妖精とアリスが出会う時   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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23話 さよならイーグル

 レーダーで目標を捉える。

〔アリス2、FOX1!〕

〔5!〕

 ミラージュ2000-5とF-15C イーグルが中距離空対空ミサイルを一斉射する。同時にレーダー警報、ロックオンされた。4機は一斉に増槽を捨て、チャフを撒く。

 8機の目標を相手に、計8発のミサイルを放った。到達まであと2秒――

〔駄目だ、4機しかやれなかった!〕

〔上等よ! 1対1まで減らせたんだから!〕

 悔しがりながら、チャフを撒いて回避するノアを、クリスティーネが励ます。クリスティーネはDyモードスイッチを押してサイドスティックを手前に引く。JAS-39C グリペンは機体を水平に保ったまま上昇、接近してきた敵ミサイルは目標を見失うが、JAS-39C グリペンが撒いたチャフに反応、チャフの雲に突っ込んで自爆する。

〔ボギー、インサイト・ヘッドオン! 皆、準備はいい!?〕

『ラジャー!』

〔アリスリーダー、エンゲージ!〕

〔2!〕

「3!」

〔5!〕

 4機は一斉にアフターバーナーを焚く。

 

 

 

 アリス隊が交戦しているのは既に調布基地に知らされていた。

〔Alice4, Boomerang1, clearance for takeoff.〕

 支援のため、雪風とバイパーゼロが離陸する。

 それを見送り、エディスは司令室へと向かった。

 

 

 

 ヘッドアップディスプレイ越しに捕捉、短距離空対空ミサイルをリリースする。

〔ターニャ、行くわよ!〕

〔はい!〕

 フレアを撒きながら回避するビルダーのYF-23 ブラックウィンドウⅡを、JAS-39C グリペンとMiG-29M ファルクラムが追跡する。

 ベーパーを出しながら左旋回するYF-23 ブラックウィンドウⅡをJAS-39C グリペンが追い掛け、MiG-29M ファルクラムは上昇してバックアップ。

〔貰った! アリスリーダー、FOX3!〕

 JAS-39C グリペンが27mmリボルバーキャノン砲をぶっ放す。見事、YF-23 ブラックウィンドウⅡに命中する。

〔クリスティーネさん! エンゲージ、シックスオクロック!〕

 MiG-29M ファルクラムが急降下、タチアナがクリスティーネに警告する。

〔くっ!〕

 JAS-39C グリペンはフレアを撒いて回避運動、しかし後ろに食い付いた殲-20は離れない。

〔アリス3、FOX2!〕

 タチアナが短距離空対空ミサイルを発射、殲-20はそれを感じ取ったのか、フレアを撒いて急降下する。

〔逃がさないわ!〕

 JAS-39C グリペンが左急旋回、背面飛行に移る。MiG-29M ファルクラムも続き、殲-20を追尾する。

 

 

 

 ミラージュ2000-5がパワーダイブ、それにビルダーのT-50 PAK FAが続くが、キャサリンのF-15C イーグルが後ろから襲い掛かる。

「アリス5、FOX2!」

 F-15C イーグルの右主翼から、AIM-9L サイドワインダー短距離空対空ミサイルが発射される。が、T-50 PAK FAはフレアを撒いて右急旋回、AIM-9L サイドワインダー短距離空対空ミサイルは外れてしまう。

「あ〜、ごめんなさいノアさん」

〔気にするな、キャシー。まだだ!〕

 ミラージュ2000-5が右急旋回、T-50 PAK FAをロックオンする。そしてサイドワインダー短距離空対空ミサイルを発射する。

 T-50 PAK FAはフレアを撒く余裕すら無く、サイドワインダー短距離空対空ミサイルを喰らった。が、後ろからF-22A ラプターが20mmバルカン砲で攻撃してきた。

「わっ!」

〔チッ!〕

 2機はバレルロール、回避運動を行う。しかし、キャサリンのF-15C イーグルが左主翼と左エンジンに被弾してしまった。

 左エルロンが言う事を聞かない。液晶ディスプレイには「LEFT ENGINE MASTER CATION」という文字が点滅している。

 左エルロンがやられたため、左旋回がしづらい。キャサリンは必死に操縦桿を操作するも、機体は思い通りに動かない。

「お願い、イーグル!」

 キャサリンは叫ぶ。が、イーグルは元の機動を見せられない。

 その時、後方警戒レーダーが警鐘を鳴らした。振り返れば、F-22A ラプターの20mmバルカン砲のカバーが開いていた。

 

 

 

「ヴィロワ司令、あなたは何を知っているのですか?」

「何を、とは?」

「例えば、キャサリン=ウェラー少尉の経歴について」

 エディスはヴィロワ司令に問い掛けた。ヴィロワ司令は顔色一つ変えず、口を開いた。

「彼女は記憶を無くしてミッドウェー基地にいた。それを救出部隊が見つけた。それだけです」

「そうとは言えませんよ」

 エディスは書類を机に置く。

「何故、この基地に彼女の出生について書かれた書類があるのかしら」

「……見つけてしまいましたか」

 ヴィロワ司令は溜め息をつく。そして、決心したような顔をし、口を開いた。

「それに書いてある通りです。彼女は、アメリカが実験していた『兵器』です」

 

 

 

 キャサリンは死を覚悟する。

 そして衝撃波が彼女の体を揺さぶる。しかし、キャサリンはまだ生きている。

「……!?」

 見れば、F-22A ラプターは木っ端微塵になっていた。そして、メイヴとF-2A バイパーゼロが右旋回をする。

「ありあ!?」

〔キャシー、怪我は?〕

「無いけど……」

〔そう。アリス4とブーメラン1、支援に来た〕

 メイヴ雪風はベーパーを起こす急旋回、T-50 PAK FAを追跡する。それをF-2A バイパーゼロとミラージュ2000-5がアシストする。

〔ブーメラン1、FOX2〕

 メイヴの左主翼からサイドワインダー短距離空対空ミサイルが発射される。フレアを使い切ったT-50 PAK FAがミサイルを喰らい、爆散する。

 

 

 

〔当たれっ!〕

 クリスティーネのJAS-39C グリペンが27mmリボルバーキャノン砲をぶっ放す。しかし殲-20はバレルロールを打って回避する。

〔ああもう!〕

 クリスティーネは悔しがる。そこへ、アフターバーナーを焚いたMiG-29M ファルクラムが近付いてくる。

〔アリス3、FOX3!〕

 MiG-29M ファルクラムが30mm機関砲をぶっ放す。見事、殲-20は餌食になった。

〔見事ね、ターニャ〕

〔当然なのです!〕

 JAS-39C グリペンとMiG-29M ファルクラムは編隊を組む。

 

 

 

「『兵器』……」

 エディスはヴィロワ司令の言葉を反芻する。

「ええ。脳死したドナーの脳に直接記憶を焼き付ける、高性能兵士量産計画……彼女、キャサリン=ウェラー少尉は空軍向け第1号ですが――」

「なるほど、元の人格を取り戻してしまった訳ね」

「ええ。そして彼女はF-35Bを奪って逃亡……その時ちょうど、ビルダーの侵略が始まった」

「救出した際、一切の記憶を失っていたから、観察を兼ねてこの基地にいるのね」

「名前だけは覚えていたようですが」

「……まさか、キャサリン=ウェラーが本名なの?」

「ええ。キャサリン=ウェラー、コードネーム『フレイヤ』……それが彼女の名です」

 エディスは言葉を失う。倫理観ではなく、単に技術の進歩への沈黙だった。このような技術に、エディスは驚かないからだ。既に似たような技術はFAFで実証されており、ただのプログラマーだった零が今のようなエースパイロットになったのは、その技術のおかげと言っても過言ではない。

「フォス大尉」

 ヴィロワ司令が口を開く。

「この事は口外しないでもらえますか?」

「ええ、勿論。ブーメランならまだしも、アリス隊には相当なショックでしょうから」

 

 

 

 無事にビルダーの攻撃隊を全滅させた。アリス隊と雪風は編隊を組み、調布基地へ帰投する。

〔キャシー、被害は?〕

「左エンジンと左主翼がやられた。少なくとも1週間は掛かるなぁ……」

〔でも、まだF-4Eが格納庫にあるじゃないか〕

「機体のポテンシャルが違い過ぎますよ」

〔そうなっても、タチアナが全力サポートするのです!〕

〔ターニャと同感ね。私達アリス隊はチームで戦うもの〕

〔同意。何だったら、クフィルを貸してやろうか?〕

〔あ! ずるいのです! タチアナのMiG-23を貸しますよ、キャシーさん!〕

〔おいおい、時代遅れの手動可変翼を貸してどうするんだ?〕

〔時代遅れなんて! F-14やトーネード ADVより確実なのです!〕

 いつものテンションのアリス隊に、キャサリンはほっとする。

〔アリス4被弾。アリス4は上空にて旋回待機、アリス1・2、着陸を許可します〕

〔ラジャー〕

〔ラージャ〕

 JAS-39C グリペンとミラージュ2000-5がランディングギアを降ろし、フラップを下げる。

 

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