安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第三十三話 襲撃

~SIDE 龍~

 

 元寇以来、僕達は平穏な日常を送っていたはずである。それなのに……

 

「邪神様、魔竜様、どうか我等に御加護を!!」「我等に力をお与え下さい!」「どうか我等に御力添えを!!」「力無き我等に救いを!!」

 

 いかにも武士っぽい奴等が群れを成してやってきたせいで、その平穏もあっさりと崩れ去った。

 

「ナイン、どうする?」

「邪魔な存在ではありますが、喰らっても大したものは得られないでしょう」

「要するに、反対なのね?」

「はい」

 

 今の僕らは、無駄な殺生も捕食もしないつもりだ。つまり、捕食で何か特殊な力を得られるものと、敵対したもの意外は基本的には殺さない。ナインたちが活動するためのオラクルは僕が供給できるし、僕のオラクルは零時迷子が無償で回復させてくれるからこそできる生活だ。

 

「あいつら、邪神を何だと思ってるんだろうね?特に最後の奴」

()神だということが分かっていないのでは?」

「かもね」

 

 何故か巫女なんてものはついてるけど、今の僕の立場はあくまでも邪神。聖なる神様のように、無償で恩恵を与えることはしない。……というか、僕の種族はアラガミ。本来なら、人から全てを奪い去る存在だ。

 

「本気で我に何かを望むなら、相応の代償をもってこい。自身の身をも捧げた、我が巫女のように―――――って感じの返事とか、どう思う?8割方僕の本心だけどさ、カッコ良くない?」

「あの愚民共は暴動を起こしかねませんが」

「……否定できないね。全く、勝手な話だよ」

 

 勝手に期待して、勝手に失望する。正直、迷惑極まりない。

 

「(アルジ、アケナクテモ、イイノカ?)」

「(あぁ、モーストか。門は閉じたままで良いよ。相手したくないし)」

 

 モーストの言葉は、相変わらず聞き取りづらい。同調会話(テレパシー)なのに。やっぱり、言語習得能力にも個体差があるのだろうか?おれとも、ナインとの相性の差か?

 

「さて、あいつらもその内諦めるだろうし、昼寝でもしようかねぇ」

 

 必要以上に、歴史に介入したくないし。態々僕が力なんて与えなくても、自分達で鎌倉幕府を倒すだろう。僕達は、傍観者だ。

 

「いたぞ!!幕府に逆らう反逆者、朝廷の兵を討てーーー!!」

「我等には邪神様が付いている!幕府軍など、返り討ちにしてくれるわーーー!!」

 

……傍観者、のつもりだったんだけどね。自分の家の前でドンパチやられると、すっごい迷惑なんだよ。だから、

 

「ナイン、追い払って。死人が出たら、ホーネットが回収」

「「了解」」

 

 まだ敵対とはみなさないけど、ここから出て行ってもらおう。特に、突然やってきて争いを始めた幕府軍には、お灸をすえる必要があるし。

 

「邪神様は戦わないんですか?」

「僕が出るまでも無いでしょ。ホーネットはともかく、ナインは僕と同等以上の戦闘能力を持ってるんだから。まあ、外の人間達が本気で僕達と敵対するなら、僕も出撃するけど。アラガミの長としての体裁ってもんがあるし」

 

 このあたりの村は一度ナインに滅ぼされてるから、彼らも僕等の恐ろしさは連中も分かっているはず。僕が出るまでも無く、大人しく退いてくれるだろう。

 

「全軍怯むな!幕府に逆らう朝廷と裏切り者の御家人、そしてやつらに加担するあの城の主とその手下共を、皆殺しにするのだぁぁぁ!!」

 

…………は?

 

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