~SIDE 龍~
暴走、鎮静、講義と、やけに濃かった一日から月日は経ち。
「邪神様~。イモリの黒焼きください~」
「黒魔術でも使う気!?あんたの使う魔法って、所謂『超科学』だろ!?」
魔力とか、オカルトチック(?)なものも多く含んではいるけど、彼女の使う魔法は科学の行き過ぎたもので、ある程度は科学的に解明されているらしい。どおりで、今の時代で既にミサイルの類を知っているわけだ。
「確かにそうですけど、魔法にはまだまだ未知の可能性があるんです」
「……それが、どうしてイモリの黒焼きなんていう黒魔術チックな単語に繋がるのさ!?」
「新たな術式を完成させるためには、新たな閃きが必要なんです!だから、いろんなものを使って実験をしてみようと……」
「随分と地道だね」
自称魔女且つ魔法研究者の彼女は、こういう地味なことも喜んでやる。正直、僕には理解できない感覚だけど。というか、まずは魔力について解明するべきだと思う。リンカーコアとかいう器官に宿るエネルギーってこととかは分かってるらしいけど、持つ者持たざる者の差とか、詳しいことはつ分かってないらしいし。
「というわけで、イモリの黒焼きください」
「自分で探して来い」
出会ったころに比べて、図々しくなったと感じるのは僕だけなのだろうか?一応、永遠の忠誠を誓わせたはずなんだけど。
「そんなこと言わずに、創ってくださいよ~。かわいい巫女さんがお願いしてるんですよ?」
「自分でかわいいって言うか、普通?それ以前に、あんた魔女じゃなかったっけ?」
「神様に仕えてるんですから、巫女ですよ~。魔女でもありますけど」
……荒神や邪神に使える人間を巫女と呼んでいいのだろうか。本場の巫女に怒られそうな気がする。
「って、話変えないでください!今は、イモリの黒焼きですよ!!」
「だから、自分で探せって。大体、創った物での実験じゃあ正確性に欠けるでしょ」
オラクルの変換は、オラクル細胞に『それ』と同じ特性を与えるだけで、『それ』そのものになるわけではない。具体的に言えば、オラクル変換によって生み出された『火』は火と同じ特性を持つオラクルであり、厳密には科学的な『火』とは違う。アラガミの吐く炎がアラガミを傷つけるのに対して、火炎放射器の炎が傷を与えられないのは、この辺りに原因がある。
……基本的には何の問題にもならないことだけど、僅かなズレが発生しないとも言い切れないから、実験とかに使うのは止めた方がいいと思う。いや、どうせ閃きの材料にしか使わないのなら、問題ないのか?
「ちょっとの誤差なんていいんです!イモリください!」
それでよく研究者を名乗れるな、と思う。
「く~だ~さ~い~!!」
「はいはい、分かったよ。創ればいいんでしょ、創れば」
本当に彼女は僕に仕える気があるのかと疑問に思う。そんな、僕らの日常。