安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第三十五話 信頼と危機

~SIDE ホーネット~

 

「主に手は出させぬぞ、愚民ッ!」

 

 様子のおかしいマスターを襲った幕府軍の武士は、ナイン殿に喰らわれました。が、マスターの顔にあるのは……怯え?それとも、恐怖?一体、何なのでしょう?敵の中に、マスターを害することができる者などいないように思うのですが。

 もしかして、人間を殺したことに罪悪感を感じているのでしょうか?マスターは情の深い一面を持っていますから、そうだとしてもおかしくありません。

 

「主、お怪我はありませんか?」

「大丈夫だよ。ありがとう、ナイン」

「我等は主のために存在しています。我等は主に尽くします。主のためになら、命も差し出します。……主、どうぞご無理はなされぬよう」

「……ごめん。心配かけたみたいだね」

「我等は喜んで主の手駒となります。主が気に病むことなど、何もありません」

「ありがとう」

 

 さすがはナイン殿、マスターが最初に生み出した眷族なだけはあります。これでマスターが、吹っ切れてくれるといいのですが。

 

「死体が見れないなら、目を瞑ってしまえばいい。簡単な話だよね。……僕には、信頼できる仲間がいるんだから……。焼き払え、ファイアストーム!!」

 

 …………はい?

 

「それでこそ我等が主です。……それでは、愚民の掃討を再開しましょう!!」

 

 ちょっと待ってください、マスターにナイン殿!!目を瞑って滅茶苦茶に攻撃など放たないで下さい!!評価や信頼は嬉しい限りですが、私はあなた方ほど強くないのですよ!?機動力を信頼して下さっているのかもしれませんが、一撃受けるだけで消し飛ぶ上に軌道の読めない攻撃を避け続けるなんて行為は、心臓に悪いのですよ!……私に器官としての心臓はありませんが。精神的疲労が半端ないんです!

 

「主に楯突き、主の心労となる愚民共、我等が糧になれ!!」

 

 その思いには同意しますが、私に当てないでくださいよ……?まぁ確かに、

 

「マスターの心を煩わす者を生かしておくわけにはいきませんね。それに、私だけ逃げているというのも、なんだか不公平ですし」

 

 もちろんマスター達に近付くなんて自滅行為はしませんが、逃げていく幕府軍(・・・)へ追い討ちをかけるくらいはできます。私は本来、射撃などの遠距離攻撃を得意とする種族なのですから。ところで……

 

 

 ……ところで、マスターは気づいているのでしょうか?自分の生み出した紫炎の竜巻が敵対者(幕府軍)だけでなく、崇拝者(朝廷軍)を巻き込んでいることに。

 後になって、気に病まないといいのですが……。

 

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