安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第四十二話 魔法決闘 前編

~SIDE 龍~

 

 白い魔力弾と黒い魔力弾がぶつかり合い、黒い魔力弾を白い魔力砲が薙ぎ払い、白い魔力弾を黒い魔力壁が防ぐ。それは正に、一進一退の攻防戦。

 しかし微妙なバランスの基に成り立つ均衡は、少しの衝撃で崩れ去る。

 

「この数ヶ月、僕が君に習った魔法しか練習していないと思ったら、大間違いだよ!改良魔法、スピンバレット!!」

 

 僕の周りに浮かぶ、黒い魔力弾。けれど今回のこれは今までのスフィアバレットよりも細長く、しかも回転している。細い先端が当たれば威力が一箇所に集中するためダメージは上がるし、回転の推進力によって弾速も上がっている。その代わり、横方向に当たったときのダメージは従来ものより劣るし、直線状にしか飛ばないから当たりにくいけど。

スフィアバレットと比べれば万能性と機能性には欠ける代わりに、同じ魔力量でも高い攻撃力を出せる、特化型の魔法だ。

 

「ッ! 威力とスピードは上がっても、機動力は落ちているみたいですね!!」

 

 そんなことは分かっている。まさか一発で見破られるとは思わなかったけど。ところで、

 

「僕がその弱点を放置してると思う?……行け、スフィアバレット!」

 

 人間が一人でできることには限界がある。それは、魔法だって同じ事。それなら、どうすればいいか?簡単な話だ。役割を分担させてやればいい。僕は一度に強力な魔法を撃てない代わりに、魔力を再装填(リロード)して何度でも発動させることができるのだから。

 機動力の高いスフィアバレットで相手を誘導して、攻撃力の高いスピンバレットを当てる。もしくは、スピンバレットを警戒している相手に、スフィアバレットで集中砲火をする。どちらかの作戦に嵌れば、そこそこのダメージを与えられるだろう。

 

「その程度の攻撃じゃあ、私には届きませんよ!プロテクション!!」

 

 僕のスピンバレットは避けられて、スフィアバレットは防御魔法で防がれた。いくら集中砲火とはいえ、貫通力の低いスフィアバレットだ。防御を貫通してダメージを与えることなんてできないだろう。でも、これでいい。だって、彼女の足を止められたんだから。全ては、この一撃のための布石。

 

「スフィアバレットの集中砲火を防いだ直後に、こいつを防げる?ディバインバスター!!」

 

 放たれた漆黒の砲撃は、白い防壁ごと彼女を飲み込んだ。

 

「……ふう。やったか、な?」

 

 魔力のぶつかり合いやら爆発やらで生じた土煙のせいで、結果が見れない。正直、あれで倒せた確率は五分五分。ディバインバスターはかなりの高威力だし、確実に直撃したはずだけど、だからといって彼女が倒れるとは限らない。仮にもアラガミ、耐久力はズバ抜けている筈だから。

 

「……そんな簡単にやられるわけが無いでしょう!それに、魔法開発は私の特権ですよ。ツインバスター!!」

「ッ!?」

 

煙の中から、二本のディバインバスターが撃ち出される。直撃こそしなかったものの、今の一撃はなかなか痛い。指を数本持っていかれたし。

 

「邪神様、油断大敵ですよ?」

「油断はしてなかったんだけどね。対応しきれなかっただけで」

 

 煙が晴れたとき、そこにいたのは無傷(・・)の彼女。まぁ、当然だけど。事実僕だって、既に無傷に戻っている(・・・・・・・・)

 

「やりづらいですね。相手のダメージが見れないというのは」

「驚異的再生能力を持つ、アラガミの特権じゃない?知らない人間には、かなりのプレッシャーになる」

「確かに、心理的ダメージは大きいでしょうね。どんな攻撃を使っても、効いているようには(・・・・・・・・・)見えない(・・・・)んですから。まあ、タネを知っている私達には無意味ですけど」

「そう?僕達でも、さすがに相手のオラクル残量(再生限界)までは分からないんだから、意味はあると思うよ。さっき君も言ってたじゃない。やりづらいって」

 

 オラクルがある限り、僕らはどこまでも再生できる。だから、傷を負うのは一瞬。体の半分以上を消し飛ばされたりすれば話は別だけど、それでも再生にかかる時間は秒単位だ。……さすがに、コアを壊されたらどうにもならないけど。ごく一部の特例(不死のアラガミ)を除いて再生不可能な器官だし。僕なら破壊されても、三十分もかからずに再生できるだろうけど、傷付いただけの場合は数日かかるだろうし。十二の試練(ゴッドハンド)が死なないと発動しないように、ハンニバルのコア再生はコアが破壊されるか奪われないと発動しないから。まあ、実際は午前零時になれば零時迷子の能力で再生するから、長くても一日しかかからないけど。

 

閑話休題

 

「とりあえず、ここでアラガミについて話し合ってたって埒が明かないし」

「ええ、決闘を再開しましょう!」

 

 ……どうでもいいけどさ、これって模擬戦じゃなかったっけ?いつから決闘になったの?

 

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