黒江が好きぃぃぃぃぃ!!   作:ユルい人

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第9話

禍福倚伏(かふくいふく)と言う言葉をご存知だろうか。幸せの中に災いが混じっており、また災いの中にも福が混じっている。それらは停滞することなく交互に訪れる。幸せが来たら災いが。災いが来たら幸せがというように幸と不幸は表裏一体、光と影のような存在なのだ。だがよく考えて欲しい、不幸だった人に幸せが訪れる。これは良い事だ、バンバン訪れろ。しかしながら幸せだった人に不幸が訪れると言うのはどうなんだろう。幸せだった人がなにかした訳でもないのに不幸が訪れる。これはあまりにも理不尽なのではないだろうか。想いは力になる。幸せな人を妬み羨む人達の想いがそれらを引き起こしているのかもしれない。確かに不幸に陥ってる時、幸そうな人を見かけたら妬みたくなる。分かる。凄く分かる。だが、その幸せがほんの些細なものだったらどうだろう。例えば100円拾った。探してた物が見つかった。それらは確かに幸せを感じるが妬む程でもないだろう。それらに比べ少し大きな幸せの例えで、好きな人の誕生日を二人っきりで過ごして美味しいケーキを仲良く食べプレゼントした髪飾りを付けてあげた。これもそうだ。妬む事ないだろ、てか妬まれる意味が分からん。 アステロイドを撃ちたくなる。撃っても当たらないけど。全く、誰が言ったかは知らないが迷惑な言葉を残してくれる。言霊って単語をしらんのか。言ったら本当になっちゃうんだぞ? まじで本当になっちゃうんだぞ?本当に……

 

「そこんところどう思いますか?」

 

「次いくわよ」

 

もう荷物持てないっす。

 

ふんっ、と顔を背けズンズン歩く木虎さんの後ろを両手に荷物を抱え従う俺。黒江さんの聖誕祭に参加出来なかった木虎さんは日付が変わる前になんとかプレゼントを渡す事は出来たが、お誕生日会に参加出来なかった事を酷く悔んでおり。

 

「買い物行くわよ」

 

「どうぞ」

 

「あなたも行くのよ」

 

「何故ですか?」

 

「荷物持ち」

 

「八つ当たりですか?」

 

「そうよ」

 

「そういうのは良くないと思いますよ」

 

「………買い物位付き合ってくれてもいいじゃない」

 

てな具合にあれよあれよとショッピングモールへ。参加出来なかった事が余程悲しかったのかちょっと泣きそうになる木虎さん。そんな木虎さんにNOと言えるはずもなく大人しく連行された次第。両手が悲鳴をあげています。

 

「あの、次行くわよって言われてもこれ以上荷物持てないんですけど……」

 

「双葉ちゃんの誕生日会楽しんだんだから我慢しなさい」

今それ本気で関係なくない?荷物持てないって物理的な事だよ?なんでそれを気合いでどうにかさせようとするかな?

 

「あの、俺の手は2本しかない訳で、これ以上持つ場所が……」

 

「私だって双葉ちゃんとケーキ食べたかった。プレゼントは渡せたけど時間も時間だったからちゃんと話せなかった。なによりもあんなに幸せそうな双葉ちゃん見た事なかった。知ってる?あなたと出会う前は双葉ちゃんと会っても会釈位しかされなかったの。会話すらままならない冷めた関係だったの。そんな状態だっから笑顔を見るなんて夢のまた夢。誕生日会に参加するなんてイエス・キリストが200回位蘇らないと起こり得ない奇蹟だったの。そんな奇蹟がやっと舞い降りたと思ったら糞ネイバーの警戒にあたらなかればならなかった私の気持ちが分かる?分からないわよね。だって双葉ちゃんが私にまであんな笑顔見せる位楽しんだんだし。可愛いかったけど、にっこり笑う双葉ちゃん可愛いかったけど。でもそれは誕生日会がそれだけ楽しかったと言う証明でもある。プレゼントを喜んで貰えたのは嬉しかったのよ?それは本当よ?でも結果だけではダメなの。笑顔に至るまでに誕生日会という過程があって初めてあの笑顔を受け止められる。だいたいあなたが」

 

「次行きましょう。次」

 

なるほど、我を忘れた人ってこんな感じに見えるのか。今度から気を付けよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかしてヤンデル?になった木虎さんを強引に連れお店を回りまくった俺は気付いたら中国雑技団の一員に。重い吊る前見えないの三重苦を乗り越え曲芸師になった俺は一度家に荷物送りませんか?と相談。

 

「そんな量が私の部屋に入る筈ないでしょ。亮平君の部屋に置いといて。着たくなったら行くから」

 

との言葉を頂いた俺はお店の人に頼み込み段ボールを貰いコンビニへ。

 

「宛先は?」

 

「佐鳥家で」

 

なにか困った事があったら遠慮無く言えよ!と豪語した佐鳥さんに遠慮無く頼る事に。まだ会った事無いけど。LINEでしかやりとりした事ないけど。いきなり襲来する宅急便に驚かせてしまうかもしれませんが、この量は俺の部屋には入らないので頼らせて貰います。ごめんなさい。

 

お詫び代わりに何個かお菓子も入れコンビニを出る。おや?木虎さんがいない。どこ行ったんだろ?

 

姿を消した木虎さんに、もしや誘拐か?と不安が頭によぎるがオンすればものの数秒で簀巻きにするだろうと思い辺りをキョロキョロ。あ、いた。

 

ちょっと離れたクレープ屋さんにいた木虎さんが両手にクレープを持ちトコトコ歩いてくる。

 

「……ごめんなさい。意地悪し過ぎた。それと付き合ってくれてありがとう。楽しかったわ」

 

災い転じて福と為す。そのお言葉だけで充分ですよ。

 

木虎さんと一緒に食べたクレープ、とても美味しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誕生日会に続き木虎さんとの買い物を楽しんだ俺は少しでもポイントを増やそうと模擬戦ブースへ。満面の笑みを浮かべる黒江さんに相応しい男にならねばと奮闘。

 

「付き合え」

 

奮闘、奮闘………アボン。

 

 

 

 

 

 

 

では無く。どこかの空き部屋へ連れて行かれた。良かった、俺生きてるよ。ポイントが。

 

無事だったポイントに喜びを噛み締めながら部屋の中へ。おや?知らない人が二人。二宮さん、この人達は?

 

「加古のチャーハンを食った事がある奴らだ」

 

おおう、そ、それはなんとも………慰労会かなんかかな?トリガーチャーハンを経験した人が集まってする事なんてそれくらいだろうと思ったが、中にいる二人を良く見るとそんな空気を微塵も発してない。ああ、問題無いポーズをとる二人は、例えるなら予想外の強敵が現れそれをどうするか考えているように見える。あ、俺達に気付いた。

 

神妙な面持ちでああ、問題無いをしていた二人がぎらっとした目をしズンズンとこちらに歩いて、ちょ、なんか怖い怖い!

 

「「おい!」」

 

「はいぃ!」

 

「「お前加古」ちゃん」に何をした!」

 

「ごめんなさいぃぃ!」

 

超怖かった。

 

 

 

 

 

二宮さんが荒ぶるお二方の怒りを鎮め着席。初対面の筈なのに何故そんなに荒ぶってらっしゃるのか問う。

 

お前加古さんになにをした。

料理沢山食べました。

なんでチャーハン以外の化け物が現れた。

俺が良く食べるのでチャーハンだけじゃ追い付かないと言い創作意欲を爆発。最強のトリガー使いになりました。

まじふざけんな。

ごめんなさい。

 

こんな感じ。

 

どうやら加古さんがチャーハン以外のトリガーを量産してるのを知り、最近良く食べに行ってた俺が容疑者候補に上がったので呼び出されたらしい。

 

「アイディアが追い付かないってお前………加古ちゃんのチャーハンどれくらいのペースで食べてたんだ?」

 

「週に2、3回位ですかね?」

 

堤さんがぶっと吹き出した。あらら大丈夫かな?ゴホゴホとむせる堤さんに駆け寄り背中をぽんぽん叩く。

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫じゃないに決まってるだろぉぉぉぉぉぉ!」

 

耳がギーンってなった。え、どうしたんですか?

 

「週に2、3ってお前!なんでそんなに食べられるんだよ!てかなんで食べるんだよ!どうすんだよこれ!お前の話しが本当なら飲み物までっ…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ちょっとまじで大丈夫かこの人?なんかのたうちまわってんだけど。何かの病にでもかかったかのようにのたうちまわる堤さんを心配していると目の下に隈を携えた太刀川さんが話し掛けてくる。

 

「田中って、言ったよなお前」

 

「え、あ、はい」

 

「俺は太刀川慶って言うんだが知ってるか?」

 

そりゃ勿論。以前二宮さんに聞きましたから。笑ってるのか笑ってないのかよく分からない顔で聞いてくる太刀川さんにこくりと頷くと肩をガッされた。

 

「え、あの……」

 

「俺はな、こうこう見えてA級1位の部隊長をしてるんだ。勝てない相手なんていない。そう思っている。今は勝てなくともいずれ勝てると、そう信じてる。俺は負けず嫌いだからな。だがな、世の中にはどうあがいても勝てないものがある事を俺は知った。なにかわかるか?」

 

「わ、わかりません……」

 

「加古のチャーハンだ」

 

「な、なるほど」

 

A級1位の人にここまで言わせるとは流石です加古さん。流石ですからどうか田中を助けて下さい。最強の人をもってして勝てないと言わしめた加古さんに祈りを捧げる俺。そんな俺に太刀川さんが

 

「いずれ変わる。そう思っていた。情けない話しだがあれに勝てる自分が想像出来なかった。だから俺は待った、願った、いずれあれが普通の物になる日を…………だがお前のせいで勝てない相手が増えた。それも大量に。それを聞いて思ったんだ、ああ、これは模擬戦するしかないな、と」

 

とんでもない事をぬかしやがった。まじかこの人。バカなんじゃないのか?

 

「待って下さい!それはもはや模擬戦では無く八つ当たりです!勝てる訳ないじゃないですか!」

 

「八つ当たりじゃない。語らいだ」

 

「それどこのバトル漫画!?ほぼC級のポイントしか持ってない俺がA級1位の人に勝てる筈ないでしょう!?」

 

「ならB級1が相手になってやる」

 

「かわんねーよ!何回瞬殺されたと思ってんだ!」

 

「なら、B級10位の俺だったらいいよな?」

 

あまりの酷さに敬語もわすれ叫号していると、背後からねっとりとした声が聞こえてきた。それは非業の死を遂げた者が発するかの如く、重く、黒く、この世ならざる者の怨念が詰まった声だった。

 

「なあ、なんでこっちを向いてくれないんだ?なあ、なんでだ?」

怖い。ただただ怖い。だけど目の前の二人も怖い。まじで目が座ってる。今に襲い掛かってきそうな風囲気を出している。と言うかなんで俺はこんな目にあっているんだ?俺はただ黒江さんに会いに行ったらいつの間にかトリガーを食わされてただけなのに、なんでこんな事に?ふむ、これが俗に言う口は災いの元と言うやつか、喋ってないけど、食べてただけだけど、経由するのは喉か腹の違いだけど。おや?肩に手が。一体誰ですk

 

「一緒にイコウ?」

 

俺は部屋からべイルアウトした。ついでに堤さんも人からべイルアウトした。多分あれは生き霊かなんか。だって目が真っ黒だったもん。後ろからマテェェェェェェェェと言う雄叫びを聞きながら俺は家に帰ろうとしてたら加古さんに捕まりトリガー茶碗蒸しを食べてこの日を終えた。

 

不幸大きい過ぎない?二宮さんをプンプンさせてA級1位の人に目を付けられて生き霊が取り付いたとか。いや、確かに幸せだったよ?あんな時間を過ごせるならこんな事位お釣がくる位幸せだったけど………うん。あの人達には近付かないでおこう。そうしよう。

 

 

多分無理だろうけど。

 

 

 

 

 




太刀川さんの加古さんの呼び方がよく分からなかったので間違ってたらごめんなさい。

尚来馬さんは田中を問い詰めるのに気が引けて不参加でした。
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