幻想怪獣記   作:大栗蟲太郎

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暗い円盤の中……異星人が一人呟く。

「ヤプール人の奴等め気に食わぬ……私があの郷を支配してやるんだ」

「あの巫女さえ人質にすれば怖くない、首根っこを掴んでやるんだ……」


未知なる敵

「最近は暇ねぇ……」

 

博麗神社の主、博麗霊夢は縁側で寝転がり空を見上げる。

 

「何か起こらないものか……」

 

起き上がり、あくびをしながらボーッとする。

 

「……買い物にでも行きましょうかね」

 

と、縁側から飛び降りて人里へ向かっていく。

 

人里で霊夢はあらかた買い物を済ませ、最後の買い物をすべく店に入ると

 

「いらっしゃいませ、そしておめでとうございます!」

 

突然歓待を受けた霊夢は困惑しながらも話を聞くのと何か特典があるのか尋ねる。

すると、店長らしき人物が出て来てこう答えた。

 

「お客様は当店の100人目のご来店者ですので、豪華景品を差し上げます!」

 

すると、奥から店員2名が奥から段ボール箱を持って来て霊夢の前に置いた。

 

「これは何?」

 

と霊夢が尋ねると、店長らしき人物が説明する。

 

「この商品はキングジョーと言う非常に強力なロボットでございます。これさえあれば、博麗の巫女の怪獣退治も楽にこなせるようになるでしょう!」

 

と若干興奮したように語る店長。

少し引き気味に了承する霊夢に、店長は強引に

 

「運搬の心配はございません!私共がお運びしますので!」

 

詰め寄りながら話す店長に驚きながらも運ぶことを依頼して、目的のものを買って行った。

 

霊夢が神社へ戻ると、先ほどと同じ大きめの段ボール箱が置いてあった。

早速開けるとそこには顔、腕、胴体、足に分かれたロボットであるキングジョーが入っていた。

 

「これは……中々個性的ね」

 

説明を読むと、ゼットニウムの装甲により任意で自在に伸縮できますと書いてあった。

乗り込み方は頭に向かって飛べばいいとのこと。

 

「ねえ霊夢。それは何?」

 

と、神社の中から境内に降りてくる少女が一人。

神社に住む騒霊、カナ・アナベラルだ。

 

「ああ、カナ…これはキングジョーって言って巨大なロボらしいわ。人里で買ったんだけど怪獣退治の手助けになるんだとか」

 

そう言って、入手した経緯も伝える。

 

「ふーん…」

 

ジロリジロリと霊夢に組み立てられたキングジョーを猜疑の目を向け見る。

 

「ま、これからは怪獣退治ももっと楽になるでしょうね」

 

と少し嬉しそうに境内に入っていく。

 

カナも少し怪しみながら境内に戻る。

 

夜が明け、陽が昇ると同時に迷いの竹林に地響きが鳴った。

原因はデットン。

地面からいきなり現れたのだ。

 

デットンは自分の肢体を荒ぶらせて破壊の限りを尽くす。

それを見ていた霊夢はキングジョーを拡大させ、そして乗り込んだ。

 

そして、迷いの竹林まで移動してデットンを視認した。

 

「さあ、キングジョーの実力を試させてもらうわよ!」

 

そう言いながらキングジョーを操作して、デットンを殴らせる。

すると、大きく後ずさりした後に膝をついた。

 

「わあ、強い……!」

 

感心していると、デットンが立ち上がって怒り狂って殴りかかる。

しかしキングジョーには傷一つつかない。

何度も殴っても衝撃すらも伝わらない。

 

そして、攻撃できると思しきボタンを押した。

するとキングジョーの目に相当する部分から光線が放たれ、デットンにクリーンヒットして痙攣した後に爆発した。

 

「つ、強かった……これならあの小賢しい侵略者達も目じゃないわね!」

 

興奮して大声を出す霊夢。

この騒動の後も様々な怪獣を倒して行った。

 

所変わって、店の地下。

モニターから霊夢を見て呟く。

「そろそろだな……ここの民からの信用も、博麗の巫女の信頼も得られた。怪獣総進撃だ!」

 

高笑いをあげて変貌する店長。

その正体はゼラン星人。

 

卑劣な策を講じてウルトラマンジャックを貶めた異星人だ。

 

彼はダークリングと怪獣カードを手にして外に出る。

 

「始めよう……時間は夕暮れ……落日の決闘だ!」

 

ダークリングにカードをスキャン、するとはさみ怪獣サドラが迷いの竹林に出現。

 

暴れていると、霊夢がキングジョーに乗り込んで討伐に向かう。

いつもの様にどっと湧き上がる民衆。

これから現れた怪獣も圧倒できるだろう、と考えたのも束の間にアクシデントは起こった。

 

「…あれ?動かない!?」

 

そう、コントロールが取れないのだ。

 

「ククク……主導権は我にあるのだよ」

 

そう言ったゼラン星人・ローエストは逆にキングジョーを操り森林を破壊する。

その様子に民衆は困惑する。

 

「キングジョーは味方ではないのか?」と思いながら

 

その頃カナは物置へと向かっていた。

 

「え〜っと、ここら辺にあったはず……」

 

カナは何かを探していた。

ほこりまみれになりながらもとある物を探す彼女の前に、ようやく目当てのものが見付かる。

 

それは、ポンコツだった為に物置に放置されてきたアンドロイドのる〜ことだった。

 

「はあ、はあ……よし、まずは彼女を外に出して……」

 

と、境内まで持って行く。

る〜ことについた埃を落としながら、起動スイッチを探すカナ。

迷いの竹林に目を向けると太い光線がキングジョーを襲っていた。

 

「あれは魔理沙……まずいわ……」

 

カナは霊夢が乗り込んでるキングジョーの事を説明させる為にる〜ことの起動を急いだ。

 

「……あっ、あった!」

 

そう声に出して起動スイッチを押したカナ、するとる〜ことは目を覚ます。

 

「あれ……私、何で目覚めて……」

 

「詳しい話は後!とにかくあの魔法の森へ行って要件を伝えて!」

 

言葉を遮りメモを渡すカナ、そして彼女は人里へと降りていく。

魔法の森では混戦が繰り広げられていた。

サドラとキングジョー、この二頭を相手に魔理沙と成美が戦っていたからだ。

 

「クソ……ファイナルスパークを撃とうにも狙いが定まらない……」

 

「ハサミを警戒しなきゃ……」

 

次々と変わる対象に困惑する魔理沙、サドラに警戒する成美で苦戦を強いられていた。

 

「あの……すみません……!」

 

そこに乱入するる〜こと、魔理沙達は動きを止める。

 

「あの……あの怪獣に乗ってる霊夢さん……操られてるんです!」

 

カナに貰ったメモを読みながら二人に伝えるる〜こと。

 

「えっ……ええっ!?」

 

「それなら上手く動きを止めなくちゃ……」

と、見詰めあって頷きあう3人。

魔理沙はキングジョーを引き付けるべく一気に飛び出した。

 

一方ここは人里、霊夢が言っていた店にカナが走って行くと不用心にも扉が開いていた。

 

「お邪魔しまーす」

 

と入って行くも誰の影も見えない。

店の奥に入って行くと、地下への階段が見えた。

 

降りて行くカナがそこで彼女が見たもの、それは大きな機械を操るゼラン星人だった

 

「だ、誰!?」

 

その声でゼラン星人は振り向く。

 

「侵入者か……誰だとは心外だな、勝手に入って来たのは君の方なのに」

 

顔色一つ変えずにゼラン星人はカナを詰る。

カナはゼラン星人の人外じみたその見た目に驚きながらも、決して怖気付かずにゼラン星人を睨む。

 

「ふっ……健気な物だな。だが、ここに来たという事は……私がキングジョーを、そして霊夢を操っている事を知ってしまったんだろ?」

 

そう言ってモニターに目を移す。

そしてカナの方を向き直り、銃を構えて言った。

 

「君はここで生きて帰すわけにはいかない」

 

光線銃を放つも回避されてしまうゼラン星人。

次に彼が見た物は、自分に向かい放たれる弾幕だった。

 

「クソッ……このっ!」

 

わずかな間を掻い潜り反撃の光線銃を放つゼラン星人。

カナは何発かは貰ってしまうも怯まずに攻撃、そして痛烈なサマーソルトキックを浴びせる。

 

「グアァッ……クソ……これ以上ここにいても損害が大きくなるだけだ……キングジョーは捨ててやる!」

 

捨て台詞を吐いた後、ゼラン星人は姿を消した。

そしてふとモニターを見遣ると魔法の森でキングジョーが操作を失い停止するのが見えた。

 

そして霊夢は脱出して魔理沙のマスタースパークと同期するように夢想封印をサドラに放ってキングジョーにぶつけ、爆殺したのちに誘爆でキングジョーも破壊した。

その様子を、彼女はモニター越しに喜んでいた。

 

 

数日後、霊夢は魔理沙と人里を歩いていた。

 

「それで、あの大きなロボットを貰った店はあったのか?」

 

魔理沙は歩きながら霊夢に問う。

すると霊夢は茂みの前で歩みを止めてそこを見る。

 

「ええ、あったわ。でも……消えてなくなったわ」

 

そして、生暖かい風が吹いた




次回予告
妖怪の山に謎の怪獣が登場、現れては消え現れては消えを繰り返す怪獣を攻略する糸口を探せ!
次回幻想怪獣記「見えざる事、風の如し」お楽しみに
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