タンク道、始めます   作:いぶりがっこ

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タンク解説です

①ゲッタンク3(カトリーヌ)

 

 原型機:ガンタンク(『機動戦士ガンダム』より)

 使用者:竜崎劔(指揮者)、川繊虎(砲手)、花鳥嵐子(走行手)

 機体色:赤、白、黄

 武装 :120mm低反動キャノン砲×2、40mmポップミサイル×2

     煙幕弾、閃光弾、チャフ・グレネード

     ダミーバルーン、ビーム撹乱膜、ネーデル・シルエット 他

 

 第4回ガンプラバトル選手権において、はまぐり高校模型部が使用し、東日本大会を制した伝説のカスタムタンクである。

 従来のガンタンクのコア・ブロック構想を一から見直し、機体をベース、コア、トップの三体に分割し、状況に応じて独自に戦闘が継続できるよう改造が施されている。

 

 ベースとコアの接合部にはターレットを増設し、念願の『回る腰部』を獲得、本来の戦車としての砲撃戦を行う事を可能としている。

 フルスクラッチで製作されたコアファイターは、ドッキング時にブースターが底面を向くよう仕様変更がなされ、さらにトップ背面にもブースターを増設。

 これらの改造により戦闘中に独力で機体を分離させる事が可能となった。

 欠点としてコア同士の接合部の強度が大幅に低下しており、とくに腰部ターレットは分離時の破損率が高く、事実上、分離後の再ドッキングは不可能となっている。

 分離後は活動時間の短いコア、トップで阿修羅の如く暴れ回り、その間サバイヴィリティの高いベースはひたすら逃げに徹すると言うトカゲ戦法が国内で猛威を振るった。

 

 一体のガンプラを三人で操縦する戦法について、当時からバトルの公平性を欠くと言う批判が少なからず上がっていたものの、そもそも当時のバトル自体が大型MAや艦載機がぶつかりあう公平性もへったくれもない時代であった。

 そんな中、ちっぽけなタンクでジャイアント・キリングを果たす少女たちに判官贔屓的な人気が集まるなど時勢に恵まれた結果、最終的には

「努力・友情・勝利! いいじゃないの少年誌っぽくて」と言うマシタ会長の鶴の一声によって、無事に本機は世界大会出場を果たす事ができたのである。

 

 主兵装は両肩のキャノンに腕部のミサイルと従来機に準ずる一方、各種弾頭やダミーバルーン、果ては書き割りの風車小屋など、涙ぐましいまでに多彩な特殊兵装を搭載する事によって生存能力を向上させている。

 背面のランドセルは切り離してプチモビとして遠隔操作可能になっており、時には斥候や陣地構築、あるいは即席のデコイにと様々な活躍を見せた。

 これらの入念な装備が功を奏し、世界大会の第一ピリオドにおいては全兵装をフル回転させて生存に成功。

 まさかの空戦でビグザムを仕留める姿から、海外ではニンジャ・タンクとして絶賛された。

 

 機体名は言わずもがな、スパロボ界最強のタンクであるゲッター3へのオマージュである。

 通称のカトリーヌはカトリ・ランコの命名であるが、2対1の多数決により公式戦では使用されていない。

 

 

 

②ラゴゥ・タイガーアイ

 

 原型機:ラゴゥ(『機動戦士ガンダムSEED』より)

 使用者:繭月実夏

 機体色:黄・黒

 武装 :220mm滑空砲、MLRS、56連装ロケットランチャー、ポップガン×2

     二連ガトリングシールド×2、火炎放射器、ヒートマチェット、テイルボウガン

 

 大洗はまぐり高校一年、マユヅキ・ミカが「ガンプラは自由」の御旗の下、個人的な趣味を全開に手を加えたラゴゥカスタムである。

 機体名はロッキー3のテーマ曲『アイ・オブ・ザ・タイガー』から。

 頭部には、イイツカ・カオリのデザインによる『トラさんチーム』のエンブレムシールが貼られている。

 

 陸戦強襲型ガンタンクから引き継いだ兵装に加え、ミカが敬愛するランボーシリーズをイメージした武装を多数積み込んだ、実弾兵器主体の車輌へと変貌を遂げている。

 追加装甲と豊富な火力により、主に前線を支える盾としての能力が強化された一方で、取り回しの良いビームキャノンをオミットした事から中~遠距離での立ち回りが難しい機体である。

 

 足回りはオリハラ板金の前面協力の下、履帯、車軸、転輪全てがチタン合金製のスクラッチ品に取り換えられており、耐久性、信頼性が大幅に向上している。

 一方、追加武装の過積載から運動性能の低下が著しく、フル装備の状態ではミカ本来の操縦技術を十全に発揮する事が出来ない。

 その致命的な欠点をカバーするのが、後述する【エクスペンタブルズ(消耗品軍団)システム】である。

 

【エクスペンタブルズシステム】

 

 最強軍団、襲来ッ!!

 

 エクスペンタブルズシステムとは、武装を使い捨てながら敵に肉薄する雄度の高い戦法だ。

 タイガーアイに積み込まれた武器の大半は、ミカの手元から任意にパージ可能となっている。

 ランボーと言うよりはむしろコマンドー的だが気にするな。

 いらない装備を次々に放棄して機動力を上げ、迫れ! 敵の喉笛に喰らいつけッ!!

 ただし弾切れピエロは勘弁な。

 

・220mm滑空砲

 陸戦強襲型から引き継いだタンク乗りの魂、キャノン砲だ。

 ビームキャノンはお家で寝てな。

 ターレットなんて女々しい装備は積んでねぇ、敵さんを真正面に見据えてぶっ放せッ

 立ち回りの関係上、二、三発景気良く撃ったら即ポイだぜ。

 

・MLRS、56連装ロケットランチャー

 弾数が魅力のミサイルの兄貴だ。

 それぞれ用途が異なるらしいが、ミカは構わず全弾撃ち尽くしちまうぜ。

  

・二連ガトリングシールド

『ランボー4 最後の戦場』終盤の銃撃戦をイメージした過激な新装備だ。

 豪勢にも銃身を機体の両脇に各二門ずつマウントしてるぜ。

 上下に比べ左右の射角が狭いので、真正面に敵を捉えて撃つべし! 撃つべし! 撃つべし! 

 サイドのシールドはビームコーティング仕込みで、盾と言うよりは追加装甲に近いぞ。

 ただし、これらの装備はラゴゥが伏せの状態で固定してある。

 四本脚を自由に使いたい時は、装備を捨てる必要があるのが悩みの種だ。

 

・ポップガン

 陸戦強襲型両腕の兵装を、そのまま滑空砲のサイドに取り付けてみたぞ。

 こちらは逆に水平方向に射角が広く、撃ち漏らした側面の相手を仕留めるのに向いている。

 ただあくまでサブ兵装と言う事で、弾数は少々心許ないぜ!

 

・火炎放射機

 ヒャッハーッ 汚物は消毒だァーッ!!

 虎の口内に仕込んだタイガーアイの奥の手だ。

 拠点攻撃用なのでMSへの効果は今イチだが、奇襲や目くらましなど、使い道は結構あるぜ。

 

・ヒートマチェット

 来いよベネット! 銃なんか捨ててかかって来いッ!

 頭部に一本角のように固定した格闘戦用の最終兵器だ。

 形状は『最後の戦場』を意識したマチェット型だが、実は超B級カルト映画『デス・レース2000』に登場したマシンガンジョーの愛車・ピースメーカー号へのオマージュでもある。

 銃弾を撃ち尽くしナイフ一本で特攻するその姿は、まごう事なきトロワ・タンクだ!

 

・テイルボウガン

 蛇腹状の尻尾の先端に取り付けられたボウガンだ。

 言うまでも無く、ランボーシリーズの名物武器である爆裂弓矢をリスペクトしている。

 両手が使えない関係上、装填数は一発で射程も通常の銃器より短いと言う浪漫兵器だ。

 ここ一番で確実に決めろ!

 

 

 

③砲戦支援型ガンタンク

 

 原型機:量産型ガンタンク(『機動戦士ガンダム 08小隊』より)

 使用者:小林ひろみ

 機体色:青

 武装 :120mm低反動キャノン砲×2、ポップガン、ポップミサイル

 

 大洗はまぐり高校一年、コバヤシ・ヒロミが、ガンプラバトル選手権用に準備した機体である。

 機体胸部には、イイツカ・カオリのデザインによる『マイマイチーム』のエンブレムシールが貼られている。

 前線を支えるラゴゥ、チームのアタッカーでヒルドルブに対し、両者を支える司令塔としての役割を意識して、通信・索敵能力に長ける量産型ガンタンクをベースに選択した。

 サポート用の機体と言う位置づけから、右腕のミサイルランチャーには、ビーム撹乱幕、チャフ、煙幕弾などの特殊弾頭を多数搭載している。

 左腕のポップガンも自衛用としては心許なく、トリモチ弾や発信機の射出と言った小技に使われる事の方が多い。

 背面のバックパックは変形機構を持ち、小型のモビルワーカーとして単独運用が可能で、主に偵察や工作兵として戦線を支える。

 

 本機は僚機と連動して運用するのが前提の機体であり、原作同様、単独での戦闘能力は低い。

 その点はヒロミ自身も割り切っているようで、茨城予選一回戦においては、死んだフリからの挟撃と言う非常に苦しい戦法で初勝利を収めている。

 

 

 

 

④ヒルドルブさん

 

 原型機:量産型ガンタンク(『機動戦士ガンダム IGLOO』より)

 使用者:武蔵丸友恵

 機体色:緑

 武装 :30サンチ砲、スモークディスチャージャー

 

 大洗はまぐり高校一年、ムサシマル・トモエの恋人である。

 機体左肩には、イイツカ・カオリのデザインによる『オオカミさんチーム』のエンブレムシールが貼られている。

 

 僚機たちの大胆なカスタムと異なり、本機の改造は、あくまでも原作のイメージを重視したマイナーチェンジの範囲内に留められている。

 とは言え、それでもチタン製の無限軌道やビームコーティング仕様の塗装など、旧戦車同好会主導による徹底的なチューニングが施された結果、耐久力、踏破能力を始めとした各種性能が大幅に向上している。

 

 本機を語る上で欠かせないのが、砲身の先端に吊り下げられた『幸福のハンカチ』である。

 タンクと邦画をこよなく愛する令嬢らしいファッションではあるのだが、大会が進み、トモエの神がかった砲撃能力が明らかになるにつれ、このハンカチは「タンクと契約した魔砲少女の象徴」として、他校の畏怖を一身に集める事となっていく。

 

 また、余談ではあるが、本機の名称は元々、原作通りの「ヒルドルブ」だったと言う。

 その後、はま高の部員たちがトモエの流儀に合わせ、次第に敬称で呼び始めるようになり、最終的には「ヒルドルブさん」の名称で大会登録を行ったと言う逸話がある。

 この破格の好待遇もまた、ムサシマル・トモエにまつわるガンプラオカルトの一つと噂に昇り、茨城県下の学生ビルダーたちを大いに震撼させた。

 

 

 

⑤リック・ガンタンク

 

 原型機:ガンタンク(『機動戦士ガンダム』より)

 使用者:繭月実夏 他

 機体色:赤、白、青

 武装 :120mm低反動キャノン砲×2、40mmポップミサイル×2

 

 砲弾学園との練習試合の後、宙域戦闘用タンクの必要性を痛感したはま高タンク道部一同が、大会用のサブ機体として場当たり的な改修を施したガンタンクである。

 

 同型の機体が合わせて三機製作されており、使用者によって胸部のエンブレムを付け替える仕様となっている。

 主な改造として、腰部、背面にスラスターを増設した他、腕部、脚部の稼働域を広げ、雀の涙ほどながらAMBACの恩恵を得る事に成功している。

 履帯を作るチタン合金には、あらかじめ十分な帯磁が施されており、戦艦の外壁に張り付いて地上戦のように走行可能となっている。

 またコア・ブロック・システムは簡略化され、短時間ながら下半身を切り捨て腰から上だけで飛行することも可能である。

 

 三機の性能に違いは無いが、トモエ機のみ両肩の砲塔に『幸福の黄色いハンカチ』を備え、機体名もリック・ガンタンク『さん』で登録されている。

 本機は第十三回ガンプラバトル選手権、茨城予選において目覚ましい活躍を上げ、ガンプラ・オカルトの恐怖を県下のビルダーたちに知らしめた。

 

 

⑥ガンタンク・チェリオッツ

 

 原型機:ガンタンクⅡ(フル・スクラッチ)

 使用者:繭月実夏、小林ひろみ、武蔵丸友恵

 機体色:深緑

 武装 :30サンチ砲、大型ビーム砲、左腕40mmポップミサイル、右腕ポップガン、

     ハイドボンブ、重機雷、MLRS、56連装ロケットランチャー、

     スモークディスチャージャー、ツインラッド、ダミーバルーン 他

 

 大洗はまぐり高校タンク道部が、第十三回ガンプラバトル選手権において、対エコール女学院戦を想定して完成させた機体である。

 元々は『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の世界におけるガンタンクⅡと言う架空の設定に基づいて、ヒロミが独自に制作していたガンプラであったが、後に機体をいくつかのブロックに分断し、独自運用可能なレギオンとして再設計が施された。

 機体はトップ、ベース、ラックの3ブロックによって構成されており、それぞれにパイロットを配し運用する。

 各ブロックにはイイツカ・カオリのデザインによる『はまぐりチーム』エンブレムが描かれている。

 

 本機はBブロック準々決勝においてエコール女学院と激突。

 戦前の下馬評を覆す激闘を繰り広げ、茨城予選におけるベスト・バウトと賞賛を浴びた。

 

・トップ

 機体上部のターレット上に配されたブロック。

 主砲である30サンチ砲と自衛用の機関砲を有し、主に砲手であるトモエが運用する。

 また、通常時にはこちらからも各ブロックの特殊兵装が使用可能となっている。

 トモエの愛機であるヒルドルブさんに近いフィーリングで砲撃が行えるよう、細かい調整が行われている他、かつてのゲッタンク3の仕様を引継ぎ、短時間ならブロックを分離させて単独飛行運用が可能である。

 もっとも形状のバランスから安定飛行は困難であり、そちらは主に奇襲や緊急時の回避目的として使用された。

 

・ベース

 ガンタンクのコアに当る、腰部、脚部一対のブロック。

 索敵、管制機能を担い、主に司令塔のヒロミが運用する。

 車輌の操縦は基本的にミカの担当となるが、機体分離時はこちらに操縦を回す構成である。

 背面のバックパックは二機のMWに変形可能で、各種の工作や斥候に使用される。

 

・ラック

 機体の背後に配されたブロックで、二輪の大型タイヤと各特殊兵装を擁する架台で構成される。

 架台中央にはMSの搭乗スペースがあり、MS側から本体の無限軌道が操縦可能である。

 主にミカが運用し、搭載したカスタムロト(ガンタンクR-15)から全体の操縦を担当する。

 MS搭乗時の外観は古代ローマ時代の戦車戦を想起させ、それが機体名『チェリオッツ』の由来となっている。

 機体分離時には両翼のタイヤをアインラッドとして運用可能であり、遊軍としての単独戦闘能力も高い。

 

 

 

⑦61式戦車

 

 原型機:61式戦車(『機動戦士ガンダム』より)

 使用者:万屋銀河、折原舞、飯塚香織

 機体色:迷彩色

 武装 :61式52口径90mmライフル砲、7.62mm機関銃、12.7mm重機関砲 

 

 ガンプラバトル選手権を終え、暇の出来たはまぐり高校旧戦車同好会の三人が、自らの趣味を全開に製作した試作型戦車である。

 現実世界における国産中型戦車、61式をガンプラバトルで再現する事を目標に製作された。

 本機は宇宙世紀における61式戦車をベースとしつつも、現実の61式に寄せるため、サイズ、武装、外観と、幾度となく更新を繰り返しながら強引にプラフスキー粒子を通したため、実質的にはフルスクラッチ同然の車輌となっている。

 

 もともと原型機自体が単独でMSに立ち向かうには無理のある兵器だったのだが、本機は時系列上、そこから更に一世紀以上も時代を遡る戦車となるため、ガンプラバトルにおける戦闘能力は皆無に等しい。

 それでも整備担当のオリハラ技術中尉曰く「61式と呼ぶには馬力出すぎであります」との事。

 

 本機は後年、ヨロズヤ・ギンガがガンプラショップを起業するに至るまでのターニング・ポイントとなった一台である。

 タンク道部一期生の卒業までに同型機が三台製作された他、走行不能時に自動で白旗が上がる換装パーツも開発された。

 

 

 

 


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