東方鬼灯伝   作:Agies

3 / 15
第一話 決心

 ふむ………お父様に“結婚”だなんて言われたが、絶対にしたくない。俺は外見は女だけど、中身は男だ。

 そんなやつと結婚するなんて、相手も嫌だろう。俺も吐き気がする。

 そういえば、なんでお父様はあんな切羽詰まって俺に結婚をしろと言ってきたのだろう。何か理由があるのだろうか………年齢的にはまだ子供を作れる歳だろうし………もしかして、枯れている!?そんなわけないだろ………

 まぁ、お母様に聞けばわかるだろう。聞きに行くとするか。

 

「お母様~♪ お母様~♪ どっこにいるのお母様~♪」

 俺が今作詞作曲した“お母様を探す歌”を口ずさみ長い廊下を歩いていると、向こうからお母様が歩いてきた。

 ちょうどいい。探す手間が省けた。この屋敷は無駄に広いから、人を探すのにも時間がかかるのなんのって。下手をすれば時計の短針が二つ分進む。そんな屋敷でこんな早く探し出せるのはかなりラッキーだ。

 

「あら、ホウズキ。どうしたの?歌なんて歌って。随分とご機嫌じゃない」

 

「あ、お母様。ちょっといいですか?」

 

「なぁに?どうしたの?」

 

「いえ、少し相談がありまして。とりあえず私の部屋に来てください」

 

 まぁ、相談と言っても大した相談じゃないんだけども………相談と言うより質問と言った方が正しいか。

 

 後ろにお母様を連れ、私の部屋まで歩いていく。飛んで部屋まで行った方が早いのだろうけど、そんなに急いでるわけでもないし、折角なら歩きたい。 これは元々人間だったからこその考え方なのだろう。 これが純粋な妖怪だったら飛んだ方が楽だし、時間も短縮できるから、飛んで部屋まで行こうと考えるだろう。

 

 なんてことを考えていると、もう俺の部屋の前に来ていた。考え事をしていたからか、そんなに時間はかからなかったように感じる。

 

 ドアを開けるとそこには赤いベッドに赤いテーブル、赤い絨毯。全てがアカの見慣れた部屋。唯一赤くないのは昨日誕生日プレゼントに貰った真っ白なティーカップ。テーブルの上でそのカップはキラキラと輝いている。

 

 お母様を部屋の真ん中に置かれたイスに座らせ、テーブルには今淹れたアプリコットを出す。

 

「あら、悪いわねぇ。わざわざ紅茶なんて淹れて貰っちゃって」

 

「いえ、いいんです。紅茶を淹れるのと飲むのは私の趣味ですから」

 

「飲むのは私も好きだけれど、淹れるのはメイドに任せちゃえばいいじゃない。変わった子ね」

 

 それが出来たら苦労しないのだ。メイドさんの全員が全員美人だから気後れしてしまってまともに話しかけられないのだ。

 それにメイド長の十六夜さん?が怖くて、とてもとても『紅茶を淹れて』だなんて言えない。そう、俺はコミュ障なのだ。 引きこもりのコミュニケーション能力なめんな。まともに話せるのはお父様とお母様、そしてベッドに置かれた人形………ミーちゃんの3人だけだ。

 

「それで、私に相談って言ってたけど、どうしたの?」

 

 そうだった、俺はお母様にお父様のことについて聞こうと思っていたのだ。考え事をしていて忘れていた。悪い癖だ。

 

「相談って言っても大したものではなくて、質問って感じなんですけど」

 

「質問?いいわ。私に答えられる範疇なら答えてあげるわよ」

 

「えっとですね………お父様について聞いていいですか?」

 

「旦那様のこと?いいけど、どうしたの?」

 

「実は――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ってことがありまして」

 

「ふぅん。なるほどねぇ。つまりホウズキは旦那様がなんでいきなり結婚しろだなんて言ったのかが気になると」

 

「はい。そういうことです」

 

「私も詳しくはわからないのよねぇ」

 

「………詳しくは、ですか」

 

「えぇ、旦那様がホウズキを結婚させようって呟いていたのを聞いた程度で。ただ…」

 

 ………さっきから濁すようなことしか言っとらんな。“詳しく”だとか“ただ”とか隠したいことでもあるのだろうか。こんだけ焦らしておいて、普通に政略結婚でした。ってオチじゃないだろうな。 もしそうだったら、今飲んでる紅茶に塩をたくさんぶちこんでやる。

 

「ただねぇ、なんか引っ掛かるようなことを言ってたのよぉ」

 引っ掛かること?なんだろうか。

 

「この前、『私の3人目の娘が生まれたら私は殺されてしまう。運命は絶対なのだ』って言ってたのよぉ。それがどういう意味かわからないけど、もしかしたらホウズキの悩みに関係あるかもね」

 

「そうですか。ありがとうございました。わざわざ時間割いてもらって申し訳ないです」

 

「いえいえ、いいのよぉ。私としては、娘がどんな形であれ悩みを聞かせてくれたんだもの、全然かまわないわ」

 そう言ってお母様は部屋を出ていく。

 ………3人目の娘に殺される、か。恐らく俺が1人目、じゃあ残る2人目と3人目とは誰だろうか。だいたいだが予想はつく。恐らくは東方projectに出てくるキャラクター、レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットだろう。この2人は姉妹で吸血鬼。つまり俺と同族。同族で、姓がスカーレットで同じ。俺とレミリアたちが姉妹でもおかしくはない。もし、レミリアが2人目、フランドールが3人目だと言うならお父様の発言も辻褄が合う。フランドールの能力は、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だ。そして、495年間も幽閉させられてしまう狂気。その狂気と能力でお父様が殺されてしまうのだろう。

 なんだろうか、今、自分が探偵にでもなった感じだ。今日の俺は冴えているぞ。

 ん? と、いうことは、俺はレミリアやフランドールの姉になる訳だ!マジか!?ウおおおぉおおオオオ!!!テンション上がってきたぁ!!レミリアやフランドールの姉。つまり同性!だから一緒にお風呂に入っても、合法!!女神様、転生させてくれてありがとう!

 

 

 さて、そんなわけでお父様がなぜれ俺に結婚しろと言ったのか、だいたいだがわかった訳だが、どうするか。

 俺が結婚したらおそらく、レミリアたちは産まれてこないだろう。 それは嫌だ。

 では、俺が結婚しないとなったらどうなるのだろうか。簡単な話だ。レミリアとフランドールが産まれて、お父様が死ぬ。 それも嫌だ。

 究極の二択───だが、選べるのは二つの選択肢に限られた訳ではない。

 俺は第三の選択肢でも選ぶとしよう。ライトノベルの主人公みたいに上手くいくとは思えないけど───まぁ、俺は主人公ではないのだが。この世界の主人公は博麗霊夢と霧雨魔理沙だ。俺はせいぜいモブキャラだ。

 でも、モブキャラでも守りたいものくらい、一つはある。

 俺の守りたいもの。それは、“家族”だ。 お母様とお父様と俺と、そしてこれから生まれてくるだろうレミリアとフランドール。この5人でお茶でも飲みたい。これからはそれが目標だ。

 女神様が与えてくれた二度目の人生。全力で生きてやる。




 次回は、一ヶ月以内に投稿できたらいいな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。