれた妖怪。つまり、生き物が元になった者が記憶を失うってこと」

 

「ふむふむ。そう言えば、人間たちも記憶を失ってたわね…。それでどうするの?」

 

「元凶を倒すまでよ。勿論協力してくれるよね?」

 

「ええ!」

 

そう言って、二人は歩き出した。

そこまでは良かったのだが、黒幕の居場所を検討も付けずに出てしまったことを悔やむことになった。

 

「そう言えば…。元凶の居場所の目処は立ってるの~?」

 

湖の前で疲れたようにメディスンが問う。

 

「あはは………。考えてなかった」

 

「もっと計画立てて行動するべきでしょ!?」

 

「………はい、すみませんでした…」

 

「全く………。喉が乾いたから水でも飲みましょ」

 

メディスンがそう言いながら湖に近付くと、派手な水飛沫を上げながら、化猫のような怪獣、宇宙化猫ミケ・タマ・クロが湖から上がってきたのだ!

 

「うにゃぁぁぁお!」

 

「ふしゃぁぁ!」

 

「にゃぁぁ!」

 

タマ、ミケ、クロが順番に鳴き声を上げる。そしてその巨体を見て、二人は驚いて腰を抜かしてしまう。

 

「な、何よ。あれ………」

 

湖の近くにいて、完全に不意を付かれたメディスンが問う。

 

「分からない…。でも、あれが原因に違いないわ!」

 

「そうね!早いとこ倒しちゃいましょう!」

 

二人は立ち上がる。

だが、それに気付いた3匹が、光線を二人に発射する。

 

「「キャッ!」」

 

二人は別の方向へ、間一髪で避ける。

そして、眼前に浮く3匹の怪獣をきっと見詰めて飛んでいった。

 

意気込んで立ち向かった二人だったが、宇宙化猫は手強い。

小傘が弾幕を出してもいなされ逆に光線をカウンターにしてくる。

宇宙化け猫の一匹、ミケが小傘を押していることに気づいたタマとクロは、メディスンから狙いを外して小傘の方へと向かう。

 

「う…」

 

「小傘!」

 

三匹の化け猫が同時に光線を放とうとした時、紫色の霧が三匹を包み視力を一時的に奪う。

そして、三匹がもがき苦しんでいる隙にメディスンは小傘に駆け寄る。

 

「小傘、大丈夫!?」

 

「うん…」

 

小傘は少しボロボロになりながらも呼吸を整える。

 

「とりあえず、あいつらから離れましょう」

 

「ええ…」

 

2人は化け猫たちから距離をとる。

だが、視力を取り戻したミケ・タマ・クロは怒りの形相を向ける。

 

「グルルルル…」

 

「フシャーーー」

 

「ナーーーゴ」

 

「メディスン、スペルを使いましょう。ここが正念場よ」

 

「ええ!」

 

ミケは小傘の元へ、タマとクロはメディスンの元へ飛びかかる。

だが、2人は焦らずにスペルカード宣言をする。

 

「傘符『大粒の涙雨』!」

 

「譫妄『イントゥデリリウム』!」

 

小傘が傘を振り回すと、大きめの弾幕が飛び交う。

先程は難なくいなせた弾幕も、怒りに任せて突っ込んだ為にもろに食らってしまう。

メディスンも再度毒霧を漂わせる。

飛び込んで行き、我に返った時には時すでに遅し、またも毒霧に包まれて身動きが取れなくなる。

抵抗する手段を失った二匹が見たもの、それは少女の撃つ弾幕だった。

 

「「はぁ、はぁ…」」

 

三匹はフラフラと後ずさりしてお互いに激突して湖に落ちていく。

完全に落ちて大爆発を起こした後、その巨体が上がってくることはなかった。

 

戦いが終わった後、2人は湖のほとりに大の字で寝転がった。

最初に呟いたのは小傘だった

 

「終わったね…」

 

「ええ…。そう言えば、皆の記憶は戻ったのかしら?」

 

「…どうなんだろ」

 

「あれ、何してるの?小傘にメディスン」

 

2人が話してる後ろで、誰かが2人の名を呼んだ。

それは蛍の妖怪、リグル・ナイトバグだった。

小傘は驚いて振り向き、リグルを見詰める。

 

「リグル、もしかして思い出したの?」

 

「はあ?」

 

リグルはキョトンとするが、小傘は構わず喜ぶ。

そして、次はメディスンが立ち上がり、小傘と抱き合って喜んだ。

リグルは何が何だか分からなかったが、2人の様子を見て微笑んだ。

 

 

幻想郷はいつもと変わらなかった。

人里では店がにぎわい、人間は妖怪から逃げ、妖怪は巫女に退治される。

そんな日常が続いた




次回予告
冥界に、魂魄妖夢の祖父であり師匠である魂魄妖忌が帰ってくる。
妖夢と修行する彼を見て、冥界の主、西行寺幽々子は怪しむが…。
次回幻想怪獣記「帰ってきた魂魄妖忌」お楽しみに
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