安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第二十話 深き眠り

 噴火が収まって、地上の様子が落ち着いてから陸に上がったけど、その光景はあまりにも悲惨だった。

 木々は倒れ、炭化し、動物たちは食料を求めて彷徨っている。そして空は火山灰に覆われ、日の光は届かない。

「酷い光景だね。しかもこれで、まだ序章って言うんだから、ねぇ。」

 僕の前世の知識どおりなら、まずはあの火山灰で日光が届かないせいで光合成の出来なくなった植物が死に、それを食べる草食動物が、そしてさらに、それを食べる肉食動物が食糧不足で死んでいくはず。

 ……どうせ死ぬなら、長い苦しみを味わって餓死するより、溶岩に焼かれてコロッと逝っちゃったほうが幸せだと思うのは僕だけだろうか?

「ナイン、新たな命令を与える。『この地で死んだ生き物と、新たに生まれ、繁栄した動物を喰らえ』。あぁ、この時代の生き物は、大半喰っちゃっていいよ。あと、オラクルのことは気にしないで。毎日午前零時に、僕のオラクルが供給されるはずだから。」

「グオオッ!」

 この地で銃口からナインを吐き出し、命じる。たしか恐竜絶滅には終末捕食が絡んでるって説があったはずだから、ほとんど喰っても問題ないだろう。まぁ、生命の再分配が面倒だから、完全な終末捕食はさせないけど。さて、僕はもう一人の家族の方へ行こうか。でも、その前に、

「ちゃんと野菜(植物)も喰えよ~。」

「グオ!?」

 一応一言残しておく。そうしないと、ナインは動物ばかり食べるから。

「じゃあ、元気でなぁ~!」

「グオオォォォォ~!!」

 暫しの別れ。

 

 

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

 

「モースト改、元気だった?」

「&$#%*!」

 相変わらず、何言ってるのかわからない。ちなみに何故『改』かというと、あの後、水中でも活動できるようにしたから。……でも面倒だし、呼び方は今までどおりでいいか。

「モースト、沈め。」

「&%$#@!」

 水中での活動ができるようになったモーストは、泳ぐほかにも、浮いたり沈んだり出来る。もちろん、水漏れ対策もバッチリ。この巨体が沈めば水かさが増しそうだけど―――――そして、あまり浮いたり沈んだりししていると津波とかが起こりそうだけど―――――そんなことは気にしない。僕は僕の好きなように生きる。

「モースト、ナインに何かあったら起こしてね。」

「#&$」

 了解、と言っているのだろう。たぶん。

 最近になって僕は、零時迷子発動の不快感を痛覚遮断で消せることに気付いた。だからこれからは、自然に目が覚めるまで、いつまでも眠っていられる。これで、人が生まれるまで、退屈しないですむ。それじゃあ――――

 

「――――ナイン、モースト、おやすみ。」

 

 

 

 

 僕が深く永い眠りに落ちても、時流(とき)は眠ることなく、動き続ける。

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