黒江が好きぃぃぃぃぃ!!   作:ユルい人

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第3話

木虎さんの弟子になって幾日かたったある日、遂に模擬戦で初勝利を上げる事が出来た。その嬉しき出来事に暫く喜びの舞いを踊ってたが、師匠である木虎さんに報告せねばと思い出した俺は大量のお菓子を持って嵐山隊の部屋に突撃し、木虎さんにお供えした。

 

「木虎さん!勝てました!やっと勝てました!初勝利です!木虎さんのお陰です!本当にありがとうございます!」

 

「そ、そう、良かったわね。それは良いんだけどそのお菓子の山はなに?」

 

「感謝の気持ちです!」

 

どさりと置いたお菓子の山に時枝先輩が若干引いた。綾辻さんは喜んで食べてくれた。嵐山さんはニコニコしていた。佐鳥さんはいなかった。

 

「ガンガン食べて下さい!木虎さんのおかげで好きな子に1歩近付けたような気がします!本当にありがとうごさいました!」

「んむ?亮平君好きな子いるの?」

 

「はい!めっちゃ好きな子います!」

 

「もしかして藍ちゃん?」

 

「全然違います!」

 

「あの、別に良いんだけど、そこまできっぱり言われるとなんかもやもやするんだけど……」

 

「あ、変な風に聞こえたならすみません。木虎さんの事は好きですし尊敬してますよ」

 

「そ、そうなの?亮平君は私を尊敬してるの?」

 

「はい!」

 

「ふ、ふーん、そう、尊敬してるんだ……な、何か欲しい物とかある?あったら言いなさい。後困った事があったらいつでも私に言いなさい。絶対言いなさい。いいわね?」

 

「はい!」

 

俺の返事に気を良くした木虎さんは持ってきたお菓子をパクパクと食べ始めた。ん?何こそこそしているんだろ……あ、何個かポケットに入れてる。別にそんなこそこそしないで堂々ともって帰れば良いのに。でもそれだけ気に入ってくれたんんだと思うと嬉しいな。持ってきて良かった良かった。

 

「藍ちゃんよっぽど亮平君が気に入ったのね。今の藍ちゃん凄く楽しそうだもの」

 

「ボーダーで木虎に対してここまで素直になつく人はあまりいませんからね。黒江ちゃんとかにはなつくどころか寧ろ避けられれてるっぽいですし」

 

「うぐっ!」

 

木虎さんが胸を抑え蹲る。てか今黒江さんの名前が……

 

「あの、もしかして木虎さんって黒江さんと仲悪いんですか?」

 

もしそうならかなり悲しい。天使な黒江さんは大好きだけど、師匠な木虎さんも好きだ。自分としてはそんな二人の仲が悪いと言うのはかなり悲しい。なんとか仲良くなれないものだろうか。

 

まさかの事実にテンションがだだ下がりになる俺。そんな俺を見て何かを察した時枝先輩が「ああ、違う違う」と手を振り、嵐山さんがその後に続く様に説明する。

 

「木虎と黒江は仲が悪いん訳じゃないんだ。ただ黒江は木虎の事が苦手なのかな?ちょっと合わない先輩後輩と言う感じかな」

 

「それ仲良くないのにかわりありませんよね?」

 

「うぐっ!」

 

木虎さんがテープルに突っ伏す。あれ?なんかダメージ受けてる?

 

「木虎は黒江ちゃんと仲良くなりたいみたいなんだけど、黒江ちゃんが木虎を避けてるから仲悪く見えるんだよね。なんでそうなったかは分からないけど」

 

なんと言う事だ。天使と師匠が仲違いしているとは。ここは一つ助けて貰った恩を少しでも返す為俺が一肌脱ぐか。

 

「木虎さん」

 

俺はテープルに突っ伏し動かなくなった木虎さんの横に立ち名前を呼ぶ。名前を呼ばれた木虎さんは若干涙目になった顔をゆっくりと上げ「なによ」と不貞腐れたように返事をした。

 

「俺と黒江さんが結婚式をする時仲人をお願いします」

 

それを切っ掛けに仲良くなって貰おうと想い木虎さんにまだ先の見えぬ結婚式の仲人を頼む。すると木虎さんは目をまん丸になるまで見開き。綾辻さんがお菓子を詰まらせ。時枝先輩がお茶を吹いた。嵐山さんは変わらずニコニコしていて。佐鳥さんはいなかった。

 

「え、なこ、え?亮平君、双葉ちゃんと結婚、するの」

 

「俺の未来予想図では既に家があり子供がいて家族旅行で沖縄に行くところまで描かれてます」

 

嵐山さん以外の人が結構引いてる。あれ、もしかしてなんかやらかした?

 

「亮平は黒江の事が好きなのか?」

 

ちょっと予想外の空気に戸惑っているとスマイル嵐山さんが柔らかな笑みを携え当然の事を聴いてくる。

 

「はい!めっちゃ好きです!」

 

「そうか。もう告白とかはしたのか?」

 

「プロポーズはしたんですけど全力で断られました!でもお願いしたら知り合いにはなってくれました!次は友達になれるよう頑張ってます!」

 

綾辻さんに頭を撫でられた。時枝先輩に肩をポンポン叩かれた。嵐山さんはニコニコしていた。佐鳥さんはどこにもいなかった。

 

何故か生暖かい目で皆さんに揉みくちゃにされていると真剣な表情をした木虎さんがじっと俺を見つめていた。

 

「あなた、振られたのにまだ双葉ちゃんを諦めてないの?」

 

「はい!」

 

「何故?いくら頑張っても双葉ちゃんが振り向くとは限らない。寧ろ振り向いてくれる可能性の方が低いかもしれないのに。なんで」

 

「だって大好きな人ですから!黒江さんに消え失せろボケカスと言われるまでは自分の気持ちに正直でいたいんです!」

 

「そう……」

 

「はい!」

 

自分の想いを素直にさらけ出すと、木虎さんが神妙な面持ちで俺を見つめる。数秒、あるいは数分見つめ合った所で木虎さんは椅子から立ち上がる。そんな木虎さんの表情は何か覚悟を決めた人の顔をしていた。

 

「そうね、一度や二度や十度、あるいは百度拒絶されたからといって諦めてはそこで終わりだものね」

 

「木虎さん……」

 

「ふふっ、まさか弟子になったばかりの子に教えられるなんてね………行くんでしょ?初勝利を上げたこの日にあなたが行かない筈ないものね」

 

何処に。なんて野暮な事は聞かない。微笑み問いかけてくる木虎さんに俺は力強く頷き答える。

 

「そう、行くのね………もしあなたが良ければ、私も一緒に行っていいかしら?私も自分に正直になりたいと心から思ってるの、だから」

 

続きの言葉を遮るように、俺は背を向け歩き出す。そんな俺に木虎さんは「あっ」と声を漏らす。悲しげな声を出す木虎さんにドアの前まで足を進めた俺は後ろを振り向かず木虎さんに問い掛ける。

 

「何しているんですか?置いていきますよ」

 

後ろからハッと顔を上げる気配がした。そしてその気配に続く様に一つの足音が俺に近付き横に並び立つ。

 

「弟子の癖に生意気な口を叩くわね」

 

「今この場では同士だと思っているんですが、何か違いますか?」

 

「ふふっ、C級の癖に言うわね」

 

「愛はランクを越える。今考えた俺の持論です」

 

木虎さんと顔を合わせにやりと笑い合う。そして軽く拳をぶつけ合い嵐山隊の部屋から出ていく俺達。

 

「………木虎、壊れた?」

 

ドアが閉まる寸前。時枝先輩の呟きが俺達を見送る。歩調を合わせ歩く俺達を回りの人が関わりたく無いオーラを出しながら避けていく。

 

ふふふ。黒江さん、今の俺はあの時とは違うぞ!生まれ変わった俺を、俺達をその目に焼き付けそのまま惚れろ!

 

 

 

 

 

 

「帰って下さい」

 

「待ってくれ黒江さん!俺は君に伝えたい事が」

 

「帰って下さい」

 

「双葉ちゃん!私あなたと仲良くなりたいの!」

 

「帰って下さい」

 

「黒江さん、お願いだから話を聞いて結婚して下さい!」

 

「帰れ」

 

「双葉ちゃん。私亮平君からあなた達の結婚式の仲人を任されたの、だから少しでも双葉ちゃんの事を知っておきたいの!」

 

「………木虎先輩、頭大丈夫ですか?」

 

「ふ、双葉ちゃんが私の心配を……!亮平君、やったわ!双葉ちゃんが私に心を開いてくれた!」

 

「やりますね木虎さん。だが俺も負けませんよ。今から黒江さんと俺はマイホーム設計を、あっ!なんで閉めるんですか黒江さん!開けてください!」

 

「双葉ちゃん!なんで閉めるの!せめて私、私だけでも入れて!あ、そうだ、お菓子!私お菓子持ってるの!これ一緒に食べましょう!」

 

「あ!きったねー!それ俺が持ってきたやつじゃないですか!なに自分で用意したみたいに言ってるんですか!A級の癖にせこいですよ!」

 

「ふふふ、甘いわね。私は勝つ為なら使える物はなんでも使う主義なの。そこにA級もC級も関係無いわ!」

 

「汚い!流石師匠汚い!」

 

「なんとでも言いなさい。あ、開いた!双葉ちゃん、ほらこれお菓子!沢山あるから一緒に食べ」

 

「まじで帰れ」

 

「「はい」」

 

 

 

 

 

 

 




この小説の木虎はちょっとバカです。
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