目の前にいるのは、命の輝きを失い、氷のオブジェになった湖の主、リオプレウロドン。これはこれで美しいけれど、僕の目的のため、糧になってもらおう。
『アイス』を解除して左腕を再び捕食形態にし、オブジェを吸い込む。これで暫くすればかなりのオラクルを得られるだろう。この地の魚類・両生類もだいぶ手に入ったから、今日は拠点に帰ることにする。喰いすぎて生態系が壊れるのは、色々と困るし。
背中に翼を展開し、僕は
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……森にぽっかりと開いた穴。その中央に鎮座する僕の眷属(仮)の周りに、十匹ほど小型の肉食竜と思しき生き物が群がっている。まぁ、森の真ん中に肉の塊があるようなものだから仕方ないんだろうけど、やっぱり大切なものを食い散らかされれば腹が立つ。
「雑魚共、覚悟はできてるだろうなぁ!?」
左腕の口から
……サックリと殺ってしまった。他の奴らは、もう少し苦しませてやろう。コレは今までと比べ物にならない量のオラクルを消費するけど、今だけは気にしないことにする。
―――――コピー能力『マイク』発動―――――
耳には
「圧倒せよ、ハイパーボイス!!」
「「「ギャアアアアアァァァァァァァァァ......」」」
それはまさに、
「・・・吸い込み開始」
僕の吸い込みは、抵抗する者にだけは効かない。それは逆に言えば、抵抗しない者、出来ない者は基本的に何でも吸い込めるということだ。そして今の奴等に、抵抗する術は残されていない。
「終わりだ、雑魚共。」
そしてこの地にいるのは、僕と眷属(仮)だけになった。
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「~~♪~♪」
唄を歌いながら、僕は眷属(仮)の修復と強化を行っていた。完成はまだまだ遠い。
「大きくな~れ~♪ 強くな~れ~♪ 我が眷属に~♪ 絶対的な~♪ 大いなる力を~♪」
即興で作った唄を口ずさみながら、作業を続ける。歌詞とリズムは適当なのに、才能のおかげで凄くいい歌に聞こえる。そてにしても、『マイク』にオラクルを使いすぎたかなぁ。もう、あんまり残ってない。とりあえず、今日はこれくらいが限界だ。それじゃあ、残りはまた明日。とりあえず、もう今日は寝よう。アラガミは活動するだけでもオラクルを消費するし。
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―――――ドクン―――――
翌日、というか、午前零時。なんというか、この脈動のような違和感には慣れない。オラクル回復能力は便利だし重宝するけど、この感じは性質の悪い目覚ましにしかならない。
まぁいいや、とりあえず作業を再開しよう。こいつは僕の初めての眷属であり、これからを共にするパートナーだから、作成に妥協したくない。素材は最高なんだから、何処まで再現できるかは分からないけど、僕の持てる全力を注ぎ込んで、最高のものを創りあげたい。
……あっという間にオラクルがほとんど尽きた。けれど完成にはまだ程遠い。この周辺に敵の気配は感じられないし、ゆっくりと明日が来るのを待とう。
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単調な作業を繰り返しながら、たぶんもう一ヶ月位経った。起きては創り、起きては創り、時々喰らいを繰り返した結果、ついに初の眷属が完成した。アロサウルスの肉体に恐暴竜イビルジョーの筋力と食欲、そしてさらに召喚竜バハムートの知能と能力を兼ね備えた、最強の眷属が。
「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」
産声、というには凄まじすぎる咆哮をあげる眷属。「知能」に重点を置いた進化を遂げた人間をたくさん喰らえば、いつかは意思疎通もできるかもしれない。まぁ、そんなことをしなくても
「これからよろしくな。……えーっと、『ナイン』!」
原型が
「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」
……正直、喜んでるのか異議申し立てしてるのかが分からないけど、気にしないことにする。
「ナイン、最初の命令を与える。生態系を破壊しない程度に、様々なものを喰らえ。」
「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」
了解、と言っているのだろう。たぶん。