「戻ってきたんだ。この世界に。」
βテスト以来のSAOの世界に思わず感動してしまった。二か月前にのめりこんでしまった世界。どれほどこの日を待ち望んだことか。
「あ、いたいた。 キリト~!」
どうやら優香の奴も着たみたいだ。とりあえずは合流できてよかった。キリトというのはこの世界での俺の名前だ。本名の桐ヶ谷 和人(きりがや かずと)から「がや かず」をぬいてつけた。安直といえば安直だ。
「ユカもきたか。迷子にならなくてよかったな。」
ユカというのはこの世界での優香の名前だ。優香(ゆうか)の「う」をぬいてユカ。…やっぱり双子は思考が似るのだろうか。
「それにしてもキリト。現実とは全然似てないね。背だってかなり高いし。」
「別にいいだろ、ゲームなんだから。 それにそんなこと言ったらお前だって全然違うだろう! 銀髪だし、胸もでかいし。」
「ゲームだからいいんだもーん。私は理想の体を手に入れたのだ! それにさっきのはセクハラととっていいのかな?監獄エリアに連れってちゃうぞ♪」
「申し訳ありませんでした。」
さすがにゲーム開始後数分で監獄エリアには送られたくはない。不服だが俺はユカに謝った。
「とりあえず、武器買いに行こっか。」
「そうだな」
まずはこの世界を冒険するための武器を買いに行く。ベータテストの時にお得だった店に向かっていると。
「おーーい。そこのおふたりさーん。」
店に向かっていると無精ひげが特徴的な男が話しかけてきた。
「俺はクラインっていうんだけど、もしよかったら俺にいろいろ教えてくれねえかな?
迷いない動きをみてお二人さんがベータテスターだと思ったんだけど。」
「もちろんいいよ。キリトもいいよね?」
「ああ、いいぞ。」
こうして俺、ユカ、クラインの三人で店で武器を購入した後、モンスターのいるフィールドに出た。
「おわああぁぁぁ」
クラインがフレンジーボアというイノシシのようなモンスターにふっ飛ばされた。
「あっはっはっはっはっは」
それを見てユカは爆笑していた。
「相手の動きをよく見た方がいいぞ。」
「つってもよ。難しいし、なんかソードスキルもうまく発動しないしよ~。」
「ソードスキルはためを作るみたいなイメージでやればいいよ。剣が光るイメージを持つのもいいかもね。」
「わかった。やってみるよ。ほんとユカちゃんは天使だなぁ~」
その天使さっきまでお前がふっ飛ばされてたの見て爆笑していたけどね。
クラインが肩に剣を担ぐような形をとると、剣が光り始めると、クラインはすごい速さでイノシシを切りつけ、イノシシを爆散させ倒した。
「や、やったあーーー。すげえ気持ちいぜぇ。」
「おめでとう。」
クラインは初めてソードスキルを使い、敵を倒してはしゃいでいた。まあ、気持ちはよくわかる。
「そういえばよう、二人はベータテストの時から知り合いなのか?」
「ああ、そうだな。」
「ていうか、私たち現実世界では双子だからねぇ~。」
「な、なん、だと。」
「?どうしたんだ。」
「キリト!お前こんなかわいい双子がいるのかよ。」
「お、落ち着けクライン。そもそも現実では男か女かも定かではないんだぞ。」
「そ、それもそうか。」
「まったく。それにユカもここでは現実世界の話はなるべくするなよなぁ。」
「ごめーん。気を付けるよ。」
ゲームの世界ではどちらかといえば現実世界の話をするのは良しとはされていない。そのためユカの発言はあんまりよろしくない。
「おっと、俺はそろそろ一度ログアウトするぜ。六時にピザを予約しているんだ。」
今は午後五時五十分。確かに一度ログアウトした方がよさそうだ。俺たちも夕飯の時間が近いし。
「あれ?ログアウトボタンがねえ。」
「よく見てみて。あるはずだよ。」
「いや、やっぱりねぇよ。」
「あ、ほんとだ。バグかな?」
「いや、こんなバグが生じればいったん全プレイヤーをログアウトさせると思うんだけど・・・」
そんな時、三人の体が光に包まれた。
目を開くとそこは一層の大広場だった。
「なに?どうなってるの?」
「今からお詫びでもいうんじゃねえか?」
そんな時、空が真っ赤に染まり、その空から血のような液体が零れ落ち、血の色をしたローブを形成した。ローブの中は真っ暗だ。
大広場は異様な緊張感で満たされた。
「諸君、私の世界にようこそ。」
そんな時、謎のローブから声が発せられた。
「諸君らの中に気が付いているものもいるかもしれないが、諸君らのメインメニューからログアウトボタンは消失しているが、それはシステムの異常ではなく、SAO本来の仕様である。」
「諸君らはこのアインクラッドの頂に立つまで自発的にログアウトできない。また、外部の人間の手による停止・解除もあり得ない。」
「もしそれが行われた場合、ナーヴギアによる高出力マイクロウェーブが諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる。」
こいつは何を言っているんだ。
「んな真似ができるわけないだろ。なぁ、キリト、ユカちゃん。」
「・・・ナーヴギアの原理は電子レンジと同じだ。やろうと思えば可能だろう。」
「・・・・・それにこんなことしても企業としては何のメリットもないしね。個人もしくは少人数グループによる犯行だろうし。それに今現在外されてないってことはナーヴギアは私たちを殺せるほどの出力を出せるように設計されたってことになる。私ならどんなことがあってもそんな大きなエネルギーを出せるような設計にはしない。」
「つまり、俺たちを殺せるようにつくられたってことかぁ・・・」
「そうゆうことになるな。」
「また、諸君らのヒットポイントがゼロになった場合、ソードアートオンラインならびに現実世界からも永久退場してもらう。」
「それでは、最後に私からのプレゼントを用意してある。確認してくれたまえ。」
プレイヤーたちはその言葉を聞くとメインメニューを開き、手鏡を手にするとプレイヤーたちは光に包まれた。
「い、今のは何?」
「え? 優香?」
「カズ?」
「お、おまえら、キリトとユカちゃんか?」
「あ、ああそうだ。」
「ていうかキリト! ユカちゃんめちゃくちゃかわいいじゃねえか!」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろう!」
「そ、そうだな。いまはそんなこと言ってる場合じゃないな。」
「とりあえず、クライン、ユカ、一度ここを離れるぞ。」
俺たちは大広場から離れた。
「このままじゃリソースの取り合いになり、始まりの町の周辺は狩りつくされるだろう。この世界では自分を強化しないと生き残れない。だからいち早く次の村に行こうと思う。」
「私もそれには賛成するよ。クラインも一緒に行こうよ。」
「・・・悪いが俺には前のゲームからの仲間がいるんだ。そいつらをほおってはいけねえよ。」
「そっか・・・」
「まあ、心配しないでくれよ。二人に教わったテクでやっていくからよ。」
「わかった。 いったんここでお別れだな。」
そして俺はユカと次の村に行こうとしたとき、後方からクラインが叫んだ。
「キリト!お前案外かわいい顔してるんだな、結構好みだぜ! ユカちゃーんめちゃくちゃタイプだぜ!また会おうな~!」
「「お前(クライン)もその野武士面のほうが百倍似合ってるよ!」」
こうして俺たちはクラインと別れた。
前方からオオカミが走ってくる。
「ユカ、俺がひるませるから攻撃頼む。」
「了解!」
「「スイッチ」」
こうしてデスゲームは開始された。