安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第三十四話 出陣と意外な弱点

~SIDE 龍~

 

「ねぇ、自称巫女さん」

「何ですか?」

「今あの人たち、敵対宣言したよね?」

「しましたね~」

「あれはきっと、宣戦布告だよね?」

「かもしれませんね~」

 

よし。

 

「僕も出るから、ここは任せたよ」

「へ?任せるって、何をですか?」

 

 自称巫女が何か言ってるけど、僕はそんな細かいことは気にしない。それよりも今は、幕府軍の殲滅だ。

 

「僕の家族を傷つけるなんて、絶対に許さないよ?」

 

 僕が心配するまでも無いだろうし、戦場に送り出した僕が言えるようなことでもないけど、堂々と家族を傷つけると公言されて黙っていられるほど、僕は温厚な性格はしていない。

 

「(モースト、門開けて。僕も出る)」

「(リョウカイシマシタ)」

 

 閉ざされた門が、開いていく。

 

「形態変化、ハンニバル侵食種」

 

 僕は自身の体を、漆黒の竜人のそれへと変える。こうも連続で暴れ回ることになるとは思わなかったけど、力の限り奴等を蹂躙してやろう!!

 

 

~SIDE OUT~

 

 

~SIDE ホーネット~

 

「立ち去れ、愚民共ッ!!」

 

 相変わらずナイン殿は、マスター以外には口が悪いですね。

 

「(僕の家族を傷つけるなんて、絶対に許さないよ?)」

 

 マスターは家族思いですね。私達の代わりなど、いくらでもいるでしょうに。

きっとマスターは、自分の言葉が同調会話(テレパシー)で私達に届いていることにも気付いていないのでしょう。私達との同調(リンク)を通して戦場を見ているのですから、強い思いや言葉が伝わるのは当然なのですが。

 

「形態変化、ハンニバル侵食種」

 

 おや、今度は直接言葉が聞こえました。どうやらもう、戦場に出てきたようですね。それでは打たれ弱い私は、一度安全地帯まで退きましょう。ここに居ては、巻き添えをくらいます。

 

「焼き払え、ファイアストーム!!」

 

 !? 最初から全力全開ですか!?私はまだ、非難できてないんですが……。ナイン殿はともかく、私がそんな攻撃を喰らっては、一撃で存在ごと消し飛びますよ!?

 

「切り刻め、炎剣乱舞!!」

 

 ですから、どうしてそんな大技ばかり出すのですか!?私をあの人間達のように、惨たらしく中途半端な炭になさるおつもりですか!?本当に私達を大切に思ってます?

 ……といいますか、見ていてあまりに気持ち悪いので、やるならきっちりと炭化させきってください。中途半端に赤黒い肉が見えていて、吐きそうです。冗談ですが。

 

「…………」

 

 ……おや?なんだかマスターの様子がおかしいような……?

 

 

~SIDE OUT~

 

 

~SIDE 龍~

 

「切り刻め、炎剣乱舞!!」

 

 紫の炎剣で、人間共に斬りかかる。炎が、熱が、刃が、無慈悲に無差別に命を刈っていく。

 

「…………」

 

 そして僕の目の前に築かれたのは、死者の山。完全には炭化しきっていなくて、所々から赤黒い血肉が覗いている。

 ……どうしてだろう?ものすごく気持ち悪くて、直視できない。恐竜は頭を落としてもなんとも無かったのに。もしかして僕は、あまりにもグロ過ぎるものは苦手なのだろうか。それなら、この惨殺死体の山を直視できないことにも、全てを喰らうアラガミであるはずの僕が本気で吐きそうになったことにも、納得がいくけど。

 

「あの黒竜を殺せええぇぇぇぇ!!」

 

 どうしよう?体が上手く動かない。もしかして、あの死体を見て精神がやられたのか?だとしたら、全く情けない話だ。眷族であるナインたちは――――ホーネットの姿が見えないが――――怯むことなく殺戮を繰り広げているのに。

 

「主に手は出させぬぞ、愚民ッ!」

 

 僕に襲い掛かってきた武士は、ナインに喰われた。部下に助けられるなんて、情けない。

 

「主、お怪我はありませんか?」

「大丈夫だよ。ありがとう、ナイン」

「我等は主のために存在しています。我等は主に尽くします。主のためになら、命も差し出します。……主、どうぞご無理はなされぬよう」

「……ごめん。心配かけたみたいだね」

「我等は喜んで主の手駒となります。主が気に病むことなど、何もありません。」

「ありがとう」

 

 部下に助けられただけじゃ無く、気まで使われてるようじゃ、上司失格だね。まだ、惨殺死体とかには忌諱感があるけど、そんなこと言ってられない。

 

「死体が見れないなら、目を瞑ってしまえばいい。簡単な話だよね。……僕には、信頼できる仲間がいるんだから……。焼き払え、ファイアストーム!!」

 

 僕が放つのは、今までとは比べ物にならない数の紫炎の竜巻。目が見えない今、これは無差別に全てを蹂躙する破滅の竜巻だけど、僕の仲間達なら避けられる。僕は、そのことを確信している。だって彼らは、僕の部下であり、家族であり、子供なのだから」

 

「それでこそ我等が主です。……それでは、愚民の掃討を再開しよう!!」

 

 さあ、僕達に楯突いたことを後悔させてやるッ!!

 

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