妖精とアリスが出会う時   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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33話 アイスドール

 数日後、調布基地――

〔Caroll1, 2, cleared for takeoff.〕

 F/A-18E スーパーホーネットとF-14D スーパートムキャットが編隊離陸していく。

 ありあは、それを愛機F-2A バイパーゼロのコクピットから見上げていた。緑地迷彩が施され、垂直尾翼に「血まみれアリス」が描かれたありあ仕様機だ。

 

 プリフライトチェック完了、F-2A バイパーゼロとFFR-41MR メイヴが滑走路に並ぶ。

〔Boomerang1, request for takeoff.〕

「Alice4, request for takeoff.」

 2機はクリアランスをコール、管制塔から離陸許可が降りる。

〔Boomerang1, Alice4, cleared for takeoff.〕

 2機はアフターバーナーを焚く。そして2機は弾き出されたように加速し、空へ上がった。

 

 

 

 高高度、キャロル隊とアリス隊、ブーメラン隊の計12機は編隊を組んで飛ぶ。

 ありあは、右手のサイドスティックを意識する。今もまだ、飛ぶ事は怖い。が、飛ばねば守る事も出来ない。アリス隊は、5人から4人に減った。これ以上仲間を失いたくないと、ありあは再び飛ぶ決心が出来たのだ。

 

 やがて、演習空域に達した。演習管制は、飛行試験を終えたばかりのE-767早期警戒管制機だ。護衛は4機の特殊戦機が担う。

 12機は6機ずつに別れ、お互い離れる。

 左旋回、キャロル隊を正面で捉えた。

〔ファイト・オン〕

 12機は一斉にアフターバーナーを焚いた。

 

 キャロル隊は2機ずつに別れ、アリス隊とブーメラン隊に襲い掛かる。

〔皆、行くわよ!〕

 クリスティーネの指示で、アリス隊とブーメラン隊も別れる。クリスティーネ、ノア、タチアナの3人と、ありあ、雪風、ランヴァボンの2チームに別れたのだ。

 JAS-39C グリペン、ミラージュ2000-5、MiG-29M ファルクラムの編隊が、EF-2000 タイフーンとラファールCの編隊に立ち向かう。5機はすれ違い、旋回戦へ。9Gに迫る激しい旋回をする中、そこへSu-37 フランカーFと殲-10Aがダイブし加わった。

〔甘いわね!〕

〔数ではこっちの勝ちよ!〕

〔それはどうかしら?〕

 クリスティーネがそう言った次の瞬間、Su-37 フランカーFと殲-10Aの受動警戒装置が鳴り、声が聞こえた。

〔アリス4、FOX2〕

 振り返ると、そこには緑地迷彩のF-2A バイパーゼロがいた。

 

 

 

〔くっ、アイスドールは何処行った!?〕

 F/A-18E スーパーホーネットとF-14D スーパートムキャットが、雪風とランヴァボンに追い掛けられていた。

〔大尉、ここは俺達に任せてくれ〕

「了解した、中尉」

 雪風は右旋回、アリス隊のバックアップに向かう。

〔逃げるな! クリス、妖精の方は任せたぞ! 俺は女王を追う!〕

〔おう!〕

 F/A-18E スーパーホーネットは急上昇、しかしF-14D スーパートムキャットは急降下して2手に別れる。

 ブリューイ中尉はサイドスティックを引いて機首上げ、F/A-18E スーパーホーネットをロックオンする。ミサイルレリーズを押し、AIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルを仮想発射した。そして、F-14D スーパートムキャットを追い掛ける。

〔しぶとい野郎だぜ!〕

〔何とでも言うがいいさ〕

 F-14D スーパートムキャットは主翼を広げ、バレルロール。しかしランヴァボンが後ろから追い掛ける。

〔だがなぁ、トムキャットはただの艦隊防空戦闘機じゃないんだぜ!〕

 そして、F-14D スーパートムキャットは飛行中にも関わらず、主翼をT/L(発着艦)位置まで広げた。主翼上面でベーパーが起き、F-14D スーパートムキャットは急上昇してランヴァボンのヘッドアップディスプレイから姿を消した。

〔!?〕

 見上げれば、エアロブレーキを広げて減速するF-14D スーパートムキャットの姿があった。そして、こちらへと急降下してくる。

〔チッ!〕

〔おらおらぁ! さっきまでの威勢は何処行った!?〕

 ランヴァボンはフレアを撒き、左急旋回。しかしF-14D スーパートムキャットも続く。ランヴァボンの前縁ストレーキからベーパーが発生するも、F-14D スーパートムキャットは上昇、そしてランヴァボンへスパイラルダイブ、後方占拠を保ち続ける。

〔もらったぜ! キャロル2、FOX――〕

 しかし、ランヴァボンは一気に急旋回、ドリフトするように空気を押しのけ、F-14D スーパートムキャットをヘッドアップディスプレイ越しに捉えた。

〔ブーメラン7、FOX2〕

 

 

 

 Su-37 フランカーFの後ろに、ミラージュ2000-5とMiG-29M ファルクラムが張り付く。ラファールCと殲-10Aは仮想撃墜された。

〔待つのです!〕

〔ちょこまか逃げるな!〕

〔誰が逃げないか!〕

 Su-37 フランカーFのジグザグ機動に、ミラージュ2000-5とMiG-29M ファルクラムがついていく。

 3機は雲海へ。Su-37 フランカーFは雲の合間を縫うように飛び、MiG-29M ファルクラムが食らいつく。何度かロックオンするも、その度に雲に邪魔され、ミサイルを仮想発射出来なかった。

〔同じロシアとはいえ、やっぱり機体性能に格差が出るわね。残念だけどお嬢ちゃん、私のフランカーには勝てないわ〕

〔確かにラースタチカ(MiG-29M ファルクラム)ではスホーイには勝てないでしょう。でも、あなたは重要な事を忘れているのです!〕

〔?〕

 その時、Su-37 フランカーFの受動警戒装置が鳴った。

(落ち着け。雲に入れば、ミサイルのシーカーは追尾出来ず発射出来ないわ!)

 しかし、違った。

〔アリス2、FOX3〕

 振り返ると、触れるばかりまで近付いたミラージュ2000-5がいた。

 

 

 

 F/A-18E スーパーホーネットとF-2A バイパーゼロが踊る。

 F/A-18E スーパーホーネットは急降下、雲の中へ隠れる。ありあはスロットルレバーのレーダーコントローラーを操作、J/APG-2アクティブ電子走査アレイレーダーを広域索敵モードにセットし、F/A-18E スーパーホーネットを探す。

 

(ふん、所詮は小娘だな。雲に隠れればこっちのものだ)

 土岐代はそう思い、雲から抜け出した。雲に入った次の瞬間、機首上げを行ったのだ。

 土岐代は悠々と飛ぶ。しかし、無線に突然声が割り込んできた。

〔アリス4、プルアップ(機首上げ)だ〕

 

 それを聞き、ありあはサイドスティックを引く。F-2A バイパーゼロは機首上げ、広域索敵モードのJ/APG-2アクティブ電子走査アレイレーダーに映った。ありあはレーダーを単一目標追尾モードに設定、F/A-18E スーパーホーネットをレーダーロックオンする。しかし、まだ雲の中だからミサイルを発射出来ない。

 

〔くっ!〕

 F/A-18E スーパーホーネットは更に急降下、F-2A バイパーゼロのロックオンから逃れる。

 その時、ふと思った。

(さっき、雪風がアイスドールに指示を出していた。だとすれば、奴は俺を見張っているはずだ)

 土岐代は首を回し、情報を見る。が、雲しかない。やがて、F-2A バイパーゼロが雲の中から出てきた。

〔野郎!〕

 F/A-18E スーパーホーネットはフレアを撒きながら逃げる。

 

 

 

 EF-2000 タイフーンがJAS-39C グリペンに追い掛けられる。

〔しぶといですねクリスティーネ大尉!〕

〔それはお互い様よ、シャロンちゃん! アリスリーダー、FOX3!〕

 クリスティーネがガンコントロールスイッチを引く。が、EF-2000 タイフーンは右急旋回でかわした。

〔まだまだぁ!〕

 EF-2000 タイフーンは急上昇、JAS-39C グリペンも続く。そして、EF-2000 タイフーンはエアロブレーキを開いた。

〔!?〕

 EF-2000 タイフーンがJAS-39C グリペンの後ろに回り込んだ。シャロンはヘッドアップディスプレイ越しにJAS-39C グリペンを捕捉、センタースティックのガンコントロールスイッチに指を掛けた。

〔キャロル5、FOX3!〕

 

 

 

 F/A-18E スーパーホーネットは左旋回、F-2A バイパーゼロも続く。が、F/A-18E スーパーホーネットはエアロブレーキを開き、降下した。ありあは一瞬で察し、右急旋回を開始する。

 降下したF/A-18E スーパーホーネットは機首を上に向ける。そこには、尻を向けてGE/IHI F110Jターボファンエンジンからアフターバーナーの炎を牽いて逃げるF-2A バイパーゼロの姿があった。

〔キャロルリーダー、FOX――〕

〔ブーメラン1、FOX2〕

 振り返れば、そこにはFFR-41MR メイヴがいた。自機から一切電波を出さず、受動的索敵装置だけで居続けた雪風は、このチャンスにF/A-18E スーパーホーネットの後ろにつき、搭載していた4発のAIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルを全て仮想発射した。

 

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