安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第三十一話 アラガミ講座と新たな仲間 後編

~SIDE 龍~

 

 僕のアラガミ講座は、まだ続く。自分のことくらいは、しっかりと知っておいて欲しいし。

 

「アラガミは様々なものを捕食し、その情報を吸収することで進化をしていきます。具体的な例を挙げるならば、人間を喰らっていれば高い知能を持ち、岩を喰らっていれば硬い体を持ちます。また、同じ種族でも、得られる情報には個体差があります。例えば同じ人間でも、武士を喰らえば戦闘能力が上がり、農民を喰らえば作物の知識が得られます。アラガミにも好き嫌いはありますが、あまり同じものを喰らい続けると、だんだんとそれに近づいてしまうので注意が必要です。質問はありますか?」

「後半について、もう少し詳しく教えてください」

 

 詳しく、ねぇ。具体例を挙げたら何とかなるかな?

 

「それでは、実際の例を挙げましょう。クアドリガというアラガミは、人間の兵器ばかりを喰らった結果、武装戦車のような進化を遂げたものです。ヴァジュラテイルというアラガミは、ヴァジュラと呼ばれるアラガミを喰らった結果、それに近づいた別種のアラガミです。大体理解できましたか?」

 

 狼型の小型アラガミ、オウガテイルが、虎型の大型アラガミ、ヴァジュラを喰らった結果生まれたのがヴァジュラテイルだ。保存空間で何匹か飼っているけど、わざわざ呼んで見せる必要は無いだろう。

 

「では次に、アラガミ同士できることを教えましょう。私達が互いにできることには、同調(リンク)接続(コネクト)一体化(ユニゾン)供給(パス)の四つがあります。まずは、同調《リンク》から教えましょう。準備はいいですね?」

「はい!」

 

 あれだけ暴れ回った後なのに何故こんなにも元気なのだろう。別にいいけど。

 

「同調とはアラガミ同士が共振する行為です。感応の劣化版……と言っても分かりませんか。アラガミ同士の相性によって、その深さは変わってくるため、大概同調会話(テレパシー)や捕食によって得た情報のやり取りなどは可能ですが、相手の五感を通して同じものを感じることは、かなり相性の良い者同士でしかできません」

 

 ちなみに全アラガミの母体である僕は、全員と相性抜群だったりする。ついでに、僕の眷属の一部が人の言葉をしゃべるのは、ナインと同調(リンク)して知識を得たからである。

 

「次に、接続(コネクト)と一体化《ユニゾン》について話しましょう。接続(コネクト)とは、自身の一部を他のアラガミに接触させ、互いのオラクル細胞を結合することです。これにもやはり相性はあり、触れるだけでいい組み合わせと、体の内部まで刺し込まなければならない組み合わせがあります。一体化(ユニゾン)とは、接続(コネクト)の結果互いの体を共有することです。互いの技を使うことができるほか、片方が翼、片方が胴体というように、身体を分担することも可能です。質問はありますか?」

「身体の分担について教えてください!」

 

 これはさすがに、実際に見せる以外に教えようが無い。というわけで、

 

「ナイン、ホーネット、頼んだよ!」

「「了解!!」」

 

 主にアロサウルスを原型としているナインは陸上特化。対してホーネット族は機動性と飛行に特化した種族だ。その二つが身体を分担し、お互いの長所を生かせば……

 

「わぁ!魔竜様に羽が生えました!!」

 

ナインの肉体を主体にしながら、ホーネットがナインのオラクルを借りて巨大な羽となり、陸空両用のアラガミになる。もちろんナインの攻撃力と防御力も、ホーネットの俊敏さも残っている。

 

「これを見て感覚は分かりましたか?では、供給(パス)について教えます。……といっても、これはそう難しいことではありません。全てのアラガミは母体である僕を通じて繋がっているため、互いにオラクルの受け渡しが可能であり、この行為を供給(パス)と呼びます。ここまでで、分からないことはありますか?」

「ないです!」

「それでは最後に、オラクル細胞について教えます。……と、その前に、ナインとホーネットはもう元に戻っていですよ」

 

一体化(ユニゾン)させたまま、忘れるところだった。たぶん、まだセーフの範囲内だろう。

 

「オラクル細胞とは、一つ一つが独立した捕食細胞であり、変幻自在の未元物質です。アラガミの種によって変換可能なものは違いますが、全てのアラガミを一つとして考えれば、オラクル細胞とその原料兼エネルギーであるオラクルは、何にでもなると考えられます。私達にとってオラクル細胞とは、自身の一部であると同時に、武器であり、道具なのです。あなたがどのような変換に適しているのかは分かりませんが、魔法と共に、自身の可能性も研究すると良いでしょう」

「分かりました。ありがとうございます、邪神様!!」

 

 正に、花が咲いたような笑顔でお礼を言われる。これで呼び方が邪神じゃなければ、最高なんだけどなぁ……。

 

「まだ当分はここにいるでしょ?分からないことがあったら、また聞きなよ。あと、君の力は一人で生物災害(バイオハザード)を起こせるレベルだから、無闇に使わないこと」

「はい!」

 

 とりあえず、僕のアラガミ講座は終わり。やっぱり、慣れない敬語は疲れるね。ところで……

 

 

 

 

 神は神でも、僕は邪神じゃなくて荒神(アラガミ)なんだけど。彼女は、ちゃんと気付いてるんだろうか?

 

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