~SIDE 龍~
白い魔力弾と黒い魔力弾がぶつかり合い、黒い魔力弾を白い魔力砲が薙ぎ払い、白い魔力弾を黒い魔力壁が防ぐ。それは正に、一進一退の攻防戦。
しかし微妙なバランスの基に成り立つ均衡は、少しの衝撃で崩れ去る。
「この数ヶ月、僕が君に習った魔法しか練習していないと思ったら、大間違いだよ!改良魔法、スピンバレット!!」
僕の周りに浮かぶ、黒い魔力弾。けれど今回のこれは今までのスフィアバレットよりも細長く、しかも回転している。細い先端が当たれば威力が一箇所に集中するためダメージは上がるし、回転の推進力によって弾速も上がっている。その代わり、横方向に当たったときのダメージは従来ものより劣るし、直線状にしか飛ばないから当たりにくいけど。
スフィアバレットと比べれば万能性と機能性には欠ける代わりに、同じ魔力量でも高い攻撃力を出せる、特化型の魔法だ。
「ッ! 威力とスピードは上がっても、機動力は落ちているみたいですね!!」
そんなことは分かっている。まさか一発で見破られるとは思わなかったけど。ところで、
「僕がその弱点を放置してると思う?……行け、スフィアバレット!」
人間が一人でできることには限界がある。それは、魔法だって同じ事。それなら、どうすればいいか?簡単な話だ。役割を分担させてやればいい。僕は一度に強力な魔法を撃てない代わりに、魔力を
機動力の高いスフィアバレットで相手を誘導して、攻撃力の高いスピンバレットを当てる。もしくは、スピンバレットを警戒している相手に、スフィアバレットで集中砲火をする。どちらかの作戦に嵌れば、そこそこのダメージを与えられるだろう。
「その程度の攻撃じゃあ、私には届きませんよ!プロテクション!!」
僕のスピンバレットは避けられて、スフィアバレットは防御魔法で防がれた。いくら集中砲火とはいえ、貫通力の低いスフィアバレットだ。防御を貫通してダメージを与えることなんてできないだろう。でも、これでいい。だって、彼女の足を止められたんだから。全ては、この一撃のための布石。
「スフィアバレットの集中砲火を防いだ直後に、こいつを防げる?ディバインバスター!!」
放たれた漆黒の砲撃は、白い防壁ごと彼女を飲み込んだ。
「……ふう。やったか、な?」
魔力のぶつかり合いやら爆発やらで生じた土煙のせいで、結果が見れない。正直、あれで倒せた確率は五分五分。ディバインバスターはかなりの高威力だし、確実に直撃したはずだけど、だからといって彼女が倒れるとは限らない。仮にもアラガミ、耐久力はズバ抜けている筈だから。
「……そんな簡単にやられるわけが無いでしょう!それに、魔法開発は私の特権ですよ。ツインバスター!!」
「ッ!?」
煙の中から、二本のディバインバスターが撃ち出される。直撃こそしなかったものの、今の一撃はなかなか痛い。指を数本持っていかれたし。
「邪神様、油断大敵ですよ?」
「油断はしてなかったんだけどね。対応しきれなかっただけで」
煙が晴れたとき、そこにいたのは
「やりづらいですね。相手のダメージが見れないというのは」
「驚異的再生能力を持つ、アラガミの特権じゃない?知らない人間には、かなりのプレッシャーになる」
「確かに、心理的ダメージは大きいでしょうね。どんな攻撃を使っても、
「そう?僕達でも、さすがに相手の
オラクルがある限り、僕らはどこまでも再生できる。だから、傷を負うのは一瞬。体の半分以上を消し飛ばされたりすれば話は別だけど、それでも再生にかかる時間は秒単位だ。……さすがに、コアを壊されたらどうにもならないけど。
閑話休題
「とりあえず、ここでアラガミについて話し合ってたって埒が明かないし」
「ええ、決闘を再開しましょう!」
……どうでもいいけどさ、これって模擬戦じゃなかったっけ?いつから決闘になったの?