さて、俺は日本へ行くことにした。
理由は簡単。
日本へ行って、幻想郷を作るお手伝い、そしてレミリアたちがすんなりと幻想郷へ行けるように影で支え、そしてあわよくば、八雲紫や博麗の巫女などの東方Projectの主要キャラクターと仲良くなるのだ。
しかし、どうやってこの日本から遠く離れた異国の地、ルーマニア(と思われる場所)から日本(恐らく今は江戸時代)に行くけばいいのだろうか。
無論、行く方法はある。
まず1つ目、お空を飛んで行きましょー。
日本までの長い道のり、空を飛ぶなんて嫌です。却下。
次に2つ目、お空がダメなら地上だ!
上記と同じ理由で却下。
そして3つ目、魔法的なサムシングで、なんかこうズビューンって感じでパッと日本へ。
悪くない、採用。
と、いうわけで転移魔法で日本へ行くことにした。だから、これから転移魔法の研究を始めようと思う。
◇
「お姉様、大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ」
研究を始めて二週間くらいが経ったある日、レミリアが俺のことを心配そうな顔で覗き込んできた。
俺、そんなに疲れた顔してるかな?と、思っていたら、どうやらお父様とお母様が死んでしまって落ち込んでいるように見えたらしい。
家を出るための転移魔法を研究していて、少し寝てないだけです。なんて言えないので、お父様たちが死んで悲しんでいる、ということにしておこう。自分でも最低だとは思うが。
「はぁ、お父様とお母様が死ななければ―――」
―――こんなにも苦労することはなかったのだろうか。 今それを言っても、もうどうにもならないのだが。
「ねぇ、お姉様、お父様たちはなんで死んじゃったの?」
と、レミリアが聞いてくる。 レミリアには一応、死因は病死と伝えている。なぜ、今改めて聞くのだろうか。
もしや、死因が病死ではなく、フランが殺めてしまったことに勘づいたのだろうか? いやいや、それはないだろう。目の前のこの少女は、まだ5歳なのだから。 いや、でもレミリアは年齢以上に賢いところがある。もしかして気付いているのかも………
という動揺を押し殺しつつ、俺は答える。
「え、びょ、病死ですけど………」
俺がそう答えると、レミリアはふーんと頷き、部屋を後にする。
俺は研究が途中でストップしているため、それの続きを再開した。
◇
紆余曲折、なんだかんだかんだなんだあって、転移魔法が完成した、のだが、人生、そう簡単にはいかないらしい。
随分と前に俺に求婚してきたロシュー伯爵が、再び俺に求婚してきたのだ。
このロシュー伯爵という男がネチっこい男で、非常にめんどくさい。
畜生、俺の人生は難易度ルナティックで固定なのか。
そんな憂鬱な今日この頃、ロシュー伯爵とのお見合いがあり、どう断るか、頭を悩ませている。下手に断り、相手を怒らせると、レミリアたちに何かされるかもしれない。 それだけは避けるべく、何か上手い断りかたはないかと、模索しているのだが、何かいい方法はないだろうか。誰か助けてください。
「お嬢様、お客様がいらっしゃいました」
そうこうしているうちに、どうやらロシュー伯爵様が、まことに遺憾ながら到着してしまったようだ。
ちなみに、俺の部屋まで客が来た、と伝えてくれたメイドは、前メイド長の十六夜さんの娘の、十六夜葉月さんだ。 十六夜さんが、この間の事故(と、呼ぶには余りにも悲惨過ぎる気がするが、)で、死んでしまったので、その代わりを務めてもらっている。歳は今年で14らしい。
「わかりました。客間に通しておいてください。すぐに行きます」
と、葉月さんに伝える。
はぁ、どうしようか。お見合いってなにすればいいんだろうか。
「お久しぶりです。5年前にダンスパーティでお会いした以来ですかな。 いやはや、ますますお美しくなって、是非我が家に来てほしいものですな!」
誰がお前みたいな、中年太りのおっさんの嫁に行くか。
5年前に一度会ったことも覚えていない。一度会っただけのおっさんと結婚だなんて。それ、なんていう罰ゲームですか?
それに俺は精神は男だ。絶対におっさんとは結婚はしたくない。結婚するなら可愛い娘がいいです。
「私はまだ20歳になって間もない若輩の身。ロシュー伯爵様のような高貴な御方と結婚だなんて、恐れ多い」
「いやいや、ホウズキ殿は充分素敵だ。それに、魔法にも精通していて、多彩な魔法を扱うと聞く。我が家には魔法書や、それに関連する書物は沢山ある。研究もできるし魅力的だと思うのだが」
魔法関連の資料が沢山ある、というのは魅力的だとは思うが、それでもイヤなものはイヤなのだ。それに俺、日本行って、東方のキャラクターに会いたいし。
「我が家の元当主の、我が父が先日病死した、というのはご存じかと思いますが」
「あぁ、知っているが、それがどうかしたのか?」
「当主が死に、今は私が当主です。私が嫁いでしまったら、この家に残るのは、齢5歳の妹と、まだ産まれて間もない妹だけです。5歳の妹に、この家を任せるのは、心配です。 ですのでこの縁談、お断りさせていただいます」
まぁ、そんなこと言っても俺はすぐに日本に行ってしまうのだが。
「そ、そうか。な、ならば、私に今、19になる息子がいるのだ。それを是非、妹殿の婿に………」
「お断り、させて、いただきます!」
レミリアを、どこの馬の骨だか、わからないようなやつに、任せるわけにはいかん!
それに息子だと?ということは妻がいる、ということだろ?つまり、俺が嫁に行っても妾か、側室ということで………、尚更嫁ぎたくないわ! この、色ボケジジィ!
そんなこんなで、俺はロシュー伯爵を見事(?)撃退し、晴れて日本に行くことになったのだ。
◇
よく晴れたある朝、吸血鬼だから、人間の生活とは昼夜逆転している、レミリアにおやすみを言い、枕元にそっと手紙を置き、庭まで出てきて、日に焼かれないよう、日陰でそっと、転移魔法を発動するための、魔法陣を展開する。
キュイイイイ、と音を立てて魔法陣が光だし、その光に俺は飲み込まれた。
地震かと錯覚するくらいの激しい揺れと、眩い光が収まる。
目の前に広がるのは緑豊かな木々と、そして、俺がまだ俺が人間だった頃、教科書で見たような、それか、時代劇で見たような、そんな感じの江戸時代チックな町並みだった。
こうして俺、ホウズキ・スカーレットは日本に降り立った。
前回のお話を投稿したら一日でUAが200を超え、とってもうれしいやら、ありがたいやらと、読者の皆さんには頭が下がりっぱなしです。本当に、ありがとうございます。
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では、また次回。