~SIDE 龍~
「全くあの馬鹿巫女め、面倒なことしやがって」
思わず口に出した僕は悪くないと思う。
「先程の少女……蝶のことですか?」
「それ
確かに彼女の相手は辛かった。オリジナルが居ないとかそういうのは別になんとも思わないんだけど、『父様』って言われるのは辛い。
今の僕の容姿は、中性的な12、3歳なのだ。実年齢はともかくとして、見た目で言うならせいぜい兄妹の相手に父様なんて言われれば、普通に精神が疲労する。
そしてさらに、僕を父親扱いするのは彼女だけじゃない。中には、僕より明らかに年上の輩も混じっているのだ。(もちろん、見た目の話だが)
「僕の見た目は少年だよ?それなのに何が悲しくて、オッサンやら爺さんに父親扱いされなきゃならないのさ」
「……ご愁傷様です」
クイーン、君は僕を慰めているつもりかもしれないけど、原因の一端はお前にもあるんだからね?
「しかしそれなら、マスターが姿を変えればよいのでは?」
「ねぇクイーン、僕がそんなことを試していないと思う?」
僕も、その方法は思いついた。けれど、成功しなかったのだ。どういう原理かさらに若返ることはできたけど、今以上に成長はできない。顔とかをアラガミのそれに変えることはできるけど、それはちょっと違うだろう。
「しかもなんとか人のまま姿を変えようとしたら、最終的に性別変わったしね」
あの時は、珍しく本気で焦った。幸い、すぐに男の体に戻れたけど。ちなみに、女になっても見た目年齢は13歳が限界だった。何故それ以上成長できないんだろうか?
「今回のことで、気分転換になりませんでしたか?」
「なるわけあるかッ!!」
紅世の徒が創られてただけでも驚きなのに、蝶みたいな存在もいたし、僕の精神はもう疲労困憊だ。
「マスター、八つ当たりは良くないですよ?」
「……正当な怒りだと思うけどね」
もしかして、クイーンもあの馬鹿巫女に感化されたか?だとしたら、僕にとっては悲劇以外の何ものでもないんだけど。
「マスター、今何か失礼なこと考えませんでしたか?」
「別に。当然の評価を下しただけだよ」
絶対に、失礼だなんて言える立場ではないだろう。実際にとんでもないことやってるし。既に僕は被害に合ったし。
「そういえば、魔法の研究が一段落ついたらまたクローンを作るそうですよ。マスターにもらったコアがまだ余ってるとか」
「…………勘弁してくれ」
近い将来、胃に穴が開きそうだ。現実的には、すぐ再生できるけど。
「はぁ、本当に憂鬱だねぇ…………」