安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第六十五話 再びの眠り

~SIDE 龍~

 

 ……暇だ。

 

 自分の能力は既にほとんど使いこなせているから、修行をする気も起きない。

 新しい自在法を開発しようにも、アイディアが思いつかない。

 眷属と、管理局に売るための眷属人形の作成は既に毎日しているけど、すぐに終わる。

 今のところ、悪夢(ナイトメア)に眷属人形の販売依頼は来ていないから、組織としてやることも無い。

 

 よって僕は今、暇だ。

 

「クイーン、何か暇潰しになりそうなもの無い?」

「ありません。そんなに暇なら、ナイン殿や仮装舞踏会(バル・マスケ)のメンバーと連絡を取ったらどうです?」

「ほとんど皆、取り込み中」

「…………」

 

 戦闘中だったり、よく分からない研究をしていたり……。さすがに、自分の退屈を紛らわす為に、他の眷族の行動の邪魔をするのは気が引ける。

 僕は身を危険に晒したくはないけど、平和すぎるマンネリな日々を過ごしたくも無い。適度なスリルのある、飽きの来ない生活をしたいのだ。今は、刺激が弱すぎる。平和なのも好きだけど、長すぎるのは嫌なのだ。我儘って言われたら、それまでだけど。

 

「いっそのこと、何か大きなイベントが起こるまで寝ていようかねぇ?」

「それもいいかもしれませんね。マスターが何もしなくても、モースト殿や他の眷属、アラガミ樹たちが存在する限り、彼等の光合成によってオラクル量は増えますから」

 

 たしかにそうだ。僕は何もしなくても、時間が経てば経つほど保有オラクル総量が増える。僕の力が増す。ならば、それを寝ながら待つというのも一つの手だろう。果報は寝て待てっていう言葉もあるくらいだし。

 

「それじゃあ僕は、遠慮なく寝るとしようかな。クイーン、モースト、何かあったら起こしてね」

「イェス、マスター!」

「リョウカイ、シマシタ」

 

 いずれ来る戦乱までの間、眠りながら力の補給と温存をしておこう。戦ではなにがあるか分からないのだから。常に万全の状態で臨むべきだ。

 

 

 ……カッコいいこといいながら、実はただ『暇』という事実から逃げ出したいだけである。

 

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