妖精とアリスが出会う時   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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29話 6対6

 やがて、12機は演習空域に達した。そして6機ずつにブレイクし、離れていく。

 

 ある程度飛び、演習管制のB2 カーミラから旋回の指示が出た。アリス隊と3機の特殊戦機は一斉に左旋回、第185飛行隊(コールサイン・キャロル)をヘッドオンで捕捉する。距離30km、同高度だ。

〔ファイト・オン〕

 カーミラから、演習開始の指示が出る。

 

 

 

 キャロル隊が2機ずつに分かれ、アリス隊・ブーメラン隊に襲い掛かる。

 雪風とジルウェットは上昇、キャロル隊のEF-2000 タイフーンとラファールCが食い付く。ジルウェットはVmaxスイッチをオン、アフターバーナーを焚いて突き放す。一方の雪風は水平飛行に移って左旋回、ドッグファイトスイッチをオンにし、桂城少尉がEF-2000 タイフーンとラファールCを視認する。

 一気に雪風はベーパーを出す旋回を行う。揚力を失い、雪風は錐揉み状態へ。零と桂城少尉は一瞬ブラックアウトする。素早く中枢コンピュータ内のMADCが各翼を制御、雪風は体勢を立て直す。

 零の視界が戻った時、雪風はEF-2000とラファールCをロックオンしていた。零はミサイルレリーズを押す。FCSは2発のAIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルを仮想発射、EF-2000 タイフーンはフレアを撒くも、8G旋回から抜け出せずサイドワインダーを喰らってしまった。ラファールCはフレアを撒きながら右旋回、サイドワインダーをかわす。しかしそこへ、ジルウェットが急降下、ラファールCに襲い掛かる。

〔わっ!〕

 ラファールCの女性パイロットが驚く。そして、イザベルの声が響く。

〔ブーメラン8、FOX3〕

 

 

 

 Su-37 フランカーFがソロで飛び、JAS-39C グリペンとミラージュ2000-5が追い掛ける。

〔もらった! アリス2、FOX2!〕

 ミラージュ2000-5がサイドワインダーを仮想発射する。しかし、Su-37 フランカーFはフレアを撒きながら急上昇、背面飛行の姿勢になりながらも上昇してサイドワインダーをかわす。

〔AHAHAHAHAHAHAHA!〕

〔駄目だ、もうGで性格ぶっ壊れた〕

 Su-37 フランカーFの女性パイロットの狂った笑い声が響き、そして違う声が混じる。

〔これがフランカーの格闘機動性か!?〕

〔よそ見してる場合じゃないわよ。キャロル6、FOX2〕

 いきなり「FOX2(短距離ミサイル発射)」がコールされた。ノアが振り返ると、雲の中から殲-10Aが飛び出してきた。

 フレアを撒く余裕すら無かった。JAS-39C グリペンとミラージュ2000-5は、殲-10Aから仮想発射された4発のパイソン短距離ミサイルを喰らう。

 

 

 

〔お嬢ちゃん1人か! こいつは優しくしてあげないとなぁ!〕

 F/A-18E スーパーホーネットとF-14D スーパートムキャットがバレルロールを打ちながら逃げ、MiG-29M ファルクラムが追い掛ける。

〔タチアナを子供扱いしていると、痛い目に会うのです!〕

〔だってよ、レイジ!〕

〔クリス、テンションブチ壊れだな〕

 F/A-18E スーパーホーネットがエルロンロール、雲へと逃げる。

〔あっ! いつまでも逃げるなんて、男らしく無いのです!〕

 MiG-29M ファルクラムも続く。

〔だから『お子ちゃま』なんだよ〕

 キャロルリーダーこと、F/A-18E スーパーホーネットのパイロットが言う。雲の外のF-14D スーパートムキャットはエアロブレーキを開いて減速、そして雲の中へ突っ込んでMiG-29M ファルクラムの後ろに回った。

〔雲の所為で可愛いお尻が拝めないなぁ、残念だな、お嬢ちゃん〕

 MiG-29M ファルクラムの後方警戒レーダーが警鐘を鳴らす。F-14D スーパートムキャットはMiG-29M ファルクラムの後ろに占位、ぴったり食い付いて離れない。

(しまったのです!)

 MiG-29M ファルクラムは急降下、しかしF-14D スーパートムキャットは食らいつく。

〔せいぜい逃げなぁ、お嬢ちゃん! 雲を抜けたらそのお尻を舐め回してやるぜ!〕

〔キモいのです!〕

〔クリス、俺もそう思う〕

〔うるせー!〕

 MiG-29M ファルクラムが雲を抜ける。タチアナはエアロブレーキを操作、操縦桿を引く。しかしF-14D スーパートムキャットが迫り来る。

〔ここまでだな! キャロル2、FOX――〕

〈B13 FOX3〉

 それは突然だった。MiG-29M ファルクラム、F-14D スーパートムキャット、F/A-18E スーパーホーネットのメインディスプレイに、そう表示が出た。そして、一瞬で何かがF-14D スーパートムキャットを追い越し、3機のメインディスプレイに新たな表示が出る。

〈B13 FOX3 : Carroll2 KILL〉

〔えっ、はぁ!?〕

 キャロル2、F-14D スーパートムキャットのパイロットが驚く。

 そしてタチアナは、咄嗟に操縦桿を引き、アフターバーナーを焚く。MiG-29M ファルクラムは急上昇、F/A-18E スーパーホーネットを捉える。

〔アリス3、FOX2!〕

〔やってくれるな〕

 F/A-18E スーパーホーネットはフレアを撒きながら急降下、MiG-29M ファルクラムとすれ違う。

〔逃げてばかりは駄目なのです!〕

〔覚えとけ、世の中逃げて利益になる事があるとな〕

 その時、MiG-29M ファルクラムの受動警戒装置が警鐘を鳴らした。

(――!?)

 

〔キャロル5、FOX3!〕

 Su-37 フランカーFが30mm機関砲をぶっ放した。

 

〔アリス3、スプラッシュ(撃墜)〕

 B4 ズークからMiG-29M ファルクラムへ、そう告げられた。タチアナはやり切れない思いで演習空域を出た。

 

 

 

〔さて、3対3だな〕

 キャロルリーダーこと、土岐代 玲二は3面ある液晶ディスプレイの内、電子戦モードのディスプレイを見る。ブーメラン隊は高高度で編隊を組み、降りてくる気配が無い。

 土岐代はハンドサインを出し、F/A-18E スーパーホーネット、Su-37 フランカーF、殲-10Aは上昇した。

 

 雪風のマルチディスプレイに、その様子が出る。

「おれとレイフが降りる。ジルウェットはここに残ってバックアップだ」

〔B8、了解〕

 雪風とレイフが急降下する。

 

〔来るぞ、ブレイク・レディ、ナウ〕

 F/A-18E スーパーホーネットは左へ、Su-37 フランカーFと殲-10Aは右へ旋回する。当然、レイフはF/A-18E スーパーホーネットに食い付く。雪風はエアロブレーキを開いて減速する。

〔単純過ぎてつまんねーな! キャロル5、FOX――〕

 Su-37 フランカーFがレイフをロックオン、短距離ミサイルを発射しようとする。が、レイフの受動警戒装置がそれを探知、そしてレイフは機首を引き上げると、そのまま背面飛行で後ろ向きに飛んだ。

〔なっ!? クルビット機動!?〕

〈B13 FOX3〉

 回避する間もなく、Su-37 フランカーFはレイフのガン攻撃で仮想撃破された。

 

〔もらったわ、『幸運の駆逐艦』〕

「それはどうかな」

 殲-10Aが、雪風の後ろを取る。しかし雪風は主翼やカナード翼、水平尾翼を全て使って左急旋回。殲-10Aが離される。

 零はスロットルレバーを奥へ倒し、同時にVmaxスイッチを押した。

 FFR-41MR メイヴのスーパーフェニックス マークXIが安全設計限界を超える推力をひねり出し、急加速。巨大な前進翼が上方へ畳まれ、雪風はあっという間に殲-10Aを突き放す。

〔何だあれは!?〕

「ジルウェット、今だ」

 

 B8 ジルウェットが急降下、殲-10Aに上から襲い掛かる。

〔ブーメラン8、FOX2〕

〔ブーメランの連中、何でもありか!?〕

 殲-10Aはフレアを撒きながら急降下、ジルウェットはさらに加速して距離を縮める。

 

 

 

 そして、F/A-18E スーパーホーネットへ、雪風とレイフが襲い掛かった。

〔こいつら、化け物か!?〕

 F/A-18E スーパーホーネットは右急旋回、ガン攻撃モードのレイフをオーバーテイクさせる。ヘッドアップディスプレイ越しに捕捉、ガン・レクティクルとレイフが重なった。

〔キャロルリーダー、FOX3――〕

 言い切る前に、レイフに逃げられる。

(あの動き、本当に有人機か!? だが飛び方は無人機というより、素人だ。経験値が足りてない)

 土岐代はそう分析する。が、F/A-18E スーパーホーネットの受動警戒装置が突然鳴る。

 振り返れば、雪風の真っ黒な巨体があった。土岐代は咄嗟に操縦桿を左へ倒す。

 

 しかし、こちらの方が早かった。

〔ブーメラン1、FOX3〕

 

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