艦隊これくしょんー空母棲艦赤城ー   作:きいこ

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というわけで艦これDSFの元になったストーリーを読み切りとして投稿します、一応ラストシーンはあるのですがお話は続きません。

ちなみにDSFで登場した艦娘が1体ゲスト出演しています。


艦隊これくしょんー空母棲艦赤城ー

気付けばそこは、絶望に満ちていた、一切の希望を、一切の生気を抱くことも許されないほどの絶望に…。

 

 

「敵艦の砲撃が命中!古鷹さんが中破から大破に!」

 

 

「敵の空撃が来るよ!対空射撃を!」

 

 

「ダメです!間に合いません!」

 

 

「きゃあああぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

「鳥海!そんな…!待って…!」

 

 

「嫌ああああぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

どうして、こんな事になったのだろうか、彼女は必死にそんな考えを巡らせるが、それは頭に浮かぶ度に霧散してしまう。

 

 

作戦は十二分に練った、敵の戦力も決して過小評価はしなかった、敵や味方の行動パターンは何百通りもシミュレートした、揃えられる武器や人員もフル動員して、盤石の体制で臨んだ。

 

 

 

 

…でも、敵わなかった、万全の体制で臨んだこの海戦だったが、会敵した敵艦隊の旗艦(リーダー)が強すぎた。

 

 

 

…無理だ。

 

 

眼前の敵艦を前にして彼女は無意識に心の中で呟いた、サイドテールに結ばれた髪は何物にも染まっていない美しい白髪、その肌も骸骨を思わせるほど白く、一言で言えば美しかった、それと同時に敵艦の攻撃は無垢なほど暴力的で、容赦が無かった。

 

 

あれは強すぎる、恐ろしすぎる、格が違いすぎる、彼女はそう思わざるを得なかった。

 

 

このまま戦いを続ければ全滅は必死、事実自分も大破になり攻撃手段は無い、出来ることと言えば旗艦(リーダー)の権限を使い、この場で命を散らすか、無様に尻尾を巻いて撤退するかを指示することくらい。

 

 

いよいよ撤退の指示を全員に出そうと彼女が準備を始めた、まさにその瞬間…

 

 

「赤城さん!敵艦載機接近中!避けて下さい!」

 

 

「っ!?」

 

 

僚艦の金剛が彼女…正規空母『赤城』に向けて声を張り上げる。

 

 

赤城は回避行動をとろうとしたが、何もかもが遅かった。

 

 

刹那、凄まじいほどの爆音と熱量、質量が自分の身体を叩く。

 

 

「赤城さああぁん!!!!!!」

 

 

金剛が悲鳴にも似た声で赤城の名前を呼ぶが、それは赤城には届かなかった。

 

 

…なにせ、それを認識するための耳や脳、それらを全て詰め込んでいる赤城の頭が胴体から離れてしまっているのだから。

 

 

「赤城さん!赤城さああぁん!」

 

 

神経の中枢部を失った赤城の身体は音もなく海中に沈み込み、その頭部も一緒に水底に落ちていく。

 

 

(…あぁ、ここで私は終わってしまうのか)

 

 

自分の身体と首が海の底に吸い込まれているのを感じながら、赤城は首だけになった状態でなお、目を開いてある部分を一点に見つめる。

 

 

(せめて、あの人にお別れを言いたかった…)

 

 

それは自分の胴体の左腕、さらに細かく言えば左手薬指にはめられている銀色のモノ。

 

 

(提督…愛しています…)

 

 

提督(あのひと)から貰った愛の証を最期の光景に、赤城は今度こそ意識を手放し、轟沈()んだ。

 

 

 

 

気付けばそこは何もない暗闇だった、自分の両手すら見えないほどの、そもそも本当に手足は、それを伴う胴体は首に繋がっているのかという疑問すら生み出す絶対的な暗闇。

 

 

 

ここはどこなのだろう?

 

自分はいったい誰なのだろう?

 

自分はどこから来たのだろう?

 

自分はどこに向かうのだろう?

 

 

 

…分からない。

 

 

自分がこの暗闇でいくら考えても、それは全て霧散して闇の彼方に消えてしまう。

 

 

ふと、自分の前方へ意識をやると、そこに一点の光が見えた、この暗闇の中では“異質”としか言えないようなそれは、なぜか自分の焦燥感を刺激した。

 

 

あの光の元へ向かわなければいけない、理由も根拠も何一つ無い、しかし自分の本能だけがそれを主張し、あるかどうかも定かではなかった自分の身体を動かした。

 

 

その光は次第に大きくなっていき、やがて自分はあるかどうかも定かではなかった手を伸ばす。

 

 

そしてその光に触れたとき…

 

 

赤城は再びその意識を覚醒させる。

 

 

 

 

 

 

目を覚ました赤城は思い切りまぶたを開けるが、強い日差しを眼球がモロに受けて視界がチカチカする、どうやら自分は仰向けに横たわっていたらしい。

 

 

「…ぅ」

 

 

起きて早々に少なくないダメージを受けた赤城はテンションがだだ下がりになるのを感じながら身を起こす。

 

 

周りを見渡せばそこには大海原が広がっていた、その水面はどこまでも静かで、波紋をたてるモノは何もない、そして自分が横たわっていたのは小さな岩場だった、島などとはとても言えない規模の岩の塊がその水面から顔を覗かせている

 

 

「?」

 

 

すると赤城はやや遅れて自分の違和感に気づく、出撃したとき自分は赤袴の弓道衣を着ていたはずだ、それが今は黒袴になっており、あちこちには解れや穴が目立つ。

 

 

「これはいったい…?」

 

 

不審に思った赤城がふと頭を下げると、背中に流れる髪が前側に流れてくる、そして気づいた。

 

 

「…白い?」

 

 

黒かったはずの自分の髪が白かった、髪だけではない、それを触る手も、袴の裾から覗かせる足も肉が削げ骨だけになってしまったかのように白い。

 

 

それを見た赤城の中に不安の感情が広がりはじめ、四つん這いの格好で岩場の端へ移動、水面を鏡代わりにして自身の顔を見る。

 

 

「…嘘」

 

 

白い顔に白い髪、その顔にとても映える深紅の瞳…

 

 

「これじゃまるで…」

 

 

 

深海棲艦ではないか…

 

 

 

 

 

 

 

“深海棲艦の正体は轟沈した艦娘のなれの果てである”

 

 

以前誰かからそんな都市伝説があるという話を聞いたことがある。

 

 

その時の赤城はそんな話は欠片も信じていなかったのだが…

 

 

「…まさかそれが現実になるなんて」

 

 

どうしよう、と途方に暮れていた赤城は岩場で体育座りをしていた。

 

 

自分はあの時の戦いで轟沈し、深海棲艦として再び蘇った、これは事実として間違いないだろう。

 

 

「…この際それは事実として受け入れるしかないわね」

 

 

と、自分でも驚くほどのポジティブさで気持ちを切り替える、深海棲艦になってしまった以上深海棲艦として生きていくしかない、なら次に考えるべき事はこれからどうしていくか…だ。

 

 

「まずは食事が取れるような場所を探さないといけないわね、幸いにも周りは海だし、魚でも捕れば少しは食いつなげるだろうし…」

 

 

最悪この岩場を活動拠点にすればいいのだろうが、雨風を凌げるような環境ではないので出来れば避けたい。

 

 

「というかそもそも、深海棲艦ってご飯とかどうしてるのかしら…?戦艦棲艦ならともかく、軽巡棲艦や駆逐棲艦はどうやってご飯食べてるんだろう…?まさかプランクトンとか食べてないわよね…」

 

 

これまで考えたことのない深海棲艦のライフスタイルについて考える赤城、おそらくこの先ずっと考えることも無かっただろうが、自身が深海棲艦になったとなれば話は変わってくる。

 

 

色々考えるべき事は多いが、赤城の中ではそれ以上に気掛かりな事があった。

 

 

「…艦隊のみんなは、どうなったのかしら」

 

 

あの戦いの勝敗や被害状況、その他諸々の詳細は轟沈してしまった赤城には分からない、でも決して軽い被害では無かったはずだ、それに…

 

 

「提督…」

 

 

愛を誓い合った最愛の人の事が赤城の脳裏から張り付いて離れない、その手を見れば今でも銀色の指輪が日の光を返すようにして光っている。

 

 

「…ここでくすぶっていても、仕方ないわよね」

 

 

そう言うと赤城は立ち上がり、岩場の端へ移動する。

 

 

「…そう言えば、私の艤装ってどうなってるのかしら…?」

 

 

深海棲艦になった以上、元の“正規空母赤城”としての艤装は使えないだろう、自分が目覚めた岩場に艤装が無かった状況がその証拠だ。

 

 

「…やっぱりダメか」

 

 

試しに足を水面に浸けてみたが、足の指先から音もなく水中に沈んでいく、やはり今の状態では移動は出来ない。

 

 

「………」

 

 

ならばと赤城はゆっくりと目を閉じ、艦娘時代に艤装を展開させるのと同じ感覚で精神を統一する。

 

 

すると数秒で変化は訪れた、赤城の腰元に先程まで無かった無機物の感触が生まれ、素足だった足には何かがまとわりつくような感触が生まれる、赤城は再びゆっくり目を開けると、首を回して自身の左右を確認する。

 

 

「これが…私の艤装…」

 

 

その艤装を一言で言うなら人喰い箱(ミミック)が一番適当だろうか、2mほどの鉄の箱にいくつもの穴が開き、そこから砲身が伸びている、そして人喰い箱(ミミック)の前方には鋭い牙の生えた口が真っ赤な舌を覗かせている、その箱の四隅に白い足のようなモノが生えているのを見ると、この姿は陸上での形態だと思われる。

 

 

その人喰い箱(ミミック)からは太いケーブルのようなモノが伸びており、赤城の腰に取り付けられているベルトに繋がれている。

 

 

「何だか人喰い箱(ミミック)を従えてる獣使い(テイマー)みたいね」

 

 

思わずそんな感想を抱きつつ、赤城はもう一度足を水面に浸ける、艤装の一つである鋼鉄のブーツがその水面を捉え、今度は水上に立つことに成功する、人喰い箱(ミミック)もそれに従い4本の足で水面までたどり着くと、その足を箱の内部に格納して器用に水面に浮かぶ。

 

 

「…あなた、どんな原理で動いてるの?」

 

 

そう言いながら赤城が人喰い箱(ミミック)の上部を撫でると、人喰い箱(ミミック)は微かにその身を震わせる、それが主人に対する親愛のようなモノだということが赤城には本能的に理解できた、ケーブルで繋がっているというのもあるのだろうが、やはり自分は深海棲艦で、この生き物とも無機物とも分からない存在は自分の一部なのだと、それを再確認させられる。

 

 

「さて、行きましょうか、どこへかは分からないけど…」

 

 

赤城は人喰い箱(ミミック)からの“御意”の意志を感じると、ゆっくりと水面を滑るように移動する。

 

 

正直に言って、赤城には分からないことが山ほどある、自分はなぜ深海棲艦となってしまったのか、それが自然の摂理だとするなら、なぜそんなルールが世界に存在するのか、はたまた何か人為的なモノが加わっているのなら、誰がいったい何の目的でそれを行っているのか。

 

 

赤城はそれを知りたかった、だから赤城は旅立つ事を選んだ、自分の秘密を探す旅に…

 

 

「鎮守府のみんなや提督には申し訳ないけど、これじゃあ戻れないものね…」

 

 

名残惜しさを胸に秘めたまま、赤城は大海原へ旅立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵艦発見!総員戦闘用意!」

 

 

しかし、そんな赤城の計画は開始10秒で頓挫することになる、ひどく聞き覚えのある声によって…。

 

 

 

 

 

突然背後から聞こえた声に赤城が振り向くと、そこには赤城が一番見たかった、そして一番出会いたくなかった者たちが姿を見せる。

 

 

 

「…みんな、どうしてここに…?」

 

 

そこには、かつて赤城が所属していた横須賀鎮守府の艦娘たちが、砲をこちらに向けていた。

 

 

 

(これはマズい…)

 

 

赤城は冷や汗を流しながらかつての仲間たちを見る、今の自分が深海棲艦である以上、彼女たちから見れば自分は『敵』という立場になる、当然砲も向ければ弾も撃つ、そこまではまだ良い。

 

 

「何でよりにもよってあなたが…」

 

 

赤城が顔をひきつらせる原因となっているのは、おそらく旗艦(リーダー)を努めているであろう真正面の艦娘だ、色素の薄いプラチナブロンドの髪を海風になびかせ、チェーンメイルとラメラーアーマーに身を包んだその姿は中世の西洋風の騎士を思わせる。

 

 

「金剛さんがいるんですか…」

 

 

横須賀鎮守府の主戦力にして最強格の1体でもある艦娘、金剛型戦艦1番艦の『金剛』だ。

 

 

金剛は憎悪にも似た顔でこちらを睨んでいる、普段戦闘の時でもこのような顔を浮かべる金剛は見たことがない。

 

 

(マズいなぁ…他のみんなならともかく、金剛さんの強さは頭一つ抜けてる感があるし、勝てるわけ無いよ…)

 

 

勝てる勝てない以前に赤城には金剛たちと砲火を交える気は無かった、いくら自分が敵になったとはいえ、赤城にかつての仲間と殺し合う趣味はない。

 

 

(見逃して下さいって命乞いをすれば何とかなるかも…?)

 

 

小者以下の発想に若干自己嫌悪になるが、現状とれそうな手段はこれしかない。

 

 

「…お願いします、投降しますから命だけは助けてください」

 

 

 

赤城は白旗を宣言した。

 

 

「………」

 

 

その場に流れる無言の時間に、赤城はこれまでにない緊張を感じながら金剛たちの返答を待つ。

 

 

「…投降、つまり、戦う気はない…と?」

 

 

「はい、私は砲火を交えるつもりはありません、ですから一度だけ、ここは見逃してもらえないでしょうか…?」

 

 

藁にもすがるような思いで赤城は金剛にお願いする、仲間同士で殺し合いたくない、その一心で。

 

 

「…どうする?相手は戦うつもりは無いって言ってるし、このまま捕虜として連れて帰る?敵の情報源としては使えそうだけど…」

 

 

「いや、まずは提督に相談しないと…」

 

 

金剛に話を振られたヨークタウンが困惑混じりに答える、流石に鹵獲(ろかく)の是非を艦娘だけでは決められない。

 

 

「なら、あなたが捕虜として我々の鎮守府に来るなら助けてあげても良いわよ」

 

 

「…はい、分かりました」

 

 

金剛から提示された条件を赤城は飲み込んだ、かつて所属していた横須賀鎮守府なら知り合いばかりだし、何より愛する提督がいるからむしろ願ったり叶ったりだ。

 

 

「交渉成立ね、私は提督に許可を取るわ」

 

 

 

 

 

「なら私たちはこの深海棲艦を拘束しておく」

 

 

金剛が提督と話をしてる間、ヨークタウンが僚艦と共に赤城の両手に錠を取り付けて、後ろ向きに回してさらに腰元にロープで縛り付ける。

 

 

「その手錠は艤装の力を封じる特別製よ、変な気を起こせると思わないでね」

 

 

(封錨錠(アンカーバインド)か、ヨークタウンもよくこんなの持ち歩いてるなぁ…)

 

 

封錨錠(アンカーバインド)、艦娘の艤装の能力を封じるために開発された手錠だ、主に何か問題を起こした艦娘を連行するときに用いられる。

 

 

「提督から返答を貰ったわ、連れてこいとの事よ」

 

 

金剛の言葉を聞いた艦娘たちは、そのまま空母棲艦こと赤城を連れて横須賀鎮守府に帰投する。

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府に連行された赤城は金剛に連れられて提督室へ案内される、正直提督室の場所どころか鎮守府内の全ての通路や部屋を把握しているのだが、そんな事を言えば自分が赤城だとバレてしまうかもしれないので黙っておく。

 

 

(もし私が赤城だとバレれば、みんなには赤城を()()失わせる事になる…)

 

 

自分が深海棲艦となった以上そう長くは生きられないだろうという覚悟はしていた、だがその前に鎮守府のみんなが自分は赤城だとバレれば、今の赤城の言葉通り仲間を二度失う事になってしまう、それだけは避けなければいけない。

 

 

途中すれ違った元仲間の艦娘たちに怖がられながらも2体は提督室に到着、ノックをして返事を確認するとドアを開けて中に入る。

 

 

「お帰り金剛、そいつが鹵獲した深海棲艦だな」

 

 

そう言って赤城を見つめるのは20代後半の男だった、名前は友永雅人(ともながまさと)、ここ横須賀鎮守府の提督である。

 

 

「はい、戦う意志が無いという事でしたので連れ帰りました、敵の情報源にでも使えれば良いのですが…」

 

 

金剛にそれを言われて赤城は少し焦る、自分は深海棲艦になってからまだ数時間も経っていない、情報なんて一ミリも持っていないのだ。

 

 

「…まぁ、その辺は適当にうまくやるよ」

 

 

友永はそう言って赤城の元まで歩み寄ると、右手で顎をクイッと持ち上げる。

 

 

「…へぇ、中々良い面構えしてんじゃねぇか、これが敵じゃなかったらヤっちまう所だぜ、それか敵だから遠慮なくヤれるってとこかな?」

 

 

不敵な笑みでこちらを見つめる友永に赤城は身を震わせる、今の自分に向けられている友永の目は、かつて向けられていた愛情と信頼から来るモノではなく、敵に対する憎悪と敵意から来るものであった。

 

 

「…てめぇらのせいで…」

 

 

友永は一度赤城の顔から手を離すと、右手の拳を握ってワナワナと震える。

 

 

「てめぇら深海棲艦のせいで赤城は轟沈()んだんだ!」

 

 

刹那、友永は赤城の顔を目一杯の力で殴っていた。

 

 

「がっ…!」

 

 

不意打ちに近いタイミングで殴られた赤城は満足に受け身も取れずに床に倒れ込む、鉄臭い味が口いっぱいに広がる。

 

 

「てめぇらの…てめぇらのせいで…!」

 

 

殴っただけでは気が収まらなかったのか、両手で赤城の首を絞めながら身体を持ち上げる。

 

 

「や…やめて…!」

 

 

苦しくなった赤城が反射的に友永の手を押さえた、しかしこの行動が余計に事態を悪化させる事になってしまう。

 

 

「っ!?それは…!」

 

 

友永は赤城の左手薬指にはめられているモノに気付いた、しかしすぐにあり得ないと首を横に振る、なぜなら…

 

 

「何で赤城に贈ったケッコンカッコカリの指輪をお前が持ってるんだよ!?」

 

 

それは友永が愛する艦娘である赤城に贈った、ケッコンカッコカリ用の指輪だったからだ。

 

 

(マズい…何か言って誤魔化さないと…!)

 

 

友永には自分が赤城だと知られてはならない、愛する人が深海棲艦(こんなすがた)になってしまったと知れば、友永は今度こそ立ち直れないだろう。

 

 

「…敵の艦娘を倒したときの戦利品よ、綺麗だから貰っておいたの」

 

 

だから赤城は徹底的に“敵”を演じることにした、それも愛する人を殺したという最悪の敵を…

 

 

赤城がそれを口にした瞬間、赤城は再び友永に顔を殴られていた、衝撃で歯が一本折れてしまったが、それを気にする余裕は無かった。

 

 

「お前が赤城を殺したのか!お前が…!」

 

 

友永は目尻に涙を浮かべながら赤城の全身を殴り続ける、そのたびに身体に激痛が走るが、それ以上に友永から…愛する人から暴力を受けているという事に心が痛んだ。

 

 

「タダで死ねると思うなよ、敵の情報を聞き出したらお前を徹底的に拷問してやる、肉を削ぎ皮を剥いで四肢を折り、殺してくださいと慟哭(どうこく)するまで嬲り続けてやる…!」

 

 

友永はそう言うと最後に赤城を蹴り飛ばして提督室を出て行った。

 

 

「…あんなに怒った提督を見たのは初めてだわ、まぁ赤城とは愛し合ってた仲だったし仕方ないか…」

 

 

一部始終を無言で見ていた金剛は赤城に手を貸して立たせると、食堂に案内すると言って一緒に提督室を出る。

 

 

途中でかつての仲間だった艦娘たちに会うが、その誰もが恐怖や憎悪といった感情を向けてくる。

 

 

(…何もかもが変わっちゃったわね、もう昔のようには戻れない…か)

 

 

深海棲艦となって戻ってきた赤城を取り巻く環境は全てが変わってしまった、これから彼女にどんな事が起こり、どんな運命を辿っていくのか、それはまだ誰も知らない…

 




赤城って大食いキャラが定着してますけど、個人的にはかなりの良妻だと思うんです。

ロイヤル金剛は個人的に好きだったのでゲスト出演させてみました、後悔も反省もしていない。
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