安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第六十九話 新拠点

~SIDE 龍~

 

「………………」

「………………」

 

 見つめあう、少年少女。どちらも一言も話すことなく、ただ互いを見つめ続ける。

 

「………………」

「………………」

「……いい加減、何か話したらどう?」

 

 とうとう、忍お姉ちゃんが口を出してきた。

 僕は忍お姉ちゃんの弟であり、すずかの双子の兄。両親の事情により引き離されていたが、最近こちらへ戻ってきた……ということらしい。ちょっと無理がないかなぁ。

 

「……お兄ちゃん?」

「………………」

 

 すずかには知らされてないらしいけど、それはあくまでも設定なのだ。実際には血縁関係はない。それなのにお兄ちゃんなんて呼ばれても、反応に困る。

 

「龍、突然で戸惑うかもしれないけど、すずかは貴方の妹なの。もう少し、何か話してあげてくれない?」

 

 うん、突然で驚いてるよ。だって、身体を六歳くらいにして欲しいって言われたから要望通りにしたら、同じく六歳くらいの少女がいたんだ。しかもその少女は、僕の双子の妹ってことになっている。こんな状況になったら、誰だって驚くさ。

 それにしてもクイーンは、彼女にどこまで情報を流しているんだろう。僕が身体を幼くできることまで知られているんだんて。

 

「えぇっと、これからよろしくね?すずか」

「うん」

 

 事前に教えといてくれれば、もっと気の利いたセリフも考えられたのに。

 

「龍もすずかも、これから色々と戸惑うこともあるでしょうけど、仲良くしなさいね?」

 

 ……忍お姉ちゃんの笑顔が怖い。ちょっとした喧嘩ならともかく、本気で仲違いした暁には碌なことにならない気がする。まぁ、実力は僕の方が圧倒的に上だけど。夜の一族が一丸となって襲ってきたとしても、返り討に出来るからね。

 忍お姉ちゃんが姉らしく僕に接するように出来るようになったのも、そういう風に僕が命令したからだし。正確には、命令じゃなくて許可なんだけど。

 

「こちらこそ、よろしくね?お兄ちゃん」

「うん」

 

 それにしても、しっかりした子だねぇ。六歳とは思えない。

 ……そういえば、夜の一族は一定の歳になると老化速度が著しく落ちるとか言ってたなぁ。実はすずかも、見た目通りの年齢じゃないとか?

 

「お兄ちゃん、失礼なこと考えなかった?」

「イエ、ソンナコトアリマセンヨ?」

 

 怖い。めっちゃ怖い。顔は笑ってるのに、目が笑ってない。これと比べれば、さっきの忍お姉ちゃんの笑顔の方がマシだ。

 

「龍、貴方をファリンとノエルに紹介するわ。ついて来てくれるかしら」

「分かった。すずか、また後でね」

「うん」

 

 ファリンとノエル、たしか此処でメイドをやってる自動人形の名前だったね。彼女達には、僕の正確な情報が伝わってるといいなぁ。

 

「心配しなくても、彼女達は知っていますよ」

「また顔に出てた?本気でポーカーフェイスの練習をしようかなぁ」

 

 考えてることが顔に全部出るって、社会生活においてかなり不便だと思うし。

 

「心配しなくても、人の表情を読み取れる人間はそう多くはありませんよ」

「そうなんだ」

 

 忍お姉ちゃんが表情を読み取れるのは、それをしないと生きていけないような環境にいたからかな。

 

「まぁ、そうですね。ちなみに、ノエルもできますよ」

 

 ……同じ自動人形なのに、ファリンにはできないのか。事前に聞いた話だとドジっ娘らしいし、そういうのが関係してるのかな。

 

「………………」

「え?そこで黙っちゃうの?」

 

 まだ顔を見たこともないけど、ファリンが不憫だ。

 

「えぇっと、二人に紹介した後はこの家を案内してね?広すぎて迷いそうだから」

「分かりました」

 

 モーストの中なら、部屋の配置を自由に変えられるから迷うことなんてないんだけどね……。

 

 まぁ、それはともかく。

 これからは此処を拠点にして、楽しく生きてこう。何時まで続くかは分からないけど。

 

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