~SIDE 龍~
「それじゃあ邪神様、今までの魔法の総復習と行きましょうか」
「了解。ルールは、『再生と魔法以外を一切禁止』でいいね?」
「はい!」
僕らがこれから始めようとしているのは、魔法だけを使った模擬戦。僕は魔法の習得度が分かるし、彼女は久しぶりに体を動かせる。ちなみに、この模擬戦の発案者はナイン。たぶん、部屋に篭りっきりの彼女を気遣ったんだと思う。……随分と優しくなったねぇ。
「アラガミの長として、眷族には負けたくないんだよね!」
「魔法研究者として、魔法で負けるわけにはいきません!」
「「いざ尋常に、勝負!!」」
こうして僕らの模擬戦は、幕を開けた。
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「先手必勝、ディバインバスター!!」
「返り討ちです。ディバインバスター!!」
僕の掌には黒い魔方陣、彼女の指先には白い魔方陣が展開され、一拍置いて二つの光線が放たれる。
ドゴオオオォォォォォォン!!
光線がぶつかり、拮抗したのは一瞬。すぐに、黒い砲撃が白い砲撃に飲み込まれる。
「ッ!やっぱり、単発の威力じゃ勝てないか。」
僕はすぐさま、飛行魔法を発動して白い砲撃を回避する。
アラガミの中で一番オラクルの扱いが上手い僕は、オラクルを変換することで魔力を回復することができる。けれど、できるのはあくまで
しかも僕は彼女と比べて、魔法の保有量が圧倒的に少ない。彼女の魔力が大きな一つの貯水タンクなら、僕の魔力は無限のバケツ。つまり、底が尽きることは無いけど、一度に使える量が限られているのだ。だから、ディバインバスターのような一撃の威力がものを言うものでの戦いは圧倒的に不利。……だったら何で使ったんだって話だけど。
「今度は負けないよ、スフィアバレット!」
「何度やっても同じです、スフィアバレット!」
一拍置いて、僕の周りに20個近い黒い魔力球が浮かぶ。そして、彼女の周りには白い魔力球が。……彼女のバレットの方が、僕のよりも数個多い。当たり前だけど。
ズドン!ズドン!ズドン!
白と黒がぶつかり合い、消えていく。いくつかは僕の方へも飛んできたけど、全てかわした。僕の機動力を嘗めてもらっちゃあ困る。
「……これで終わりじゃないよ、スフィアバレット第二!!」
「ッ!?」
僕の周りに、再び黒い魔力球が現れる。
僕の強みは、回復力。一撃の威力で敵わないなら、手数で補えばいい。幸い彼女は、魔力を回復する術を持っていないから、最終的に使える魔力の総量なら僕の方が勝っているし。
「反撃開始だよ。行け!!」
一斉に彼女へ向かっていく魔力弾。まぁ、この程度で彼女を倒せるわけがないんだけど。
「かわすのは難しいかな?それじゃあ、もう一発ディバインバスター!!」
「嘘!?……間に合え、プロテクション!」
確かにあの程度じゃ落とせないとは分かっていたけど、まさかゴリ押しで来るとは思わなかった。今回はなんとかプロテクションで持ち堪えたけど、それはあっちも咄嗟の攻撃だったから。万全の状態で撃たれたら、僕じゃあ防御は不可能だ。……早いうちに魔力を持ったものを喰らって、魔力量を増やしておかないといけないね。まぁ、それはさておき。
「やっぱり魔力量に差がある以上、真正面からやり合っても勝てる気がしないね。行け、スフィアバレット!」
僕のアドバンテージである魔力回復を生かすなら、望ましいのは持久戦。彼女が魔力切れを起こすまで生き残れば、僕の勝ちだ。馬鹿正直に撃墜を狙うより、よっぽど現実的で、安全な手段。
「む、小癪なマネをしますね……!向かい撃て、スフィアバレット!!」
さすがに、僕の意図は見破られたらしい。そもそも隠す気は無かったけど。どうせ無駄だし。
「撃ち漏らしのスフィアバレットくらいなら僕でも余裕で防げるよ、プロテクション!」
幾度もぶつかり合う白と黒。勝負の決着は、まだつかない。