安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第十九話 ヴォルケイノ

ドオオオオォォォォォォォォン!!

 荒れ狂う溶岩、燃える木々。立ち昇る灰、降り注ぐ岩石。恐竜絶滅の序章、火山噴火。

「モースト、無事?」

「#$%&¥*!」

 ダメだ、何言ってるのかまるで分からない。けどまぁ、大した傷は負ってないだろう。それなりに体は頑丈で、噴火の勢いで飛んできた岩石程度じゃほとんど傷つかないし。さすがに、直接溶岩に触れたらダメージを受けるだろうけど。

「ナインは?……聞くまでもないか。」

「グオオ!?」

 あ、ちょっとショック受けてる?でも、ナインは僕と一緒に家モーストの中にいるんだから、怪我してるわけが無いんだよね。

「クワァ、クワァ!!」「キシャアアァァァ!?」「クルル、ルル!?」「グオオォォォ!」

 ここも完全防音ってわけじゃないし、窓もあるから、外の様子が良く分かる。何の知識も持たず、しかし本能で危険を察知している動物達が、必死に逃げ惑っている。必死って、必ず死ぬって書くんだよね。彼等に限って言えば、あながち間違っても無いんだけど。……あ、そうだ。

「モースト、窓開けて。あと、進路は海で!」

「&%+$!」

 開いた窓から銃身形態の左腕を出し、吸い込みを開始する。銃()だって、立派な口の一つだ。

 岩石や植物のほかにも、逃げ場を失った動物や、すでに事切れた者が捕食空間に送られる。ちょっと不謹慎かもしれないけど、ぼろ儲けだ。

 ……そもそも僕は、不謹慎とか気にしないんだけど。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

「#%$&+*!」

「え、何?……あぁ、海か。よーし、突っ込めー!!」

 突き進ませて今更だけど、モーストは泳げるのだろうか?

「#$&!%¥@+*!!」

「グオオッ!?」

 あぁ、やっぱりダメだった。モーストが溺れている。しかも、中まで海水が入り込んできた。どうせなら、水陸両用にしておけばよかったなぁ。手遅れだけど。

「ナインはとりあえず休んでて。吸い込み開始。」

 ナインが銃口に吸い込まれていく。もちろん、行き着く先は保存空間。間違っても、相棒を捕食空間に送るようなヘマはしない。

 そうこうしてる間にも、水かさが増してくる。そろそろ僕も手を打たないとマズいかな。人型では、肺呼吸してるし。

「全身形態変化、グボログボロ」

 僕が持っている能力(チカラ)のひとつ、僕の知るアラガミへの変化。水生アラガミのグボログボロに変化すれば、水中でも生きていける。……別に人型のままでも、酸欠で死ぬようなことは無いんだけど。そもそも、アラガミに酸素は不要だし。生前の癖で呼吸するついでに、酸素をオラクルに変換して、エネルギー消費を抑えているだけで。

 モーストのほうは、いずれ自力で浮かび上がるだろう。我が家の原型の半分であるヤマツカミは、宙に浮くタコみたいなものだし。ところで――――

 

 ――――僕はいつまで海にいればいいんだろう?早く陸に戻りたいんだけど。噴火、収まらないかなぁ。

 

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