~SIDE 龍~
「……随分と物騒なおもてなしですね」
これは流石に、想定外。あの武装した男達は、明らかに僕達を殺す気だ。
「あぁ、あの金髪は殺すなよ?大事な金蔓だ」
僕達だけを殺す気か。それじゃあ、指示を出している男は確実に夜の一族を知ってるね。
「アンタ達、すずか達をどうする気なのよ!?」
どうする気って、殺す気なんだろうね。馬鹿正直に答えはしないだろうけど。
「殺すのだよ。夜の一族は、人間にとっての脅威であり、害悪だからね」
うわ、馬鹿正直に喋ったよ。しかも、余計な言葉まで付け加えて。
「夜の、一族……?アンタは一体、何の話をしてるわけ!?」
できれば、そこに食いつかないで欲しかったね。殺すなんて物騒なことを言ってるんだから、夜の一族とかはスルーして、そっちに反応して欲しかった。
「おや、どうやらキミは知らされていなかったようだね。では、教えてあげよう。彼女たちは「やめてぇ!」……まったく、煩い小娘だな。化物の分際で!」
すずか、言われたくないってことは分かるけど、叫んでも大した意味はないと思うよ?
「すずかは化物なんかじゃないわ!」
「ふん、何も知らない小娘が。……月村の人間は皆、夜の一族と呼ばれる。その本性は、人間の生き血を啜る吸血鬼だ!」
あらら、全部バラされちゃった。僕が本気を出せば、この手足の拘束を引き千切って、あの男の言葉を……というか、息の根を止めることもできるんだけど、それは逆効果な気がするんだよね。
「夜の一族は、人間離れした身体能力を持っている。小娘、お前も心当たりがあるんじゃないか?」
「う……。確かに、体育の成績のトップはすずかだし、怪我をしてる所とか風邪をひいたところを見たことはないけど……」
僕達ほどじゃないけど、夜の一族は身体能力も免疫機能も高い。僕みたいに実力を隠さなければ体育の成績がトップになるのは当たり前だし、そう簡単に風邪をひかないのも当たり前だ。
「さぁ小娘よ。そんな化物のことは放っておいて、こちらへ来なさい。君の命は保障しよう」
その口約束を守るのかどうか甚だ疑問だし、もし守るとしても、あの男はアリサの命
「断るわ!私に隠し事をしてたのは許さないけど、すずか達は私の友達だもの。私は、友達を見捨てるようなことはしない!」
「アリサちゃん……」
すずかが、感極まって泣きそうになってる。僕も感動はしてるけど、泣くほどではないかな。彼女は夜の一族を受け入れたけど、アラガミまで受け入れたわけじゃないんだから。
夜の一族は異常でも人間だけど、アラガミはそもそも人間ですらないし。あくまでも、人の形をしているだけだ。
「おや、それは残念だ。では、化物と共に殺してやろう」
おいおい、大事な金蔓は殺さないんじゃなかったのか?
「いいのですか、ボス?あの金髪は、バニングス家の令嬢。人質とすれば、一儲けできたと思いますが」
「誰が意見を許した?貴様らは、私の指示に黙って従えばいいのだ。さぁ、殺せ!」
仲間の意見も無視ですか。まぁ、どうでもいいけど。アリサと問答をしてくれたおかげで、十分な時間は稼げたし。
「死ね、吸血鬼!」
……銃声が響き、鮮血が舞った