安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第六十二話 悪夢

~SIDE 龍~

 

「…………」

 

 コピー能力と形態変化の同時展開の練習を始めてから、たぶん数年経った。……実のところ、もう時間感覚が滅茶苦茶だから、まだ1、2年しか経っていない可能性も、10年以上経っている可能性もあるけど、それはさておき。

 

「クイーン、巫女からのメッセージ、聞こえた?」

「はい。」

「何て言ってた?」

「時空管理局なる大組織がいること」

「それだけ?」

「紅世の徒を集めて作った組織、仮装舞踏会(バル・マスケ)の活動は順調で、メンバー(クローン)の数も増えたと」

「…………」

 

 ……やっぱり、聞き間違いじゃなかったか。頭が痛い。

 

「本当に作っていましたね、仮装舞踏会(バル・マスケ)

「そうだね。しかも、クローンの数まで増えてるみたい」

 

 まったく、何をやっているんだか。

 

「マスター、私達も組織を作りませんか?」

「は?」

 

 ついにコイツも、おかしくなったか?

 

「ヒジョーに失礼なことを考えられた気がします」

「気のせいでしょ。それで、なんで突然そんなことを言い出すの?」

「時空管理局なる組織と渡り合うためです」

 

 管理局と?……あぁ、そういうことか。

 

「今の所、仮装舞踏会(バル・マスケ)は一箇所に留まっていて、他世界への干渉をあまり行わっていない。それに対して,、恐らく管理局は既に積極的に多くの世界を支配し、発言力その他諸々を得ている。このままでは、いずれ仮装舞踏会(バル・マスケ)や僕達も標的になる」

「ですからこちらも組織を作ることで、強い発言力を得るのです」

 

 それなら、下手に世界に手を出して組織を大きくするよりも、管理局と手を組んだ方が楽そうだ。幸い、戦力提供にしろ脅迫にしろ、こちらには十分な兵力がある。まぁ、相手の実力を把握できない以上、敵対するとなると不安はあるけど、多分そんなことにはならないだろう。相手側にもリスクが大きすぎるハズだ。

 

「クイーン、どうやったら管理局のお偉いさんとコンタクト取れると思う?」

「蝶を使えばいいでしょう?」

 

 蝶?どうしてここで、彼女が出てくる?

 

「……マスターは覚えていないのですか?二つの能力の同時展開を練習するより前に、彼女は管理局にスカウトされて入局していますよ?」

 

 あぁ、そういえば何かの組織に入ったとか言ってたなぁ。それなら、早速。

 

「(あー、あー、マイクテストー。蝶、聞こえる?)」

「(!? 父様ですか?一体何事です?)」

 

 ……そんなに驚かなくても。

 

「(いや、僕達も組織作ったからさ。結構大きな権力持ちそうな組織と、早いうちにコンタクトを取っとこうと)」

「(……そういうことでしたか。まったく、驚かさないで下さい。母様や兄様達に何かあったのかと思いました)」

 

 せっかちだなぁ。そんな緊急だったら、のんきにマイクテストなんてやらないと思うんだけど。

 

「(何か失礼なことを思われているような気がしますが、まあいいです。上層部に掛け合っておきます。ところで、組織の名前は何でしょう?)」

 

 名前か。そういえば、考えてなかったな。

 

「クイーン、何かいい名前ある?」

「いえ、特には。マスターの記憶の中から探した方がよいのでは?」

 

 なるほど、それは名案だ。それじゃあ、結構安直だけど僕達はこう名乗ろう。

 

 

 

 

「(悪夢(ナイトメア)。僕達の名前は、悪夢(ナイトメア)だよ)」

 

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