安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第六十一話 捕食者のキョウエン

~SIDE 龍~

 

 あれからまた数年経ち。眷属は結構な量が強制(・・)帰還したけど、結局ナインもどこかに行ったし、蝶はよく分かんない組織に入り込んじゃったし、巫女は一度連絡を寄越しただけで帰ってこなかった。

 たしか、他世界よりも時の流れが早い世界を見つけたとか、徒を集めて組織を作ったとか。

 

「心配なのは、クイーンからかなりの量の記憶(情報)が流出してるってことだよね。仮装舞踏会(バル・マスケ)とか名乗ってないといいんだけど。」

 

 紅世の徒、そのなかでも特に強大な力を持つ者が集まり、新参者の教育等の様々な活動を行う大組織、仮装舞踏会(バル・マスケ)。この世界で再現されてないといいんだけど。この組織の幹部に当たる三柱臣(トリニティ)たる巫女・参謀・将軍もクローンとして作られてるから、余計に不安になる。盟主がいないのが唯一の救いか。

 

「仮装舞踏会《バル・マスケ》の盟主である祭礼の蛇は、創造神。案外、知らないうちにマスターが盟主となっているのでは?」

「……それ、笑えないからね?」

 

 クイーンの言うことにも、一理ある。というか、その可能性は結構高い。考えたくないけど。

 

「まぁいいや。とりあえず、平穏なうちに力を付けておかないと、ね」

「…………」

 

 あれ?なんで黙るんだろう?

 

「気にはなるけど、気にする必要もないか。……さて、と」

 

 

―――――コピー能力『ファイア』発動―――――

 

 

 頭に、燃え盛る炎の冠が顕現する。

 

「続いて、部分形態変化、銃身!」

 

 瞬間。シュン、と、頭の炎が消える。

 

「……やっぱり、コピー能力と形態変化の同時展開は難しいねぇ」

 

 僕の持つ力、アラガミへの変化とコピー能力の使用。これが同時に展開できるようになれば、戦術の幅がグッと広がる。

 

「要練習、だね。平穏が続いているうちに、しっかりと習得しないと」

 

 永遠に続く平穏なんて、ありはしない。いずれ戦乱が訪れるのだから、僕はそれまでにもっと強くならなければならない。

 

 

~SIDE OUT~

 

 

~SIDE クイーン~

 

「まぁいいや。とりあえず、平穏なうちに力を付けておかないと、ね」

「…………」

 

マスター、たしかにモースト殿の中は平穏そのものですが、外は既に戦乱の中ですよ?まぁ、マスターの記憶にあった『国同士の戦争』よりはマシですが。

 

「気にはなるけど、気にする必要もないか。……さて、と」

 

 気にしない、というのは、私が急に黙った理由でしょうか。聞かれないのであれば、態々言う必要もありませんね。マスターに不安を与えかねない案件ですし。

 

 

―――――コピー能力『ファイア』発動―――――

 

 

 マスターの頭が、燃え上がります。事情を知らない者が見たら、驚くでしょうね。私はこれがなんなのか知っていますが。

 

「続いて、部分形態変化、銃身!」

 

 今度は、マスターの左腕が真っ黒に染まり、銃身形態になります。……砲身形態と言ったほうがしっくり来るのは、私だけでしょうか?

 

「……やっぱり、コピー能力と形態変化の同時展開は難しいねぇ」

 

 少し考え事をしている間に、マスターのコピー能力が解けていました。

 

「要練習、だね。平穏が続いているうちに、しっかりと習得しないと」

 

 今が平穏かどうかはともかく、これを身につけるのはかなりの戦闘力上昇になるでしょうね。

 ……もう魔法武器(デバイス)なんて、いらないような気がします。

 

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