~SIDE 龍~
「部分形態変化、コンゴウ、ディアウス・ピター、サリエル。」
こんな子供の姿をした僕が交渉に行ったら、確実に嘗められる。というわけで僕は、姿を変えることにした。残念ながら成長は出来ないけど、幸い半人型のアラガミへの変化はできる。
腕は猿型のアラガミ、‘猿神’コンゴウのものへ。
顔は邪悪な人間の顔を持つ獅子型アラガミ、‘帝王’ディアウス・ピターのものへ。
足は空に浮く女性型アラガミ、‘女神’サリエルのものへ。
「……マスター、アンバランスじゃないですか?」
「まぁ、否定はしないよ」
ディアウス・ピターの顔はゴツゴツしていて完全な人間という感じはしないし、コンゴウの腕の異様な太さに対して、サリエルの足や形態変化をしていない胴体はほっそりしていて、体の上下のバランスがおかしい。それは僕も分かってるけど、これしか思いつかないんだから仕方ないじゃん。
……完全な人型をしたアラガミのアルダ・ノーヴァは女だし、ツクヨミは顔が人間っぽくないし。顔の問題を言い出したら、ディアウス・ピターの顔も十分おかしいけど。
「万が一ってこともあるし。クイーン、分かってるね?」
「当然です。……
「これも、大分早くできるようになったね」
「当然です。僅かな隙が、戦闘では命取りですから」
うん。さすが、分かってるね。
「それじゃあ、行こうか」
「はい。……これが私達の、初めての世界を超えた転移ですね」
「そういえばそうだね。さてと、時空転移、起動!!」
僕達の視界は、真っ白な光に覆われる。
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「……到着かな?蝶、いる?」
…………
返事は、返ってこない。
「(蝶、今何処?)」
「(すみません!今、待ち合わせ場所に向かっています!!)」
どうしたんだろう?急な仕事が入ったとか?
「っとと、到着しました。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「早かったね~って、転移魔法か」
それなら、あの一瞬でここまで来れたことにも納得できる。
「さて、私の上司の下へ案内します。……あまり、滅茶苦茶なことはしないで下さいね?」
「自分の親を何だと思ってるのさ」
いくらなんでも、酷いと思う。
「父様には失礼かもしれませんが、私の母様はあの人ですよ?」
「…………ごめん」
前言撤回。片親がアレなら、心配になってもおかしくは無い。むしろ、それが正常だ。
「考え無しとは思えませんが、父様も珍妙な格好をされていますし」
「……とりあえず、案内してくれる?」
「はい」
さて、交渉に臨もうか。全ては、僕と家族の末永い安全のため。
……別に、無理矢理話を変えたわけじゃないよ?