妖精とアリスが出会う時   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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9話 網走ピラー攻防戦

 フルスロットル、スーパーフェニックス マークXIがアフターバーナーを焚き、雪風とレイフが編隊離陸。ギアアップ、直後に雪風はロケットの如く垂直上昇した。

 

 

 

 E-130早期警戒機、EC-121早期警戒機が高空を飛び、その下を攻撃機と戦闘機達が飛ぶ。目指すは本州に近い網走ピラー、Su-24 フェンサーやF-4EJ改 ファントムⅡ、F-105 サンダーチーフ、トーネード IDS、F-111 アードバーグ等の攻撃機達は対地ミサイルや対艦ミサイル、爆弾、ロケット弾ポッドを搭載して網走ピラーの根元を目指す。その攻撃機達を、MiG-25 フォックスバット、MiG-31 フォックスハウンド、F-104 スターファイター、F-106 デルタダートが護衛する。

〔バグベアより全作戦機へ。現在ターゲットの南西210マイルをホールド、警戒監視中。ノーコンタクト、コンディショングリーン〕

 E-2C早期警戒機がそう伝える。クリスティーネ達アリス隊は目の前に見える網走ピラーを睨む。きのこ雲のような見た目の網走ピラーは、今までに人類が作ってきたどんな建造物より大きい。空を覆い隠そうと、今も大きくなっているという。

「これが、ビルダーのピラー?」

 B9 エリゴスのパイロット・セシル=グレイ中尉は呟く。彼ら特殊戦には、ピラーに見覚えがあったのだ。

〔まるで、〈通路〉だ〕

 ブリューイ中尉が呟く。ビルダーのピラーは、南極に建つ巨大な霧の柱、〈超空間通路〉に形と大きさがそっくりだった。

 

 その時、先頭を飛ぶカーミラの空間受動レーダーに反応が出た。

「ブーメラン2より全作戦機。ターゲット・マージィ、距離300(km)、ベクター01、数24」

〔ラジャー、グリム隊、マスターアーム・オン!〕

 

 

 

 しかし、アリス隊とブーメラン隊はばらばらに散っていた。B6 ミンクスとノアは小松基地へやってきて、平壌ピラーからの防空の支援をしていた。

〔アリス2、ブーメラン6は燃料補給完了次第、空中哨戒待機を行え〕

〔アリス2、コピー〕

「ブーメラン6、コピー」

 コヴァレフスカ中尉はミンクスのキャノピーを開く。エンジンはアイドリング、今増槽に燃料が送り込まれている。主翼下には4発のサイドワインダーミサイル、胴体下には6発のスパローミサイル、エンジン側面に2本の増槽が付いている。

 

 ノアは、愛機クフィル C2のコクピットから小松基地のエプロンを睨む。あのストラップを手渡した整備員を探すが、見当たらない。

 

 コヴァレフスカ中尉は、ミンクスに駆け寄る人影を見、耐Gスーツの内ポケットからグロックをこっそり引き抜く。

「ブーメラン6、来てくれたのか!?」

 駆け寄ってきた男がそう叫んだ。その声に、コヴァレフスカ中尉は聞き覚えがあった。

「あなたはヘラクレス08の……」

「俺は高遠 大輝、2等空尉だ! この前は助けてくれてありがとう!」

 コヴァレフスカ中尉はグロックを元に戻す。

「すまないが、奢るのはまた今度で。お互いこの状態じゃあな」

「そうね。残念だけど」

「しかし、あんた結構美人なんだな」

「何それ」

「褒めてるのさ。この美しい機体によく似合ってる」

「……そういえば、どうして日本人なのにMiGに?」

「俺の愛機は、ビルダーの所為で動かないんだ。F-2Aなんだけどさ」

 F-2A、航空自衛隊が誇る世界最強の対艦攻撃専用戦闘攻撃機だが、コヴァレフスカ中尉は知らなかった。

 

 

 

 雪風、ありあ、キャサリンは新千歳空港上空へ来ていた。

「こちら国連軍 調布基地所属、第5飛行隊。新千歳タワー、聞こえていたら応答せよ……駄目ですね」

 桂城少尉が報告する。零は眼下の新千歳空港を見る。滑走路は3本あり、民間用のエプロンとは別に、航空自衛隊や海上保安庁用のエプロンもある。空自領域のエプロンに、派手なカラーリングのTS-1が見える。

〔どうするの?〕

 ありあが訊いてくる。零は答えた。

「降りるしかないだろう。そのために来たんだ」

〔分かった。アリス4、南よりアプローチ〕

〔え、えぇ!? ちょっ、ありあ!〕

 キャサリンの驚きを尻目に、ありあのF-1は高度を落とし始める。フルフラップ・ダウン、ギアダウン、接地した所で主翼のエルロンを立ち上げた。

〔こんな不気味な所に……〕

「早くしろ、アリス5」

 零にせっつかれ、キャサリンのF-4E ファントムⅡもギアダウンした。ありあのF-1はもう空自領域のエプロンへ移動している。

 

 

 

〔アラート! 48エネミー、ヘッドオン!〕

 EC-121早期警戒機が警告を出す。すぐにMiG-31が全ての長距離ミサイルを放った。

 護衛戦闘機達も交戦を始める。その合間に攻撃機達はLANTARN(低空飛行用夜間暗視装置及び地形照合レーダー)を起動させて超低空飛行、超音速飛行(一部亜音速)で網走ピラーの根元を目指す。既に十勝平野上空に達している。

〔ブーメラン5よりアレース隊、ターン・ヘディング〕

〔ラジャー〕

 B5 アプサラスの指示を受け、F-4F スーパーファントムは旋回し、攻撃隊を直上から襲い掛かろうとするビルダーのF-35A ライトニングⅡを正面で捕捉、サイドワインダーミサイルを発射する。

 ビルダーのF-35AはF-4Fの攻撃を認め、回避機動を取る。その一瞬を付いてF-104がF-35Aを撃墜した。

 

 その隙にSu-24やトーネード IDSは対地ミサイルや対艦ミサイルを発射、そして退避する。

 

 

 

 航空自衛隊 千歳基地のエプロンに、FFR-41MR メイヴ、F-1、F-4Eが並んでいる。

 メイヴのコクピットカプセルが後退し、キャノピーが開く。零は座席下のサバイバルキットからP90を取り出し、前縁ストレーキから飛び降りた。

 桂城少尉はTS-1へと向かい、ありあとキャサリンは機体から飛び降りる。

「武器はそれだけか?」

「ええ」

 零は溜め息をつく。ありあは自衛隊制式の9mm拳銃、キャサリンはM1911 A1自動拳銃だけだった。零はP90のチャージングハンドルを引きながら口を開く。

「ならおれ達の後ろにいろ。前に出てくるなよ」

「優しいですね、零さん」

 キャサリンが微笑みながら言った。零は冷酷にあしらった。

「拳銃しか持たない小娘が目の前をうろちょろされると邪魔なんだ」

 そこへ、桂城少尉が戻ってきて首を振った。TS-1には手掛かりが無かったらしい。

「サバイバルガンすらありませんでした」

 それを聞き、零は思い出した。

「TS-1のサバイバルガンはジャックが持ち出したんだ。今は特殊戦 司令部にあるはずだ」

「じゃあ、もしロンバート大佐がいても、武器は拳銃だけか」

「分からないぞ、少尉。ここで武器を調達されたら勝ち目は無いぞ」

 すると、ありあが入ってきた。

「ここに保管されているライフルや、ヘリに積むマシンガン、それに隣には陸上自衛隊の駐屯地があるから、対戦車ロケット弾やプラスチック爆弾とか――」

「……行く気が失せる前に突入しますか」

 桂城少尉はP90を構え直した。

 

 

 

〔B6, Alice2, clearance for take off.〕

 結局ノアに例のストラップを渡した整備員は見つからなかった。ミンクスとクフィル C2は滑走路に出て、アフターバーナーを焚いて離陸した。

 

 

 

 対艦ミサイル・ASM-1(80式空対艦誘導弾)を搭載したF-4EJ改やF-1の第2波攻撃隊が向かう。それをMiG-21やトーネード ADVが護衛する。

〔エリゴス、シックス・オクロック! ブレイク・レフト、ブレイク・レフト!〕

 B9 エリゴスの後ろにビルダーのSu-47 ファーキン(ベールクト)が2機つく。グレイ少尉はサイドスティックに力を加え、スーパーシルフを6G左旋回させる。しかしSu-47は、1機は4G左旋回、もう1機は8G左旋回をして後方に居続ける。エリゴスの受動警戒装置が警鐘を鳴らした。

 グレイ少尉は左手で正面パネルのボタンを押し、そしてスロットルレバーのスイッチを操作した。

 エリゴスはエンジン側面の増槽を投下、そのままチャフとフレアを散布する。

 

 

 

 零達は格納庫を探し尽くし、管制塔の隣の建物を捜索する。ロケット弾を撃ち込まれたのか、壁の所々に穴が開いている。

「やはり、生きている人はいませんね」

 桂城少尉が呟く。零はP90を構えながら辺りを警戒する。

 

 

 

 ブッカー少佐は驚いていた。目の前にいる人物は、紛れもなく矢頭少尉だった。

「――」

 ブッカーは言葉を出す事が出来ない。

「ジャミーズは何度でも蘇る――。不死鳥というより、ゾンビですがね」

 そして矢頭少尉はグロックを取り出した。ブッカーもポケットに入れていたグロックを取り出すが、一歩遅かった。

 銃声、ブッカーは左脇腹を鞭打たれたような痛みを感じ、グロックを握っていない左手で触れると、血が出ていた。

「さよなら、ブッカー少佐。ロンバート大佐にはよろしく言ってください」

 矢頭少尉はグロックを構え直す。すると、足音が響いてきた。

「少佐!」

 それは特殊戦のアイドル的存在の女性オペレーター・ヒカラチアだった。手にはFAF制式オートライフル・M16 A2 E3(俗称M16 A3)が握られている。そしてヒカラチアはM16を構え、目を瞑って引き金を引いた。

 反動で銃が暴れ、10発近い掃射を喰らった矢頭少尉は息絶える。そしてブッカーも倒れた。

 

 

 

 零達は捜索を続ける。ロケット弾で吹き飛ばされたらしい死体をいくつか見つけたが、ロンバート大佐のものでは無かった。

「ロンバート大佐は何処行ったんでしょうね」

「私語は慎め、少尉。大佐がおれ達を狙っているかもしれない」

 ある部屋の扉の前に並び、零は蝶番から扉を開ける方向を定める。そしてドアノブに手をかける。桂城少尉はP90を構え、部屋に入る用意を整えた。

 

 

 

 ぼそぼそという話し声や足音、呼吸音からして誰かが扉の向こうにいるのは明白だった。

 エディスは89式小銃の銃床を腋に挟み、引き金に指をかける。

 やがて、扉が開かれた。




年明け最初の投稿です(かなり時間経ちましたが)。

ちなみに、FAFの銃器はOVAからです。サバイバルガンについては、原作では「221口径のブルバップ型」とか、マシンガンとかサブマシンガンとか表記がごっちゃなので、OVAからまんまです。「アンブロークンアロー」で桂城少尉が持ってたオートライフルは、多分サバイバルガンとは別物だと思います。なのでヒカラチアがM16を持っていたのです。

OVA 5話で、FAF憲兵がM16 A1らしきライフルを持ってましたが、P90とかグロック出してM16 A1は・・・という事でアメリカ空軍のM16 A3です。

あと、原作で死んでいない人はだいたい出すつもりです(ジャミーズとして蘇ったのも含め)。OVAのイトー君は多分出ない。
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