ある鎮守府での話   作:リネッタ

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私と司令官による深海棲艦の話

「君は深海棲艦についてどう思う?」

 

いつもの執務室で提督が唐突に問いかけてきた

 

「……急にどうしたんだい?」

「何、ただの事務仕事に飽きたから少し考えてたのだ」

「仕事をしたらどうだい?」

「僕たちの敵は深海棲艦だよ?ソレの事を考えるのも仕事さ」

 

物は言いようである

確かにやる事はしっかりやっている以上強く言えない

それにこの人は一度集中が切れると暫くは仕事をしないのだ

時間も丁度良いのだ休憩がてら付き合おう

 

「私たちにとっての倒すべき敵。そうじゃないのかい?」

「いや、そこに間違いはないさ。僕が言いたいのは奴らがどんな存在か、と言う意味だよ」

 

そう言いながら彼は棚の方へと向かった

茶でも入れるのだろう

そういう事は本来、秘書艦が――つまり私がやるべき事なのだが本人がやると言って聞かない

インスタントの紅茶を準備しながら彼は続けた

 

「よく噂とかを聞くだろう?奴らは君たち艦娘と対を成す存在だとか、恨みや妬みの化身だとかそのてのを」

「……確かに聞きはするさ。あまり気分の良いものではないけどね」

「だろうね。中には君たちの成れの果てなんてのもある」

 

君も飲むかい?彼の言葉に私は薄めで、と言ってうなずいた

彼の好みだと一般の倍近く粉を入れるから濃すぎるのだ

 

「僕としてもちょっと気になるのさ。曲がりなりにも提督になってしまったのだしね」

 

そう続けた後に紅茶を淹れたカップを渡してきた

中を見て色が薄いのを確認した

チラと視界に入った彼のカップの中は明らかに濃かった

よくもまぁ飲めるものだ

 

「例えば、艦娘が奴らの対であったとしてどっちが先なんだろうね?」

「……つまり奴らから私たちが造られたか、私達から奴らが産まれたか、という事かい?」

「そうだよ。君らの建造は妖精たちがやってるからね。詳しい事は誰も――それこそ君たちすら知らないんだろう?」

「…………」

 

その通りだ

私たち艦娘は妖精によって建造され、工廠で目を覚ます

そして私たちは艦娘であると、以前の戦争で沈んできた艦船の記憶を持った艦娘であると認識する

造られている時の記憶などは無い

 

「あの子たちが何を思って君たちを建造してるのか?なぜ僕たち人間の手助けをしてるかはあの子たちが口を開かない以上はわからない」

 

そこはまぁ置いておこう――彼は棚を漁りながら言った

茶菓子を探してるようだが確か昨日の煎餅で切らしているはずだ

少し肩を落としながら椅子に座った彼が口を開いた

 

「僕としては奴らが先で君たちが後であって欲しいけどね」

「理由によっては怒るところかもしれないが……何故だい?」

「それはもちろん人間が始めた事であって欲しくないからだよ」

 

……どういうことだろうか?

そんな私の視線に気づいたのだろう、紅茶を一口飲んだ後に話を続けた

 

「奴らが自然発生したとか、宇宙から来たとかならね。それに対抗するための手段として、君たちが造られたとしても僕は良いんだ」

 

「だが、僕らが君たちを生み出した後に奴らが現れたのなら問題だ」

 

そこで彼は眉間に皺を寄せ不愉快そうに言った

 

「深海棲艦のような外敵がいないのに、君たちのような武力を造る理由なんて決まっているだろう?」

 

 

「ただ、奴らがあそこまで異様に敵対してる理由もこっちのが納得できてしまうのが嫌なところさ」

 

実験だなんだとあるだろうからね――彼は言わなかったがそう考えているのだろう

実験をするなら当然だが成功ばかりする訳ではない

数々の失敗という踏み台の上にあるのが成功という物だ

なら失敗作はどうなる?失敗作にすらなれずに破棄されたものは?

そういった物の集合体が深海棲艦ではないのか?

それが原因なら人間は自分たちが生み出した物の成れの果てに追い詰められている事になる

なら、それなら私たちは、私たちの敵は

 

「……司令官は」

「ん?なんだい?」

「司令官はどう考えてるんだい?」

 

私は何かを求めるように彼に問いかけた

このまま自分だけで考えているときっと間違える、そう思ったからだ

 

「僕ねぇ……深海棲艦宇宙人説かな?」

「……は?」

「宇宙からやってきた奴らに対抗するため、地球が妖精を僕らに遣わして君たち艦娘を造った。」

 

……そういえば彼はSF映画が好きであったか

なんだか真面目に考えてた自分が馬鹿みたいだ

 

「なんだいなんだい?そんなジッと僕を見て」

「なんでもないさ」

「なんでもないって顔じゃないじゃないか。呆れきった顔しちゃってまぁ」

 

心外だと言わんばかりの表情で彼は続けた

 

「だってそっちの方が気が楽だろう?上の人らの陰謀だなんだよりもよっぽど簡単じゃないか」

「それはそうだがね」

「ならそれでいいじゃないか。変な情だなんだって躊躇うよりずっとね?」

 

それもそうか、そう思ってしまった私は単純なのだろうか?

確かに戦闘中にそんな事を考え自分や仲間たちが沈んでしまうのは許せない

そういう事にしておこうかと区切りをつけ、すっかり冷たくなってしまった紅茶に口を付け……

 

「どうかしたかい?」

「司令官……薄くしてくれって言ったよね?」

「言ったね。だから薄くしたよ?」

 

確かに色が薄い

だから油断したとも言える

 

 

 

「ならなんで砂糖なんて入れたんだ?」

「甘い方が好きだからさ」

 

 

私は無言で彼の脇腹に突きを入れ続けた

きっとこれくらい許されるだろう

 

 

ある日ある時の執務室の出来事である




疲労抜きの間に妄想を形にしたいとか思って練習がてら書いてみた
書きたいことを書いている内に何を書きたいのかさっぱりになったのでぶった切り

長編とかを書いてる人が如何に凄いのか実際にやってみるとわかるんだなって

一応は提督と響のつもりで書いていたけど何か口調とかを間違えてる気がするし本文内では誰とは書いてない
自分の中でしっくりくるキャラに当てはめてもらってもきっと大丈夫

もしかしたら急に削除するかもしれない
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