安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第五十三話 クローン

~SIDE 龍~

 

「クローン人間?正気?」

 

 僕は、自称巫女に聞き返す。突然何を言い出すんだ。

 

「はい、クローン人間です。まぁ、邪神様を材料に使う時点でクローンとは言えないかもしれませんが」

 

 残念ながら、聞き間違いじゃなかったらしい。たしかに超科学っていったら、クローンとか生命創造とかメジャーだけど。

 

「それも、魔法の実験の一環?」

「どちらかと言えば、科学実験ですね。あとは、純粋な戦力増強です」

「……戦力なら、十分あるんだけど。過剰なくらい」

「念には念を。備えあれば憂い無し、です」

 

 んな滅茶苦茶な。ところで、

 

「それを僕に言って、どうして欲しいの?」

「え?あ、はい。コアと、特殊偏食因子を少々」

「オラクル細胞は?」

「一応、自前です。……かなりの量を消費する予定なので、これから供給量を増やしてもらうことになるでしょうが」

 

 それを、自前とは言わないと思う。口には出さないけど。

 

「まぁいいや。とりあえず僕の仕事は、オラクル、コア、特殊偏食因子の提供。これでいいね」

「はい」

「魔法の研究も忘れないでね?」

「…………これが終わったら再開します」

 

 しばらくやらないつもりかい!

 

「……そんな顔しないで下さい。怖いですから。そもそもクローンを作ろうと思ったきっかけは、魔法の研究がスランプに入ったからなんです」

「あぁ、なるほど」

 

 納得できるような、できないような。というか、僕はそんなに怖い顔してたのか?

 

「とりあえず、そっちは任せるわ。他に何か要望ある?」

「それじゃあしばらくの間、クイーンさん貸してください」

「クイーンを?それは本人に確認しないといけないんだけど……。どうする?」

 

 ちょうど近くを飛んでいたクイーンに直接聞いてみる。

 

「私は構いませんよ。しばらくデバイスは必要なさそうですし。ただ一つ、要望を言っていいなら……」

 

 あれ?珍しい。クイーンが何かを求めるなんて。

 

「私の呼び方、どうにかなりませんか?マスターは邪神様、ナイン殿は魔竜様、モースト殿は邪神殿様。それなのに私だけクイーンさんというのは、少し劣等感がありますので……。」

 

 そういえば確かに、クイーンだけは様付けされて無かったし、僕達よりも扱いが雑だったね。というかむしろ、クイーンが自称巫女を敬ってるみたいな態度だったし。なんていうか、腰が低いのかな?最弱種時代の名残だったりして?

 

「…………ごめんなさい、特に思いつきません」

「「オイ!!」」

 

 いくらなんでも、それはないだろう。酷すぎる。クイーンが不憫だ。

 

「それじゃあ、女王様?」

「それにしましょう!!」

 

 なんか、やけにテンション上がってるなあ。さっきまでとは大違いだ。……ところで、

 

「クイーンって、女だったの!?」

「ちょっとマスター!それは失礼ではないですか!?そもそもホーネット族は蜂型のアーマメント、雌しかいません!」

 

 ……驚きの新事実が発覚。確かに蜂は、というか働き蜂は、雌ばかりだけれども。

 

「それでは、行って参ります。失礼な(・・・)マイマスター!」

 

 ……態々、そんなに強調しなくてもいいじゃん。そんなに気に食わなかったのかな?もしかして、これが女心って奴?僕にはさっぱり分からないけど。

 

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