安全主義者と戦乱の日々   作:天翔青雷

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第七十三話 仲良し三人娘+1

~SIDE 龍~

 人間ってよく分からないと思う、今日この頃。

「それでね、アリサちゃん、なのはちゃん。この前、龍君がね―――」

「「うん、うん」」

「ちょっと待て!」

 どうして、あんな喧嘩から友情が芽生えたんだろうとか、どうしてこんな仲良しコンビになってるんだろうとか、気になることは多々あるけど、今はそれよりも話のネタになることを阻止しないといけない。あんまり、自分のことを人に話されるのは好きじゃないんだよね。

「龍君、何カ言ッタ?」

「いえ、何でもありません」

 ……やっぱり、精神の安全の方が大事だ。邪神の僕が吸血鬼の娘一人に逆らえないなんて。いや、邪神って言うのは自称だけど。僕を邪神扱いする者もいるとはいえ、本来の種族はアラガミだし。

「とりあえず、ここは戦略的撤退……っと」

 何を言われるのか気にはなるけど、それ以上に聞くのが怖い。下手にツッコミでもしようものなら、余計に深みに嵌る気がするし。本当に、どうして出会って数ヶ月で、こんな上下関係ができたんだろう?

「ある意味、月村姉妹は僕の天敵かもね」

 不死の存在である僕を肉体的に完全に殺すのは難しい。再生能力に複数の命、そして永久的なエネルギー機関を持つ僕を殺す方法はあるけど、実行するのは極めて不可能に近い。けど、精神攻撃は別だ。僕には、精神攻撃に対する耐性がほとんど無い。魔術の類なら抵抗のしようもあるんだけど、純粋な生物的恐怖には弱いのだ。故に、僕に恐怖を与える忍お姉ちゃんとすずかは、大切な存在であると同時に危険な存在だ。まぁ、実際に戦闘になったら、勝つのは僕だけど。

 

「あの二人は恐いんだけど、戦闘能力はそこまで高くないんだよね」

 比較対象が悪いのかもれないけど、僕の視点かから見れば彼女達は弱い。忍お姉ちゃんの彼氏はそこそこ強いけど、常に護衛してるわけじゃない。

 すずか一人でも、その辺の不良程度なら撃退できそうだけど、社会の裏の連中とかには太刀打ちできない。忍お姉ちゃんが僕を態々すずかと同学年にしたのは、日常での護衛をして欲しいってことなんだと思う。明言はされてないけど。

「すずかも大切な家族だけど、明言されてない以上、完全な護衛役として行動する必要もないよね」

 一応、いざという時のために保険もかけてあるから、僕が気を張る必要もないし。

 さて、そろそろ皆の下に戻ろうかね。

「ねぇねぇ、龍君って意外と抜けてるところもあるんだねっ」

 ……戻って来て早々に、そんなことを言われるとは思わなかった。すずかは一体、彼女達に何を言ったんだろう?僕は一体、何を言われたんだろう?気になるけど、聞きたくないな。立ち直れなくなりそうな気がするし。

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