安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第四十五話 決戦後

~SIDE ホーネット~

 

「邪神様!!……グスッ、お願いです。目を覚ましてください!邪神様ぁ……!!」

「主、申し訳ありません。我があのようなことを申したばかりに……!」

 

 今、モースト殿の中には、通夜のような空気が漂っています。原因は、マスターが目を覚まさないこと。どうやら止めの一撃が綺麗に決まりすぐて、コアを損傷したようです。……アラガミって、損傷程度で意識を失うんですね。初めて知りました。

 その結果、マスターを殺めたと思い込んだ(・・・・・)自称巫女様は泣き、ナイン殿も責任を感じてうなだれています。

 

「……まぁ、パニックになるのは分かるんですがね、冷静になれば気付けるはずなんですよ。」

 

 私達のマスターは、不死の存在です。私達と違ってコアも再生しますし、全ての傷は午前零時に癒えます。そのことに思い至ればこの沈んだ空気もどうにかなるのでしょうが、生憎今あの人たちには何を言っても通じません。塞ぎこんでいると言いますか、とにかく私の存在すら認識してくれませんから。……私の存在感が薄い訳ではないですよね?

 

「アルジ、メザメルマデ、アトロクジカン」

「あと六時間も、この空気に耐えなければならないのですか……。」

 

 マスターが目覚める午前零時まで、あと六時間。正直、嫌になります。この重たい空気。あの人たちがモースト殿の言葉にも気付かなかったことが、唯一の救いですか。本当なら喜ぶことではありませんが、とりあえず私だけが弱すぎて存在を認知されないわけではないと証明されましたから。

 

「それにしても、六時間……どうしましょうか?」

 

 せめて、なにか気を紛らわせるものが欲しいです。切実に。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「…………イタタタタ……。全く、容赦ないね~……って、アレ?」

「あ、マスター!やっとお目覚めですか?」

「主!お目覚めになられたのですね!?」

 

 あれから三時間ほど経った頃に、魔力とオラクルの使いすぎか名無しは意識を失いましたが、ナイン殿はずっとマスターの傍にくっ付いていました。最後まで私達の存在は認知してくれませんでしたが。

 

「えぇっと、ホーネット、僕は何時間くらい寝てた?」

「この部屋に運び込んでから、六時間ほどです。ちなみに、今は午前零時ですよ」

「予想はしてたけど、やっぱりコアの損傷の修復なら、再生よりも零時迷子の完全回復のほうが早いみたいだね」

「そんな分析より先に、自称巫女様をどうにかしてください。ナイン殿もそうでしたが、あの人は今もマスターを殺してしまったと思い込んでいます。……今はエネルギー切れで寝ていますが」

 

 そちらの措置は、できるだけ早急にお願いしたいです。

 

「全く、信用ないね。僕は不死の存在なんだけど」

「私達は既に知っていますからナイン殿を責めるのは分かりますが、自称巫女様にはコアがアラガミの心臓部だということを教えただけで、マスターにコア再生能力があることは伝えていませんからね?」

「…………あ」

 

 あ、じゃ済みませんよ。今回は泣き喚いて重い空気を作り出しただけでしたから良かったものの、これがきっかけでまた暴走でも起こしたらどうするつもりですか。私では止められませんよ?ナイン殿でも苦戦するような相手に、ホーネット族最弱種ホーネットでは太刀打ちできるはずがないんですから。

 

「……一応、僕って被害者だよね?」

 

 そんなこと知りませんよ。といいますか、一番の被害者は私です。あの空気の中で六時間を過ごすとか、一体何の罰ゲームですか。

 

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