安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第四十四話 魔法決闘 決着

~SIDE 龍~

 

「叩き落せ、バスターナックル!」

「叩き斬れ、プロテクションブレード!」

 

 僕としては持久戦に持ち込みたいんだけど、そうは問屋が卸さない。たぶん彼女は、この近接戦で決着をつけるつもりだろう。

 彼女はディバインバスターを放たずに拳に纏わせ、僕は鋭く厚く変化させた大剣型のプロテクションを振り回す。どちらの攻撃も破壊力は抜群、当たればただでは済まないし、スフィアバレットの類で牽制することも難しい。彼女は拳で粉砕し、僕は剣で切り裂けるから。

 

「やっぱり、リーチが短いのが難点ですね……!」

「じゃあ僕の難点は、威力で劣ることかな……!」

 

 僕と彼女の魔法を比べたとき、リーチでは僕が、一撃の破壊力では彼女が勝っている。僕は彼女の攻撃が届く前に剣を振り下ろし、彼女は剣ごと僕の体を砕こうと拳を振るう。

 

「それじゃあ、これならどう?ファイナルカッター!!」

 

 僕が繰り出すのは、遠い昔に覚えた斬撃を飛ばす剣技。一度真上に飛び上がった後、下降しないと放てないっていうのが唯一の難点だけど。一応媒体に魔法を使っているし、飛んでいく斬撃も魔力で強化しているから、ルール的にはアリだろう。

 

「!? それでは、私もギリギリの技を使いましょう。テンタクラーバレット!!」

「んな滅茶苦茶な!?」

 

 tentacleは、日本語で言えば触手。名前通り彼女は自身から触手を生やして切り離し、それに魔力を纏わせて放ってきた。

 ……確かに、先にルール擦れ擦れの技を出したのは僕だけどさ。いくらなんでも、これは無いんじゃないかな?魔力とか剣閃とかと違って、明らかに実態があるよ?

 

「さすがにこれは、酷すぎるんじゃないかな?別に良いけどさ。……魔界流・大次元断!!」

 

 大次元断は、技の特徴的にはファイナルカッターの最上位種にあたる。原作は違うけど。威力はかなり上がっているし、何より攻撃範囲が圧倒的に広い。

 

「甘いですよ!バスターナックル!!」

「危なッ!」

 

ガキンッ!……ミシミシミシミシ…………

 

 僕の遠距離斬撃を避けた彼女の不意打ちを、咄嗟にプロテクションブレードで防ぐ。これは元々が防御魔法プロテクションだから、本来のもの程でないにしろ防御にも使える魔法なんだけど、如何せん相手が、というか、相手の技が強すぎる。すぐに罅が入り、それはあっという間に大きくなっていく。

 

「これは不味いね……。悪いけど、一旦退かせてもらうよ!」

 

 僕は飛行魔法をフルに展開し、離脱する。あの状況で力比べなんてやってたら、確実に押し負けてあの強烈な一撃が―――――

 

ガチン!!

 

「……へ?」

「フフ、かかりましたね。」

 

 ―――――まるで状況が分からない。確かに僕は、あの状況から脱したはず。だけど今、僕は白い鎖に体を縛られ、彼女は拳を握り締めてこちらへ向かってくる。このままじゃ僕は、何の抵抗も受身も出来ないままあの強烈な一撃を受ける羽目になる。分かっていても、魔法関係じゃあ打開策が思いつかない。これが本当の戦いなら手はいくらでもあるんだけど、今しているのは魔法縛りの模擬戦だ。とりあえず痛覚を切って、再生の準備だけはしておく。無駄な気がするけど

 

「ここで決めさせてもらいます!バスターナックル!!」

「へぶッ!」

「そして、今度こそフィニッシュです!ツインバスター!!」

 

 彼女の両の手に白い魔方陣が展開され、白い砲撃が牙を剥く。

 

「ちょ、それはやりすぎじゃあ―――」

 

 その光景を最後に、僕の意識は真っ白に塗り潰された。

 




~オリジナル魔法の設定資料~

・バスターナックル
基盤は、ディバインバスター。凝縮された魔力をすぐに放たず、拳に纏わせて振るう。相手に当たった瞬間に魔力の一部が放出され、爆発的な威力を放つ。ただし、使用には高度な魔力操作能力が必要。

・プロテクションブレード
基盤は、プロテクションカッター。プロテクションカッターの亜種。カッターが「放つ斬撃」であるのに対し、ブレードは「振るう斬撃」。使用する魔力量は基盤であるプロテクションよりも多いが、一度構成してしまえば壊れるまで使い続けることができる。また、小さな罅程度なら、魔力を足すことで修復可能。

・テンタクラーバレット
名無しの少女の固有技。体の一部をアラガミとしての戦闘形態(ツクヨミの触手のような細腕)に変え、その部分に魔力を纏わせて切り離し、弾丸として放つ。軌道や必要な魔力量はスフィアバレットと同じだが、実体がある分威力は高い。当たれば魔力ダメージとは別に、物理的ダメージも受ける。
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