安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第六十三話 交渉 前編

~SIDE 龍~

 

「部分形態変化、コンゴウ、ディアウス・ピター、サリエル。」

 

 こんな子供の姿をした僕が交渉に行ったら、確実に嘗められる。というわけで僕は、姿を変えることにした。残念ながら成長は出来ないけど、幸い半人型のアラガミへの変化はできる。

 腕は猿型のアラガミ、‘猿神’コンゴウのものへ。

 顔は邪悪な人間の顔を持つ獅子型アラガミ、‘帝王’ディアウス・ピターのものへ。

 足は空に浮く女性型アラガミ、‘女神’サリエルのものへ。

 

「……マスター、アンバランスじゃないですか?」

「まぁ、否定はしないよ」

 

 ディアウス・ピターの顔はゴツゴツしていて完全な人間という感じはしないし、コンゴウの腕の異様な太さに対して、サリエルの足や形態変化をしていない胴体はほっそりしていて、体の上下のバランスがおかしい。それは僕も分かってるけど、これしか思いつかないんだから仕方ないじゃん。

 ……完全な人型をしたアラガミのアルダ・ノーヴァは女だし、ツクヨミは顔が人間っぽくないし。顔の問題を言い出したら、ディアウス・ピターの顔も十分おかしいけど。

 

「万が一ってこともあるし。クイーン、分かってるね?」

「当然です。……一体化(ユニゾン)、完了しました」

「これも、大分早くできるようになったね」

「当然です。僅かな隙が、戦闘では命取りですから」

 

 うん。さすが、分かってるね。

 

「それじゃあ、行こうか」

「はい。……これが私達の、初めての世界を超えた転移ですね」

「そういえばそうだね。さてと、時空転移、起動!!」

 

 僕達の視界は、真っ白な光に覆われる。

 

 

 

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

 

 

「……到着かな?蝶、いる?」

 

…………

 

 返事は、返ってこない。

 

「(蝶、今何処?)」

「(すみません!今、待ち合わせ場所に向かっています!!)」

 

 どうしたんだろう?急な仕事が入ったとか?

 

「っとと、到着しました。お待たせしてしまい、申し訳ありません」

「早かったね~って、転移魔法か」

 

 それなら、あの一瞬でここまで来れたことにも納得できる。

 

「さて、私の上司の下へ案内します。……あまり、滅茶苦茶なことはしないで下さいね?」

「自分の親を何だと思ってるのさ」

 

 いくらなんでも、酷いと思う。

 

「父様には失礼かもしれませんが、私の母様はあの人ですよ?」

「…………ごめん」

 

 前言撤回。片親がアレなら、心配になってもおかしくは無い。むしろ、それが正常だ。

 

「考え無しとは思えませんが、父様も珍妙な格好をされていますし」

「……とりあえず、案内してくれる?」

「はい」

 

 さて、交渉に臨もうか。全ては、僕と家族の末永い安全のため。

 ……別に、無理矢理話を変えたわけじゃないよ?

 

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