~SIDE 龍~
何か忘れてること……あっ!
気付いた僕は、すぐさまUターン。話を聞くため、ナインの元に駆け寄る。
「ナイン!なんでモーストが
そう、僕が眠りについたとき、モーストは海底深くに沈んだはずなのだ。それなのに何故、今モーストはこんな山奥みたいな場所にいる?
「主は何年ほど眠っていたか、覚えておりませんか?」
……僕の寝ていた期間?もう人間が生まれているから、大体……
「1億5000万年くらい?」
「……はい、恐らく。そしてその間に地殻変動が起こり、モーストのいた海底は盛り上がって山になりました」
なるほど、それで僕らはこんな山奥にいるのか。それじゃあ、もう一つ。
「ナイン、どうして喋れてるの?」
そう、僕が眠りに付く前は、ナインは人間の言葉なんて操れなかったはずなのに、今は当然のように喋っている。1億年も経てば、アラガミも勝手に進化するのだろうか。
「実は数十年前、この近くにあった村の民がモーストに危害を加えようとしまして……」
「うん、それで?」
「……我が村を喰い尽くしました」
「…………はい?」
今、何て言った?村を食い尽くした?
「ナインが人の言葉を操れるのは、人を喰らって知識を得たから?」
「はい」
「……もしかして、ナインと僕が魔竜と邪神って呼ばれてるのは、そのせい?」
「恐らく」
……なるほど。たしかにナインの実力なら村を滅ぼすくらい造作もないし、そんなことをされたら魔竜なんて呼びたくなるのも分かる。……まったく、なんて面倒なことをしてくれたんだか。討伐隊とか送られて来たらどうするんだ。……なんて聞いたら、どうせ「返り討ちにします」とか「喰らい尽くします」とかいう返答が返ってくるのだろう。本当に、嫌になる。
「ちなみに、まだ聞き取りづらいですが、モ-ストも人間の言葉を話せます」
「……マジで?」
「はい」
……もう嫌だ。本当は愚策なんだろうけど、面倒な事実がこれ以上出てくる前に話を打ち切ろう。
「それじゃあ、その子のことよろしくね。もし暴走したら止めといて。」
「了解しました。」
名も無き魔女は眠っている、というか気絶しているからこのままでいいし、僕は元寇に向けて『嵐を呼ぶ者』の創造でも始めようか。