東方鬼灯伝   作:Agies

10 / 15
 お待たせしました、第七話投稿です。


第七話 妖と人

 結局昨日はよく眠れなかった。あの後ずっとレミリアのことや、これからのことについて考えていたのだ。

 東方projectのキャラクターと接触すると言っても、何の情報もない。向こうから接触してきてくれないだろうか。そうしたら楽なのに。

 まぁでも、そんなことを言っても叶わないのは、わかりきったことなので―――

 

「よっこいせ、と」

 

 ―――そろそろ起きようと思う。いつまでも布団でゴロゴロしている訳にもいかまい。

 布団からのそのそと這い出てきた俺は、布団を適当に畳み、部屋を出る。

 そのままチェックアウト(この時代だとチェックアウトではなく何と言うのだろうか?)を済まし、宿を出る。昨日二泊と言ったが、一泊で充分だった。その分の金は返してもらった。

 宿を出ると昨日見た町並みが目に飛び込んでくる。朝と言うこともあり、店はかなり賑わっている。

 そんな中、俺はとある店を目指して歩いていた。

 それはどこか?

 そう、俺が昨日行けなかった団子屋である。

 昨日は金がなくて泣く泣く諦めたが、今日はある。今日は朝から団子パーリーだっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホウズキは食べ続けた。

 店に来てからというもの、それはもう一心不乱に食べ続けた。あとどのくらいお金が残っているかだとか、今何皿目だとか、そんな細かいことは気にせず食べ続けた。

 そのくらい美味しい団子だったらしい。店主が自らうまいと言うだけはある。

 

「な、なんなんだ、あの嬢ちゃん。食べすぎだろ………」

 

「ほんとに大食らいだな………。まぁ、店としてはありがてぇ限りなんだが………」

 

「若ぇのは元気でいいねぇ」

 

 どうやら周りの客と店主はホウズキの食べっぷりに、若干引いているようだった。とは言っても、見た目十二歳程の少女としては食べ過ぎ、位の量しか食べていないのだが。

 ちなみに、今は六皿目である。

 

「おじさん!御手洗おかわりくださいっ!!」

 

「お、おうよ」

 

 七皿目の注文が入る。いつもは笑顔で接客している筈の店主の顔も、どことなく引きつっている。

 

「お、お嬢ちゃん?」

 

「はい、なんでしょう」

 

 団子を口一杯に頬張った、可愛らしい顔を店主に向けるホウズキ。

 

「無粋なことを聞くが、お代はあるんだよな?」

 

「もちのろんです!そんなことより、さぁさぁ、早くおかわりをっ!」

 

「も、もちのろん?」

 

 ホウズキの返事を聞いて、どこか安心したかのような顔をして厨房に戻る店主。どうやら金ならあることは理解してくれたらしい。ホウズキのネタは理解していなかったが。

 店主が頑張って団子を作っている間も、モグモグと口一杯に団子を頬張るホウズキ。相も変わらず、周りの客は引いている。

 

 

「はいよ、お嬢ちゃん。団子のおかわりだ」

 

「まってましたっ!」

 

 そう言って、また団子を食べ始める。

 それから、ホウズキが満足したのは、もう二皿程頼んでからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、調子に乗って団子を食べすぎて、金が無くなってしまった。無一文リターンズだ。

 だから、またも狩りで金を稼ぐしかない。我ながら、全くもって計画性のないことに、ため息が出そうだ。

 さあ、また一狩いくとするか。

 

「探知」

 

 前回と同じよう、周囲一キロ位に魔力を広げて獲物を探す。だが、獲物が見つからない。くそう。

 

「ちくしょう。いねーな」

 

 この森は広いから移動すれば見つかるだろうが、移動しながら『探知』を使うとなると、割りと魔力を食う。

 いざという時に魔力切れでした、だなんてことになったら、目も当てられない。

 それを避けるために、少し移動してから、探知を発動し、解除してからまた移動する。これを繰り返して行えば、魔力もそこまで使わずに、効率よく狩りができる。

 その繰り返しを3セット位繰り返した頃、漸く獲物が見つかった。

 

「ふっふっふ、とうとう見つけたぞ。大人しく出てくればよいものを」

 

 悪役風に呟きながら、獲物のいる方へ、草をガサガサと掻き分けながら近づいていく。

 因みに見つけた獲物は、昨日より一回りほど小さい猪だった。もしかしたら、昨日狩った猪の子どもだったりするかもしれない。

 

 

 

「きゃぁぁあああ!!」

 

 

 意気揚々と俺が獲物に近づき、仕留めようとしたその時、不意に悲鳴が俺の鼓膜を叩いた。

 恐らくは女の悲鳴。

 それも幼い十歳くらいの。

 さっき発動させた『探知』には、人間の反応は無かった。だとすると俺が『探知』を解除してから、獲物を見つけるまでの短時間に、森に入って妖怪に襲われたわけだ。

 そんな間の悪い、というか、運の無い人間はいるのだろうか。いや、実際にいるからこんなことになっているのだが。

 まあ、こんなことを考えていて、少女がすぐそこで殺されてしまっても、寝覚めが悪くなるだけだから、助けに行こうと思う。

 

「飛翔」

 

 魔力を使い移動すれば、悲鳴が聞こえるくらいの距離など、それこそ「あ」と言う間に着いてしまう。

 着いた先では、人間の男の見た目をした妖怪が、少女を襲っていた。

 

「こんにちは、妖怪さん。こんなところでいたいけな少女を襲って、どうするおつもりですか?」

 

「ああん?なんだてめぇ、殺されてぇのか?」

 

「いやぁあああ!!助けてぇ!!!」

 

「妖怪さん。私が近くにいたのが運の尽きでしたね。別の日に人間を襲えばよかったものを」

 

「ごちゃごちゃうるせぇ!なんなんだてめぇは!」

 

「通りすがりの人間ですよ」

 

「嘘をつくな!空をとんでるし、妖力も出てるじゃねぇか!」

 

 ふむ、人形の妖怪は獣の形をした妖怪より力が強いと聞いていたから、最初は警戒したのだが、俺から漏れる力を魔力ではなく、妖力と言ってしまうあたり、俺の変装を見抜けないあたり、どうやらこの妖怪は、人形になって日が浅いようだ。必然的に日が浅い方が力は弱い。

 つまり、この妖怪は、警戒に値しないということだ。

 

「この力を妖力と言っちゃいますか。実はこれ魔力って言うんですよ。ご存知あります?魔力」

 

「ああ?まりょくだぁ?知るかそんなもん」

 

「では丁度いい、魔力を知らない貴方に魔力についてレクチャーしてあげます」

 

 そう言って俺は右手に魔力を溜める。そして妖怪に向かって放つ。俺が最も得意な炎の魔法だ。勿論妖怪の隣にいる少女にはダメージを与えないよう、配慮しながら。

 

「ぐぎゃあぁぁぁあああぁぁぁ…………――――」

 

 魔法による炎に焼かれる妖怪を尻目に、少女の方へ近寄る。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「うん!怖かったけど平気!お姉ちゃんが助けてくれたから!」

 

「よかった。 ところで、お家わかります?」

 

「うん!千代ね、町で一番おっきい宿屋にすんでるの!」

 

 千代と名乗った可愛らしい少女は、どうやら俺が昨日泊まった宿屋の一人娘らしかった。世の中には不思議な縁もあるものである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。