黒江が好きぃぃぃぃぃ!!   作:ユルい人

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第4話

「黒江さん黒江さん。もし良ければ一緒にご飯食べませんか?」

 

「すみません。加古さんと食べる予定なので遠慮させてもらいます」

 

「あ、そうですか……ならご飯食べ終わった後一緒に筋トレしませんか?」

 

「すみません。加古さんと筋トレをする予定なので遠慮させてもらいます」

 

「あ、そうですか……なら筋トレが終わった後結婚、もしくは婚約しませんか?今なら無料プランで木虎さんの仲人が付いてきますよ」

 

「少し黙っててくれませんか?」

 

「はい」

 

木虎さんの元で修行したお陰でちょこちょこポイントを稼げるようになり、後もうちょっとでB級に上がれそうという所まできた俺は、今ならばいけると思い黒江さんに食事、筋トレ、結婚の順で申し込んだのだが完封されてしまった。くそう。黒江さん可愛いなぁ。

 

「と言うかなんで私に敬語なんですか?確か田中さんは私の一つ上ですよね?なんで年下の私に敬語を使うんですか?」

 

おお、ボーダーに入ってから初めて黒江さんから話し掛けられた。どうしよう、嬉しすぎる。この気持ちどう表現すれば良いのだろう。いや、落ち着け、落ち着くんだ。折角黒江さんが話題を振ってくれたんだぞ。それに誠心誠意答え黒江さんの疑問を解消して上げるのが男ってもんだろ。よし、ここは一つ黒江さんの胸を打つ言葉を……ああ、

 

「黒江さんまじ天使」

 

「医務室はあちらですので勝手に行って下さい。それでは」

 

スタスタと遠ざかる黒江さんを慌てて追い掛ける。

 

「待って、ごめんなさい!ふざけた訳じゃないんです!ただ黒江さんを見てたら口からポロっと出ちゃったんです!」

 

「たいして仲良く無い人から天使とか言われてもバカにされてるとしか思えないのでもう言わないで貰えますか?」

 

おおう、け、結構キツい事を言うね。た、たいして仲良く無い、かぁ。そっかぁ……少しは仲良いって解釈で良いのかな?

ダメージを軽くする為今の言葉をポジティブに捉え、ツンっとした顔で睨むように見てくる黒江さんに頭を下げる。

 

「俺のせいで不快な思いをさせてたならごめんなさい」

 

「え、ちょ!なん!こ、こんな所で止めて下さい!早く頭を」

 

「でも黒江さんが天使なのは世の真理なので多分また呼んじゃいます。ごめんなさい」

 

「地面に擦り付けて床の掃除でもして下さい」

 

黒江さんはSかぁ……うん、ありだな。

 

天使から女王様にオンした黒江様に言われるがまま下げた頭をそのまま地面に擦り付けるべく膝を崩そうとした時、ふと誰かが黒江さんの横に立つ気配がした。

 

「あ、加古さん」

 

黒江さんの声に反応し床に付けた頭をそっと上げると、そこにはあの時助けてくれたモデルさんが微笑みを浮かべ立っていた。

 

「お昼になっても来ないから探しに来たんだけど、その亀みたいになってる子どうしたの?お腹でも痛いのかしら?」

 

「頭が痛い人なので気にしないで下さい。それとすみませんでした。加古さんに手間をかけてしまって」

 

「これくらいなんでもないわよ」

 

黒江さんの頭を撫で気にしてないでいいわよと言うモデルさん。撫でられてる黒江さんは嬉しいような恥ずかしいような顔をしながらもその手を払い除ける事なく受け入れている。

 

「どこまで可愛いければ気が済むんだ黒江さん……!」

 

普段のツンツンとした黒江さんからは想像出来ないような表情を見た俺は、余りの可愛いさに血へどを吐きそうになるのを耐えるので精一杯だった。

 

「??この子本当に大丈夫なの?なんか尋常じゃない力で歯を食い縛ってるけど。と言うか血が出てるんだけど」

 

「大丈夫です」

 

おっといかんいかん。余りにも素晴らしい光景につい力みすぎでしまった。こんな事してたら黒江さんに引かれてしまうではないか。

 

自制心が足りない自分を戒めつつ立ち上がりモデルさん改め加古さんの前まで行き頭を下げる。

 

「俺は田中亮平と言います。以前ネイバーに襲われた所を助けて頂き本当にありがとうございました」

 

「ああ、あの時の。あんな目にあったのにボーダーに入ったのね。何か理由でもあるのかしら?」

 

「はい。そこに降臨された大天使クロエルさんと幸せな家庭を築き全世界に向けこれが俺の嫁だ!とネット配信をしクロエルさんの可愛いさ世界中に自慢したいと考えており。その為にはまずクロエルさんと同じ土俵に立つところから始めるべきだろうと思い入隊致しました」

 

大天使クロエルさんが射殺さんばかりの目付きで睨んで来た。そんな顔のクロエルさんも可愛い……いや、ちょっと怖いかも。あの、それ人殺しの目ですよね?なんでそんな目で俺を見るんですか?

 

「へ、へー、そうなの……ねえ双葉、もしかしてこの子ちょっと変?」

 

「ちょっとどころかこの世界、いやネイバー含めてもこんな人いないと思いますよ」

 

「それはクロエルさんにとって俺が唯一の人と解釈してもよろしいですか?」

 

「トリガーオン」

 

いやいやいや!なんでそうなるの!?

 

いきなりトリオン体になった黒江さんに焦る俺。ただの人である俺が大天使に勝てる筈無い。そもそもC級である俺がA級の黒江さんに勝てる筈が無い。てか俺は黒江さんと戦おうなんてこれっぽっちも思った事が無い。つまり

 

「これが噂のDVか……」

 

「韋駄て」

 

「はいストップ」

 

なんか必殺技みたのを使おうとした黒江さんを加古さんが止める。ふう、危うく結婚前からDVを受けるところだった。まあ黒江さんにならなにされても良いような気がするが痛いのは嫌いなので素直に喜んでおこう。

 

「止めないで下さい加古さん。この人はここで駆除しないと危険です。と言うかもう既に危険です。さっまでのを見ていた加古さんなら分かりますよね」

 

「この位の歳の男の子が好きな女の子にちょっかいかけるのはしょうがない事よ?それを上手くあしらってこそいい女になれるのよ」

 

「なれなくても良いので駆除させて下さい」

 

「んー。流石にトリオン体でも無い子を襲う許可は出せないわね。どうしてもって言うなら模擬戦ルームでやりなさい。それなら問題無いでしょ」

 

「はい」

 

「田中君もそれでいい?」

 

「嫌です」

 

「ん?」

 

「嫌です」

 

「逃げるんですか?」

 

「そう取って貰って結構です」

 

「ここで双葉に良いとこみせたら惚れるかもしれないわよ?」

 

「い……………………や………です」

 

「随分葛藤があったわね。なんでそんなに嫌がるの?双葉がA級だから?それならハンデとか付けて差を埋めたりするわよ?」

 

「そう言う事では無く、こんな事で好きな人と戦いたくないんです。そりゃあ今の俺程度がいくら頑張った所で黒江さんに勝てる可能性はほぼ0%でしょう。けど俺がしたいのは黒江さんと戦うとかでは無く、横に並んで一緒に買い物とかをする事なんです」

 

「……そこは横に並んで戦うとか言うところじゃないの?」

 

「黒江さんと共に戦う時俺は黒江さんの前にいます。盾でもなんでも良い。黒江さんの障害になるものを一つでも取り除いて道を作る。それが俺の目標です」

 

「あらー、言うわね。立派な目標だと思うけど、今のあなたじゃそんな事到底出来ないわ。口だけならなんとでも言えるもの」

 

「はい。今の俺は弱いです。黒江さんに比べたらゴミですカスです塵です。あれ?自分で言っててちょっと泣きそう。ぐすっ…………大丈夫俺は人間。ゴミじゃない……よし」

 

「あの、無理しなくていいのよ?私もちょっときつく言い過ぎたから」

 

「大丈夫です。ちょっと挫けましたがもう大丈夫です。ご心配おかけしました」

 

「そ、そう?」

 

「はい。そしてさっきの続きになりますが今の俺は……あれですが、俺は必ず黒江さんの前に立ちます。守ります。道を切り開きます。好きな子の為にその力をつけてみせます。俺はその為にここに来たんです」

 

「………さっき嫁がどうとか自慢がどうとかが理由って言ってなかった?」

 

「あっちも本心です。と言うかあっちの理由の為に力をつけると言った方がいいですかね。黒江さんがいなければ俺の目標は全て無になりますから」

 

黒江さんがいない世界なんて考えられん。もし黒江さんがいなくなったら世界滅ぼすわ。てか俺滅ぶわ。

 

「……これはまた、凄い子に惚れられたわね」

 

苦笑いを溢しつつ加古さんが黒江さんに目を向ける。そう言えば黒江さんずっと会話に入って来なかったなと思い加古さんに釣られる様に俺も黒江さんに視線を向ける。

 

「~!」

 

するとそこには顔を真っ赤にした黒江さんが視線をあっちゃこっちゃに移動させながら俯いている姿が目に映った。え?黒江さんどうしたの?なんかオーバーヒート寸前になってるんだけど?

 

「あら?へぇ」

 

機械であったなら煙でも吹きそうな状態の黒江さんを加古さんがにやにやと笑いながら眺める。そのまま暫くの間オーバーヒート黒江さんを眺めてた加古さんだったが、突然何かを思い付いたように俺の方を向くと笑みを浮かべながら近付き腕を掴んで来た。

 

「ねえ良かったらご飯一緒に食べない?今なら双葉がセットで付いてくるけど、どう?」

 

「喜んで」

 

是非も無し。素晴らしい提案をして下さった加古さんに感謝の念を捧げるが、黒江さんに承諾を得てない事に気付く。

 

「あの、俺は一緒にご飯食べれたら嬉しいんですが、その、黒江さんが」

 

「んー?ああ大丈夫よ。双葉も人が多い食事の方が好きだから。ね、双葉」

 

「~~」

 

「ね?」

 

「いや、ね?って言われましても、今黒江さん一言も喋ってませんでしたよね?」

 

「あらぁ?双葉とご飯食べるのそんなに嫌なの?」

 

「そんな事言う俺がいたらそれは俺じゃありません。まあ、加古さんが良いって言うなら良いですけど……まあいっか。こんなチャンス滅多にないし。素直にゴチになります!」

 

「うんうん、素直でよろしい。あ、ところで田中君チャーハン好き?」

 

「好きですよ。なんでですか?」

 

「うふふ。私ね、チャーハンを作るの得意だから御馳走してあげようかなって思って」

 

「おお、本当ですか!まさか手料理を食べさせて貰えるなんて思って無かったです!あっ、ちなみになんですけど、黒江さんも料理したりとかするんですか?」

 

「んー?なーに?私の手料理じゃ満足出来ないっていうのー?」

 

「いえいえ!とんでもない!加古さんみたいな人に作って貰えるならどんな物でも満足しますよ!ただ、その……」

 

「双葉は余り作らないけど、そうねぇ。花嫁修業代わりに私のチャーハンレシピを伝授してあげようかしら?でもそうなると試食係が欲しくなるわね。んー、どこかに沢山食べてくれる男の子いないかしら」

 

「加古さん。俺の胃袋は108式まであります。加古さんの用意した食材全て食べ尽くしてご覧に入れましょう」

 

「うふふ、いいわ、そう言う子すっごく好きよ!今日は田中君の為に腕によりをかけて作っちゃおうかしら!あ、勿論飽きないように色んな種類のチャーハンを作るわよ?嫌いな物とかある?」

 

「出された物を残すなど言語道断。全て食べさせて頂きます」

 

「さっすが男の子!なんだか今日は今までで一番の物が出来そうな気がするわ!楽しみにしててね!」

 

「御意」

 

ルンルンと音符が付きそうな位上機嫌な加古さんに連れられ。これから行われる楽しい食事会に胸を踊らせている俺を数十分後の俺は殺しにかかりたくなるのであった。まあ完食したけど。黒江さんの手料理食べたいし。いや待て、確か加古さんは自分のチャーハンレシピを伝授するとか…………まあ黒江さんが作る物だったらダークマターでもいっか。楽しみだなーおえっ!




ちなみに田中が敬語を使うのは敬語を使った方が優しい年上にみえんじゃね?とか言う下らない理由で使ってたら抜けなくなっただけです。

評価を下さった方がいらっしゃるようなのでこの場を借りて感謝を。

ありがたやありがたや
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