~SIDE 名無しの少女~
「それで、僕も手伝った方がいいのかな?」
「いえ、その必要はありません。邪神様は魔法から身を守れるよう、実際に魔法を使って魔法を知り、慣れてください。研究は私の仕事です」
私は魔法研究者の一人ですから。まあ、私の祖先の記憶によれば、私の血筋以外の魔法研究者は皆死んだらしいのですが。
そして私は、魔法の研究開発くらいでしか邪神様のお役に立てません。だから、これは私の仕事です。
「了解。それじゃあ、頑張ってね」
「はい!」
私は一人、研究室へ向かいます。邪神様はこの後、魔法の訓練をしてくださるのでしょう。どうせなら対策を練るだけでなく、邪神様の武器として役に立てて欲しいのですが、それは過ぎた願いです。なにせ邪神様には既に大きな力が備わっているのですから。魔法の開発者としては、ちょっとだけ寂しいですけど。
「でも、さすがにオラクルで空間跳躍はできないですよね?」
私が開発中の、転移魔法。邪神様は瞬間移動程度にしか思っていないでしょうが、これは『世界』という名の空間を移動するための魔法。完成はしていませんが、土台はできています。なにせこれの大元はは、私の祖先がこの世界へ来るときに使った未完成の魔法ですから。
「これならきっと、邪神様の戦力になるはずです。だから―――」
――――もう少し待っていてくださいね?邪神様。
~SIDE OUT~
~SIDE 龍~
「えぇっと、こんな感じかな?ディバインバスター!」
僕の指先から、細く弱弱しい一本の光線が放たれる。これじゃあ戦力にならないし、魔法に慣れたとも言えない。そしてなにより、あの少女に勝てない。
「アラガミの長として、あの子の力に負けるわけにはいかないんだよね。……もう一発、ディバインバスター!!」
今度はエネルギーの流れを指先に集めるようなイメージで放ってみる。さっきよりはマシになったけど、これでナインが傷を負うとは思えない。つまり、まだ彼女のものよりも劣っている。
僕はアラガミの母体であり、長だ。僕が与えた能力に敗れるならともかく、眷属が僕の手を借りずに開発した能力に負けるようなことは許されない。プライド的に。
「絶対に追い抜いてやる!!」
その為にまずは、この
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「ごめんモースト、無事?」
「ダイジョウブデス」
……この訓練場もモーストの一部だっていうことを、完全に忘れてた。何週間も練習し続けた結果、ディバインバスターはまともに撃てるになったけど、その代わりにモーストの体内に無数の傷を付けることになった。まあ、僕がオラクルを供給して、すぐに再生したけど。
「この魔法に限って言えば、ようやく追いつけたくらいだろうけど……熟練度はまだまだだし、これ一つに満足もできないね。」
彼女から得た魔法は、これ一つじゃない。それを全部使いこなせないと、彼女の力に追いついたとは言えない。だから僕は、早急にこれらをマスターして、さらにできれば組み合わせられるようにしないといけない。彼女の思いに応えるためにも、僕自身のプライドのためにも。
「それじゃあ、練習を続行しようか!」
休む気は無い。全ての魔法を習得するまで。
……あんまりペースを早めすぎると、午前零時のエネルギー回復までに魔力が尽きるけど。この数日でオラクルを魔力に変換できるようになったからかなりの量を使えるとはいえ、限界はあるから。