~SIDE 龍~
「「……学校、ですか?」」
また二人の声が被ってる。僕、そんなにおかしなことを言ったかなぁ?
「うん、学校。彼女の発言から察するに、人喰いにはリスクが伴うんでしょ?なら、学校に通ったほうが安全に知識を深められるじゃん」
「そもそも、どうして知識を深めようなどと……?」
まさか、あの説明だけで説得できないとはね。仕方ないから、本音を言っちゃおうか。
「だって、他にやる事ないし、暇じゃん?」
「「………………」」
今度は、揃って沈黙。この二人、面白いね。
「えぇっと、邪神様?具体的に私達は、何をすればいいのでしょうか?」
「さあ?その辺は任せるよ」
具体的に何をすればいいかなんて知らないし。邪神だって、全知全能ではないのだ。……今はまだ、ね。
「それじゃあ、吉報を待ってるよ」
僕には、戸籍すらないんだ。それを学校に通わせようと思ったら、それ相応の手続きとかが必要に違いない。それなら、一朝一夕でどうにかできる問題ではないだろう。たぶん。
……それを分かっていてそんな要求する僕って、かなり酷い奴だよね。まぁ、
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「……で。僕はどうして、こんな所にいるの?」
「邪神様を、私の弟として戸籍登録したからです」
「……あれからまだ、一日しか経ってないんだけど?」
「私達は、政府にもツテを持っていますから」
「そう。もう、何も言わないよ」
夜の一族の地位は、思ったよりも高いらしい。迫害されたとか言ってたはずんんだけど。
「迫害されないように、確固たる地位を築く必要があったのです。もう表には、私達を迫害する人間はいません」
「深読みするなら、裏では狙われてるんだね。あと、人間以外の存在にも」
「人間以外の存在というのは抵抗があるのですが……。同じ夜の一族にも狙われています」
「…………は?」
同族に狙われるって、どういうことさ?
「夜の一族の中でも、月村は由緒正しき血統ですから。私達を蹴落とすことで自分の地位を上げようとする者もいるのです」
「夜の一族内の権威争いってこと?内輪揉めなんかしてる余裕はないでしょうに」
そんなんで、よく今まで生きて来れたね。身内に足を引っ張られてたら、地位を築く事だって容易じゃなかっただろうに。
「私達は、普通の人間に比べて身体のスペックが高いですし、長寿ですから。『実績』を上げるのは容易でした」
「まずは事業を成功させて、そこで得た金の力を使ったわけだ」
これから僕の家となるらしい彼女の家は、明らかに豪邸。彼女が相当な金持ちなのは間違いない。
「いえ、お金だけで解決してきたわけではないのですけど……」
お金以外?実力行使とか?
まぁ、それはともかく、
「僕の考えていることって、そんなに分かりやすい?」
「はい」
……さっきから、考えただけで返答が返ってきてたから聞いてみたんだけど、僕は考えていることが顔に出るらしい。ポーカーフェイスの練習でもしようかな?
「ところで、私達は邪神様をどうお呼びすればよいのでしょうか?」
「ん?普通に『龍』って呼んでくれればいいよ。どうせ、僕の名前はクイーンから聞いてるんでしょ?」
そうじゃなきゃ、戸籍は作れないだろうし。
「逆に、僕は貴方を何て呼べばいいの?まだ、名前を聞いてないんだけど」
さっきまでの話から苗字が月村ってことは分かったけど、僕は彼女の名前を知らない。クイーンに聞けば分かるんだろうけど。
「私の名前は月村忍、妹の名前は月村すずかです。お好きなようにお呼びください」
すずかと忍、か。戸籍上、僕は弟になってるみたいだし、「お姉ちゃん」とか呼んだほうがいいのかな?
「これから宜しくね、忍お姉ちゃん?」
「………………」
あ、固まった。面白い。
サブタイは、月-村-龍
主人公の苗字が、月村に変わりましたので。
名前の龍は変わりませんよ。当たり前ですが。
……主人公の元々の苗字を覚えている人はいるのでしょうか?