~SIDE 龍~
「クローン人間?正気?」
僕は、自称巫女に聞き返す。突然何を言い出すんだ。
「はい、クローン人間です。まぁ、邪神様を材料に使う時点でクローンとは言えないかもしれませんが」
残念ながら、聞き間違いじゃなかったらしい。たしかに超科学っていったら、クローンとか生命創造とかメジャーだけど。
「それも、魔法の実験の一環?」
「どちらかと言えば、科学実験ですね。あとは、純粋な戦力増強です」
「……戦力なら、十分あるんだけど。過剰なくらい」
「念には念を。備えあれば憂い無し、です」
んな滅茶苦茶な。ところで、
「それを僕に言って、どうして欲しいの?」
「え?あ、はい。コアと、特殊偏食因子を少々」
「オラクル細胞は?」
「一応、自前です。……かなりの量を消費する予定なので、これから供給量を増やしてもらうことになるでしょうが」
それを、自前とは言わないと思う。口には出さないけど。
「まぁいいや。とりあえず僕の仕事は、オラクル、コア、特殊偏食因子の提供。これでいいね」
「はい」
「魔法の研究も忘れないでね?」
「…………これが終わったら再開します」
しばらくやらないつもりかい!
「……そんな顔しないで下さい。怖いですから。そもそもクローンを作ろうと思ったきっかけは、魔法の研究がスランプに入ったからなんです」
「あぁ、なるほど」
納得できるような、できないような。というか、僕はそんなに怖い顔してたのか?
「とりあえず、そっちは任せるわ。他に何か要望ある?」
「それじゃあしばらくの間、クイーンさん貸してください」
「クイーンを?それは本人に確認しないといけないんだけど……。どうする?」
ちょうど近くを飛んでいたクイーンに直接聞いてみる。
「私は構いませんよ。しばらくデバイスは必要なさそうですし。ただ一つ、要望を言っていいなら……」
あれ?珍しい。クイーンが何かを求めるなんて。
「私の呼び方、どうにかなりませんか?マスターは邪神様、ナイン殿は魔竜様、モースト殿は邪神殿様。それなのに私だけクイーンさんというのは、少し劣等感がありますので……。」
そういえば確かに、クイーンだけは様付けされて無かったし、僕達よりも扱いが雑だったね。というかむしろ、クイーンが自称巫女を敬ってるみたいな態度だったし。なんていうか、腰が低いのかな?最弱種時代の名残だったりして?
「…………ごめんなさい、特に思いつきません」
「「オイ!!」」
いくらなんでも、それはないだろう。酷すぎる。クイーンが不憫だ。
「それじゃあ、女王様?」
「それにしましょう!!」
なんか、やけにテンション上がってるなあ。さっきまでとは大違いだ。……ところで、
「クイーンって、女だったの!?」
「ちょっとマスター!それは失礼ではないですか!?そもそもホーネット族は蜂型のアーマメント、雌しかいません!」
……驚きの新事実が発覚。確かに蜂は、というか働き蜂は、雌ばかりだけれども。
「それでは、行って参ります。
……態々、そんなに強調しなくてもいいじゃん。そんなに気に食わなかったのかな?もしかして、これが女心って奴?僕にはさっぱり分からないけど。