安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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今回は、かなり長く書けました。それでも、2500字には届きませんでしたが。


第十一話 目覚める最強

 目の前にいるのは、命の輝きを失い、氷のオブジェになった湖の主、リオプレウロドン。これはこれで美しいけれど、僕の目的のため、糧になってもらおう。

 『アイス』を解除して左腕を再び捕食形態にし、オブジェを吸い込む。これで暫くすればかなりのオラクルを得られるだろう。この地の魚類・両生類もだいぶ手に入ったから、今日は拠点に帰ることにする。喰いすぎて生態系が壊れるのは、色々と困るし。

背中に翼を展開し、僕は愛しの我が子(一体目の眷属)が待つ拠点を目指して飛び立つ。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 ……森にぽっかりと開いた穴。その中央に鎮座する僕の眷属(仮)の周りに、十匹ほど小型の肉食竜と思しき生き物が群がっている。まぁ、森の真ん中に肉の塊があるようなものだから仕方ないんだろうけど、やっぱり大切なものを食い散らかされれば腹が立つ。

「雑魚共、覚悟はできてるだろうなぁ!?」

 左腕の口から約束された勝利の剣(エクスカリバー)を呼び出し、一気に降下する。そしてその勢いのまま、一頭目の首を刎ね飛ばした。

 ……サックリと殺ってしまった。他の奴らは、もう少し苦しませてやろう。コレは今までと比べ物にならない量のオラクルを消費するけど、今だけは気にしないことにする。

 

―――――コピー能力『マイク』発動―――――

 

 耳にはヘッドホン(耳栓)、右手には大きなマイク。星のカービィ(ゲーム)では画面に映る全ての敵を消し去る、一撃能力の一つ。一回の能力発動におき一度の攻撃しか行えないうえ、オラクルの消耗量も半端ではないが、その分威力も絶大で、攻撃範囲も広い。

「圧倒せよ、ハイパーボイス!!」

 超音量(ハイパーボイス)……名前こそ大層だが、実際はマイクに向かって叫ぶだけ。しかし、このマイクは所謂特別製。その威力はバカにできない。

「「「ギャアアアアアァァァァァァァァァ......」」」

それはまさに、意識を刈り取る叫び(ハイパーボイス)に対する断末魔の叫び。まだかろうじて息はあるみたいだけど、もう長くは無いだろう。まぁ、僕には奴らを逃す気も、死を待つ気も無いけど。

「・・・吸い込み開始」

僕の吸い込みは、抵抗する者にだけは効かない。それは逆に言えば、抵抗しない者、出来ない者は基本的に何でも吸い込めるということだ。そして今の奴等に、抵抗する術は残されていない。

「終わりだ、雑魚共。」

そしてこの地にいるのは、僕と眷属(仮)だけになった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「~~♪~♪」

 唄を歌いながら、僕は眷属(仮)の修復と強化を行っていた。完成はまだまだ遠い。

「大きくな~れ~♪ 強くな~れ~♪ 我が眷属に~♪ 絶対的な~♪ 大いなる力を~♪」

 即興で作った唄を口ずさみながら、作業を続ける。歌詞とリズムは適当なのに、才能のおかげで凄くいい歌に聞こえる。そてにしても、『マイク』にオラクルを使いすぎたかなぁ。もう、あんまり残ってない。とりあえず、今日はこれくらいが限界だ。それじゃあ、残りはまた明日。とりあえず、もう今日は寝よう。アラガミは活動するだけでもオラクルを消費するし。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

―――――ドクン―――――

 

 翌日、というか、午前零時。なんというか、この脈動のような違和感には慣れない。オラクル回復能力は便利だし重宝するけど、この感じは性質の悪い目覚ましにしかならない。

 まぁいいや、とりあえず作業を再開しよう。こいつは僕の初めての眷属であり、これからを共にするパートナーだから、作成に妥協したくない。素材は最高なんだから、何処まで再現できるかは分からないけど、僕の持てる全力を注ぎ込んで、最高のものを創りあげたい。

 

 ……あっという間にオラクルがほとんど尽きた。けれど完成にはまだ程遠い。この周辺に敵の気配は感じられないし、ゆっくりと明日が来るのを待とう。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 単調な作業を繰り返しながら、たぶんもう一ヶ月位経った。起きては創り、起きては創り、時々喰らいを繰り返した結果、ついに初の眷属が完成した。アロサウルスの肉体に恐暴竜イビルジョーの筋力と食欲、そしてさらに召喚竜バハムートの知能と能力を兼ね備えた、最強の眷属が。

「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」

 産声、というには凄まじすぎる咆哮をあげる眷属。「知能」に重点を置いた進化を遂げた人間をたくさん喰らえば、いつかは意思疎通もできるかもしれない。まぁ、そんなことをしなくても同調(リンク)できるようにしたし、そもそも僕も彼(彼女?)も同じ細胞オラクル細胞から出来ているんだから、体の一部を接続(コネクト)して一体化(ユニゾン)だってできる。ちなみに、一体化の効果は読んで字の如くだ。

「これからよろしくな。……えーっと、『ナイン』!」

 原型がアロ(・・)サウルスっていうことと、狩りに使った武器が(アロー)だから、弓矢関係の名前にしようとした結果、(きゅう)(きゅう)をかけて、(ナイン)になった。いずれ、九頭竜風にするのもいいかもなぁ。

「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」

 ……正直、喜んでるのか異議申し立てしてるのかが分からないけど、気にしないことにする。

「ナイン、最初の命令を与える。生態系を破壊しない程度に、様々なものを喰らえ。」

「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!」

 了解、と言っているのだろう。たぶん。

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