~SIDE 龍~
「邪神様邪神様邪神様~!ついに完成しましたよ~!!」
「五月蝿い」
邪神を連呼しすぎだし、それだけの説明じゃあ何が完成したのかさっぱり分からん。
「
「とりあえず、興奮しすぎ。もう少し落ち着いて話して。内容が全く把握できないから。そもそも僕は、デバイスなんて言葉を聞いた事すらないんだから」
「あっ、はい。すみません。この機械は術式を保存していて、好きなときに好きなものを呼び出して使うことができるため、魔法発動にかかる時間がグッと短くなります。さらに、データ保存や通信機器としての役目も果たせる優れものです!!」
「へ~、それは凄いね~!」
新しい術式の開発はどうなったの、という疑問は口に出さない。そんな雰囲気じゃなかったから。
「しかし、術式展開の高速化か。たしかにこれで、魔法の実用性は上がるね。独創性やバリエーションでは自在法に劣るけど」
「自在法?何ですか、それは?」
あぁそういえば、彼女にはまだ教えていなかったっけ。……というか、まだ誰にも教えていないな。すっかり忘れていた。
「簡単に言えば自在法って言うのは、オラクルで術式を構成する魔法だよ。計算に基づいた術式に魔力を流すことで発動する魔法と違って、術式を構成するオラクル自体が魔力に方向性を持たせるから、術式の発動も開発も改良も楽なんだよ」
「!! 邪神様は私が試行錯誤している間に、そんな凄いものを御造りになられたのですか!?」
一応、僕の自在法に元ネタがあるのに対して、彼女とその祖先は一から魔法を組み上げてきたんだ。僕よりも巫女の方が、よっぽど凄いと思うんだけど。
「……あ、話が逸れてしまいました。それで邪神様、どうぞこれを」
彼女が僕に渡してきたのは、一つの宝石。
「これが、デバイス?」
「はい!……まだ、個としての名前はありませんが。」
「ふぅん。しかし、小さくて使い辛そうだね。……そうだ。ホーネット、いる?」
「マスター、呼びましたか?」
緑の蜂型眷属ホーネットが、僕の下へとやって来る。
「ホーネット、これ喰って」
「え?邪神様が食べるんじゃないんですか?」
おい、巫女。お前はこれを僕が食べる前提で創っていたのか。
「捕食するのは構いませんが、名無しの言うことにも一理あります。どうしてご自分でお食べにならないので?」
「魔法を使える眷属自体が限られてるんだから、僕が喰らって全眷属にデータを回す必要もないでしょ。それに、眷族が喰らった情報は僕にも送られてくるから、自分で食べる必要もないし。あと、一番の理由は、この小さい宝石じゃ使いづらいから、ホーネットにデバイスになってもらおうと思って」
「「私(ホーネットさん)がデバイスにですか!?」」
二人とも結構驚いている。というか、息ピッタリ。どうでもいいけど。
「そう。幸いアラガミのホーネットなら、姿を変える事だって出来るし、僕と
「マスター、お言葉はありがたいのですが、一つ問題があります」
「問題?」
何か問題になりそうなことあったっけ?
「私は機動力に特化した代わりに、打たれ弱い種族の最弱種です。マスターの武器などという大役、務まるとは思えません」
なるほど、問題はホーネット族最弱種ホーネットの耐久力の低さか。それなら、
「君の耐久力さえ上げれれば何の問題も無いわけだ」
「はい?……はい、そうです」
それくらいなら、何の問題ない。
「ホーネット、ちょっとこっち来て。……そう、そこで大人しくしていてね。
僕はホーネットに触れ、手とホーネットのオラクル細胞を結合させた上で、オラクルを流し込むことで体のつくりを改変する。
「マスター、一体何を!?」
「落ち着いて。もう少しで終わるから」
オラクルの増量と種族変化、完了。
「邪神様、ホーネットさんに何を?」
「簡単に言えば、強化だね。あと、こいつはもう『ホーネット』じゃないよ」
「「???」」
やっぱり、こんな説明じゃ分からないか。
「オラクルを流し込んで、種族を変えた……というより、ランクアップさせたからね。今のこの子の種族は、ホーネット族最
「ホーネット族、最強種……?この、私がですか……?」
「そう。ホーネットには……いや、もうこの呼び方じゃあダメだね。クイーンには、今まで世話になったから、そのお礼。それに、これで耐久力にも問題は無いでしょ?」
「!!」
ちょっと衝撃が強すぎたかな?
いくらホーネット族自体の耐久力が低いと言っても、最強種ともなればそこそこに戦える。まあ、他種族の最強種に比べればやはり耐久力は低いけど。
「それじゃあ急な話だけど、これからも眷属として、そしてデバイスとしてよろしくね、クイーン?」
「はい!!」
これからは修行も、クイーンと一緒かな?
ホーネットとクイーンに、見た目の差異はありません。同じホーネット族の中でも、キラーやデスジャケットなんかの色は違うのですが……。