半端者   作:雪の箱の世界

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2話『防衛任務』

『ネイバー発生!』

楓のハスキーボイスの声が内部通信に響き渡り、俺たち知らせた。

 

『何体だ?』

素早く情報確認をして俺の問いに楓はあらかじめ答えを用意されているかのように正確に返ってきた。

 

『バンダー2体とモールモッド2体だけど、バンダー1体だけが別行動で警戒区域外に向かっとるで。

もう一方のトリオン兵はここから比較的近いで』

 

「了解、光どーする?」

隊長である光に方針を求めた。

 

「うーん、そうだねぇ…」

光は顎に手を乗せて考え込むような仕草を取り

 

「3体の方を月夜と言葉でお願い出来る?

私は後1体のバンダーの方に行く!

それで楓は私の方に最短ルートで案内をよろしく!」

 

「了解だ!」

「了解〜」

『任せとき』

光の的確な指示を聞いた3人は三者三様の了承の意を見せて、光は空中移動用のトリガー『グラスホッパー』を展開した。薄くて青い板のようでジャンプ台のようなものを光がジャンプすれば届きそうな位置に設置され、光はそれを踏んで、加速されたように飛び跳ねて警戒区域外のトリオン兵の元に急いでいるのを見えた。

 

 一方、俺と言葉ももう一方のトリオン兵の元に急いだ。

 

 

 *** *** ***

 

 俺と言葉は任された方のトリオン兵の元に駆けつけてそれぞれの戦闘用トリガーを起動させた。

 

「それで月夜、どーします〜?」

言葉は呑気な口調が俺に尋ねる。俺はすぐに言葉に簡単な指示をした。

 

「まあ、今は光居ないから俺も戦闘の方に参加するよ。

それで、俺が引きつけて言葉が倒すスタイルで行こう。まずは言葉は急ぎ足でバンダーを倒してくれ。俺はモールモッド2体を足止めするでいいか?」

俺の指示に言葉は首を縦に振って頷いた。

 

「了解〜」

と言葉は答え攻撃手(アタッカー)が使う万能型の近接系の武器、孤月を手に掛けてバンダーの方に駆け出した。

 

 

 俺も自分の役割をしっかりこなすためにトリオンキューブを展開させた。射手(シューター)の1番の特徴は(パレット)を銃火器などを使わないで自由に設定が出来る点だ。それにより、多彩な攻撃が実現可能となっている。

 

 

 トリオンキューブを3×3×3の27分割にして待ち構えた。モールモッドに向けて放った。

 

追尾弾(ハウンド)

左手から緩やかで山並みのような軌道で繰り出される弾丸は2体のモールモッドを目標に被弾をさせたが、大したダメージにはならなかった。しかし、足止めする俺に関しては有難く俺を目標にモールモッドを立ち塞がった。

 

 モールモッドはアルゴリズムに従い、鋭い刃を俺の方にかざして斬ろうとしたが、その攻撃を全部見切ってバックステップをしつつ、再び、弾丸を生成し

 

通常弾(アステロイド)

隙を見つつ、おれから見て右側のモールモッドに目掛けて2×2×2の8分割の威力の高い通常弾を放ち、モールモッドは刃でガードこそしたが、ダメージの損傷を確認がされた。

 

「終わったよ〜」

俺が足止めしてる最中に言葉のマイペースな声が聞こえてきた。言葉の方を振り向くとバンダーが真っ二つに斬られていた。全く、優秀な後輩だよ。

 

「オッケー。それじゃあモールモッドを一気に倒すか」

 

「了解〜」

と言葉は受け答えし、孤月を構えた。

 

「旋空孤月」

言葉が放ったトリガーは孤月専用のオプショントリガーで、孤月の刃を伸ばすことが出来るトリガーだ。孤月を使う攻撃手(アタッカー)万能手(オールラウンダー)など孤月を使う人は殆どの人がセットしているトリガーだ。

 

 言葉は伸びる斬撃でモールモッドの胴体を見事真っ二つに斬り裂いた。

 

「月夜〜

瞬間移動〜」

言葉は俺にそう注文をして、

 

「マジかよ。嫌だよ」

俺は皮肉を言いつつ、内心嫌ではない。携帯端末を取り出して素早く操作をしつつモールモッドの攻撃を躱していた。

 

「準備はいいか?」

俺は言葉の注文通り、言葉を俺の目の前に()()()()()()()()()

 

 

 俺の目の前に来た言葉は、モールモッドの横払いの刃を孤月で受け止めて、流れるように孤月で刃を斬り取り、トリオン兵の弱点である目玉を突き刺した。

 

「任務完了〜」

戦闘が終わって言葉は身体を伸ばしながらそう答えた。

 

「あのなぁ、何でもかんでも俺の瞬間移動に頼るんじゃないよ。結構大変だし、トリオンの消費が地味大きいんだから…」

 

 小さいため息を吐いて、言葉に文句を言った。言葉はふて腐るような声で

 

「だって、そっちの方が早いし〜」

 

「それなら、瞬間移動(テレポーター)を入れればいいじゃん。言葉はいっぱい空きトリガーあるんだし」

我ながら正論を言ったと俺は自負している。

 

「うぅぅ〜」

その証拠に言葉(ことは)は言葉を濁らせている。

 

「別に私はトリガーが多すぎても月夜や隊長みたいに使いこなせる気がしないもん〜」

言葉の反論には俺はこれ以上付け入れないと思った。トリガーは多すぎてもたまに使うのを間違えて危機に落ち入ることはかなりある。俺だって何回かそーゆー経験をしていた。

 

『ほな、後輩隊員をいじめるやないで、月夜』

内部通信からオペレーターの楓の声が聞こえて来た。全く、またメンドくさいことばかり言いやがって…

 

『光の方はどうなったの?』

俺は楓の問いをガン無視決定し、光の方の情報を聞き出すことにした。

 

『それが…

偶々居合わせたB級隊員が倒したんやけど、ちょっと面倒なことになってしもうて』

 

『面倒なこと〜?』

俺も言葉もその意味が分からず、楓に聞いた。

 

『まあ、説明が先やな』

と言い、楓は説明を始めた。

 

 

 *** *** ***

 

 月夜と言葉と別れて、個別でトリオン兵を倒しに行った光は楓に最短距離をナビしてもらい、トリオン兵が警戒区域外に出るかもしれないという懸念があった為、足を早めた。

 

『急いでなぁ、結構ヤバイで』

楓も少しだが焦燥感に煽られ、声色に焦りが見られた。光も持ち前の機動力で現場に向かった。

 

 

 トリオン兵のバンダーがギリギリ警戒区域内で発見することが出来たがそこには既に別の隊員が戦っていた。メガネのB級隊員と思われるものが攻撃手(アタッカー)が使う防御用のトリガー、レイガストを盾にバンダーの砲撃を防いでいた。

 

『到着したけど、もう戦ってるよ?』

 

『へ?

マジかいなぁ』

楓は軽口を叩きつつも肩の荷が降り、光の方も戦闘をする気はなかった。

 

 メガネの隊員は、バンダーの砲撃を防いだ後に、2×2×2の8分割の小さいトリオンキューブで通常弾(アステロイド)をバンダーの目玉に向かって放出し、着実にダメージを与えて、バンダーの動きを止めた。

 

 バンダーの動きが止まって、彼はレイガストの方でトドメを刺そうとレイガスト専用のオプショントリガーであるスラスターというトリガーを使い、レイガストの刃をブーストさせた。スラスターのカラクリにビックリしたのかメガネの隊員はレイガストの加速に最大限の効果を活かせていないが、バンダーの弱点である目玉を見事斬り抜いた所を確認された。

 

 屋根から見ていた光とオペレーターの楓は、

 

『…。光から見てどうなん?

私は彼はもの凄く弱いと思うんやけど。トリオンが光より少ないし、弾丸の使い方が稚拙やし、しかもレイガストのスラスターですら使いこなせてへんよ。彼はあんま強く思えへんけど』

楓はメガネの隊員の戦闘の様子の感想を素直だが人によっては辛口な感想を呟き、光の方は違うように見えたのか楓とは違う意見が飛んだ。

 

『そうだねぇ。あまり強くは無さそうだね。最近、B級に上がりたてな子って感じがする。でも伸び代はまだありそうだね!』

光はそう言い屋根から飛び降りてメガネの隊員の元に向かおうとしたが、足を止めた。

 

 

 メガネの隊員の元に白髪の子供と女の子の子供が現れて、

 

『これってどーゆーことだろう?』

光は子供二人が純粋に疑問に思い、楓に尋ねたが、楓自身が分かるはずもなかった。

 

『私が分かるわけないやろ?』

楓はそう返した。しかし、光が興味を持ったのは別の所である。

 

『あの小さい男の子の方、髪が白いよ!

ハクハツってやつかもよ!』

光は少々興奮気味に話し、楓は光興味に通信越しでも呆れてため息しか出なかった。

 

 

 光と楓がしょうもないことを話しているとメガネの隊員たちの方は駆け足でその場で去っていった。

 

『ってあれ?

ハクハツの子消えちゃったよ?』

光はメガネの隊員たちがその場を去ったのを観測していないので何故居なくなったのかを疑問そうに思ったが、楓が分かりやすく教えた。

 

『普通に去っていったで』

楓の一言に光は少なからずのショックを受けたが、近くで不自然そうに何かを観察をしている二人組を発見し知り合いだからそっちの方に足を運んだ。

 

 

「どうも!

三輪くんに陽介。二人で何をコソコソと怪しいことをしているのかね?」

光はいつも通りの口調で三輪や米屋の方に立ち寄り、三輪は奥歯を噛み締めながら怪訝に呟いた。

 

「……。何で貴様がここに居る」

三輪は光に見つかったことにより、睨むように光を見た。光は光でいつも通りのヘラヘラとした表情で三輪たちのことを見ていた。

 

「私は今防衛任務の最中なのです!」

光は胸を張るように言ったのだが、その場で油を売っているので余り説得力はない。三輪は氷のように冷たく言い放った。

 

「なら仕事に戻れ」

と返したが、光はケラケラ笑うように茶化した。

 

「だって、思春期の高校生が何かイケナイことをしているのかなって思うと先輩として止めてあげようかなぁって」

三輪は悪態を付くように心の中で

 

(相変わらず、この人は苦手だ)

 

と感じ、横から米屋が掻い摘んで説明をし始めた。

 

「俺らはこの街に来た人型ネイバーの調査をしているんだよ」

米屋の説明が終わると光は喰いつくように目を輝かせて反応し、三輪は米屋に向けて余計なことを言うなと目で威圧をしていた。米屋も三輪の目線に察したのか、これ以上声を出すのを控えた。

 

だけど、光にとって興味をそそるにはこれだけの情報で充分であった。

 

「へえ…

 人型ネイバーねぇ〜」

光はどんなネイバーなのかを考え始めたが、楓は光にだけ聞こえる内部通信で

 

『もしかしたらさ、さっきのメガネの隊員と関係あるかも知れへんな?』

楓なりに分析をして、一つの可能性を唱えた。

 

「陽介。もしかしてあのメガネの隊員の尾行をしてるの?」

光は楓がさっき言った推理をそのままの言葉で米屋に聞いた。

 

「よく分かったな。そうだよ。俺たちはメガネくんが人型ネイバーと接触をしている可能性があると睨んでいるんだ」

米屋はそう言い

 

「陽介!

余計なことを言うな。それより行くぞ」

三輪はそれだけを言い残し、彼らは歩いていった。米屋は申し訳無さそうに

 

「ゴメンな、光ちゃん。また今度」

米屋もそれだけを言い残し去っていった。

 

 

 三輪と米屋は去っていき、光はオモチャを見つけた子供のような笑みを浮かべて、楓に連絡をした。

 

『楓、私は三輪くんたちの尾行をするわ。防衛任務よろしく!』

光はそれだけを言い残し、通信を切ってその後の通信を全部ガン無視で受けつかなかった。

 

 

 *** *** ***

 

『という訳なんやけど』

楓の説明が一通り終えて、俺は大きなため息を吐いた。

 

『楓…

一応聞くけど、光を止められなかった?』

 

『無理やろ。あんたらも知ってると思うんけど、光がああなったらテコでも止められへん』

楓もそう言い

 

『まあ、俺たちも光の現場に向かった方がいいかもな』

俺はそう提案をしたが、楓が即刻否定をした。

 

『馬鹿か、あんた。あんたまで行ったら、防衛任務が機能せえへんよ』

 

『そうだけどさ…

光を止めないと何をするか分かんないじゃん』

 

『私一人で出来る限り頑張りますよ〜』

言葉の呑気な声が聞こえ、俺は確認をした。

 

『いいのか?』

 

「ええ〜

その代わり、今度クレープ奢ってね〜」

言葉はあどけない笑顔で言い、俺は言葉に感謝していた。楓に尋ねた。

 

『楓、確か別地区に諏訪隊も居たよな?なら、フォローを頼めるか?』

俺はそう指示し、

 

『了解』

と短い返事をして、行動に移した。

 

『楓、光の所まで案内をしてくれ』

俺はそう言い、

 

『もう知らへんよ?

ルート素早く、用意するから待ってな』

楓は俺の行動に呆れたように言い、俺はその指示に従い行動を開始をした。

 

 

 

 

 

 

 

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