いや、なんか、ほんと、すいません。
「なによ、この『たすけ』って。」
「・・・わからない。でも、キリトはふざけてこんなことはしないはず。何かあったのかも。」
「なにかって・・・」
「とりあえず私はキリトのところに行くよ。」
「わかったわ。気を付けて。」
私は前にまた登録したフレンドリストからキリトの位置を確認し、店を飛び出した。
時は少しさかのぼる。
「キリト君。これからどこ行くの?」
リズのおかげでキリト君とパーティー組んでフィールドに出られることになった。ほんとナイスリズ。今度リズの好きな料理作ってあげよう。
「そうだな。今最前線は59層だから、5層くらい下の54層で試そうかな。」
「そっか~。じゃあ、さっそくいこっか!」
「お、おう。(な、なんかいつになく上機嫌だな)」
それから54層のフィールドにでてキリト君は剣の具合を確かめるようにモンスターを狩っていった。
・・・リズに勧められてアスナとフィールドに出たはいいけど、なんかアスナの機嫌がよすぎて少し恐い。攻略しているときとは比べ物にならない。まるで別人だ。何か裏でもあるのか。・・・アスナってこんな風に笑えたんだな。
「ねえ、キリト君聞いてるの?」
「えっ?あ、ああ。聞いてるよ。」
「ほんとに~?じゃあ、私が今なんて言ったか言ってみてよ。」
やばい。何も聞いてなかった。以前攻略会議で話を聞いてなかったとばれたときに一時間ほど説教を受けたことがあったっけ。
「えぇ~っと。今日の晩飯は何にするか、だよな?」
「も~、違うよ。・・・今日晩御飯どこか連れてってくれるの?」
「え、あ、ああ。」
「やったぁ。どこ連れてってくれるの?」
な、何とか切り抜けれた。なんだかんだ今日の晩飯をおごることになったけど、アスナの説教を食らうことに比べれば安いものだ。
フィールドを移動していると俺の索敵スキルにプレイヤーの反応があった。前方に四人いる。
「アスナ、前の方に四人のプレイヤーがいる。念のため隠れて一度確認しておこう。」
「うん。わかった。」
フィールドで脅威となるのはモンスターだけではない。プレイヤーの中にもよからぬことを考える輩もいるものだ。そしてそれがオレンジプレイヤーだけとは限らない。
俺とアスナは岩陰に隠れて様子をうかがった。今いる場所はものすごくでかい洞窟のような場所だ。俺とアスナの後方に入口があり、前方は道がいくつかある。そのうちの1つの道に四人のプレイヤーはいた。
「・・・オレンジだ。」
「どうする。キリト君。」
「勝てないことはないかもしれないが、相手のレベルがわからない。ここで捕まえられることに越したことはないけど、危険だ。」
「そう、だね。たしかにここでつかまえ
アスナと話していた時に俺の索敵スキルに反応があった。それも後ろから。急に現れ突っ込んでくる。俺は装備していたダークリパルサーを抜き、応戦した。何とか相手の剣に間に合い、相手の攻撃を防ぐ。しかし相手はソードスキルを発動しており、俺は後ろに飛ばされた。その後、俺の隣にいたアスナを一度ソードスキルを発動して斬りつけ、後方、入口の方に下がった。アスナは索敵スキルを持っていないので剣を抜く時間もなかったのだろう。その後入口の方に、突っ込んできたプレイヤー以外にも三人のプレイヤーが現れた。
「こんなとこで会えるとは奇遇だな、黒の剣士。」
「poh。」
襲ってきたのはレッドギルド・ラフィンコフィンのリーダー、pohだ。黒のローブを装備しており、右手には魔剣・メイトチョッパーを握っている。最初にいたやつらもラフコフのメンバーか。囲まれてしまっている。
「アスナ!」
俺はアスナの手をとり、四人のプレイヤーがいないほうに走った。
「イッツ・ショウ・タイム」
Pohの言葉が洞窟内に響いた。
アスナと逃げるように洞窟の奥に走ったが奴らは追ってこなかった。
「なんだ。どうして追ってこないんだ?」
「わからない。それにしてもpohの攻撃力はすさまじいわね。一度斬りつけられただけなのにHPを三割くらいもっていかれちゃった。」
「とりあえず転移結晶で脱出しよう。」
しかし目の前にモンスターがポップした。
「くそ。アスナ、先に転移してくれ。岩陰に隠れた後隠蔽スキルを使ってモンスターが戸惑う隙に転移する。」
アスナは転移結晶を手に取り「転移・リンダース」と唱えたが何も起こらなかった。
「えっ!?どうして。」
「なぜだ。ここは結晶無効化エリアではないはずだ。」
とりあえず、俺とアスナはモンスターを倒した。
「転移結晶が使えないのか。」
「そうみたいだね・・・」
「・・・とりあえず回復しておけよ。」
アスナは回復ポーションを飲んだ。しかし時間がたってもHPが増えることはなかった。試しに俺が回復結晶を使ったが効果はなかった。
「・・・よく見ると、見たことないアイコンがある。何かの状態異常かも。」
「アイテムが使えない状態異常。聞いたことないな。」
索敵スキルにまた反応があった。
「くそ。アスナ、あいつらがまた近くに来ている。とりあえず逃げるぞ。」
俺とアスナは洞窟の中を走り回った。その途中ユカにメッセージを送っておいた。とてもじゃないが俺とアスナだけではあいつらに勝てない。ユカなら事態を察して攻略組を連れてきてくれるかも。もしくはあいつと合流できれば逃げ切ることもできるかもしれない。こうなったら出し惜しみしている場合じゃない。
俺はスキルスロットからあるスキルを選択し、装備欄から右手にエリュシデータ、左手にダークリパルサーをセットした。
「キリト君。それって・・・」
「ああ、二刀流だ。多分ユニークスキル。俺がリズに剣を作ってもらったのはこのためだ。」
「そうなんだ。何で隠してたの?」
「後で説明する。とりあえず今はこの洞窟から出ることを考えよう。」
ここで索敵スキルに反応がある。すぐ近くで、それも複数。
「くっ。」
アスナの声が聞こえた。アスナのいたほうを見るとアスナはその場に倒れていた。
「麻痺毒か!」
まずい。今アスナはアイテムが使えない。このままじゃあ・・・
「くそっ」
俺は二本の剣を抜きかまえる。だんだんと集まってきて、10人のプレイヤーが目の前にいる。その中には当然Pohもいた。
「ヒュゥー。それはユニークスキルか、キリト。」
「ああ、そうだ。」
「そうか。まあ、たとえユニークスキルだとしてもこの状況で守りきれるかな?」
そういうと、Poh以外のプレイヤーが襲い掛かってきた。アスナが後ろにいる。避けるわけにはいかない。なら、全員蹴散らす。
俺は二刀流ソードスキル・スターバースト・ストリームを発動。二本の剣が煌めき、荒れ狂う。それに巻き込まれたプレイヤー、もしくは剣で受けたプレイヤーは後方に飛ばされる。
しかし、相手の攻撃をすべて防げたわけではない。何発かくらってしまった。
Pohも攻撃を仕掛けてきた。俺は二刀流ソードスキル・クロス・ブロックでその攻撃を防ぐ。しかしPohはそこから体術スキル・水月を発動。脇腹に蹴りが叩き込まれる。俺は横に飛ばされてしまった。
「残念だったな、キリト。お前の負けだ。」
そういうとPohはアスナにメイトチョッパーを向けた。
「やめろっ!」
「いいねぇ。俺はそういう顔が見たかったんだよ。キリト。おっと、動くなよ。こいつがどうなっても知らないぜ。」
「ちっ」
「ハハハッ。キリトよ。なぜこいつがアイテムを使えなかったかわかるか?」
「なに?」
「俺もユニークスキルを持ってるんだよ。俺は最初こいつを斬りつけただろ。アイテムを使えないのは俺のせいなんだよ。暗黒剣っていうスキルでなぁ、敵にいろんなバッドステータスを与えることができるんだ。」
そういうとPohはアスナの左足を切り落とした。切り落とされたアスナの左足はポリゴンとなって消えた。
「アスナっ!」
「おいおい。動くなよ。」
「き、き、り、、、く、、、」
「麻痺毒が強すぎて、うまくしゃべれないみたいだな。なに言ってるかわからねえよ。今斬ったので毒が追加されたはずだ。じわじわHPが減っていってるだろう。」
確かにアスナのHPは少しずつ減っていってる。
「おい。最後に何か言っておきたいことはないか?」
Pohがアスナに問いかけた。
「き、キリ、、、ト、く、ん。わた、し、、、、わ、、たし、、は
Pohの右腕が振り下ろされた。
キリトからメッセージが来てからだいぶ時間が過ぎた。二人は無事だろうか。マップ追跡すると洞窟の中に反応があったから洞窟まで来てみれば入口に大勢のプレイヤーが集まっていた。それも全員オレンジだった。あの二人はおそらく今襲われていて、脱出できない状況にあるんだろう。今は時間が惜しいので入口のプレイヤーはほおっておくことにした。剣舞のスキルと白雪のスキルでプレイヤーたちの頭上を飛び越えた。
それから少し走っていると前の方に集団が見えた。そのうちの一人は地面に倒れこんでいる。アスナだ。そしてそのそばに立っているのは、Poh!
するとPohは右手に持っているメイトチョッパーをアスナに向かって振り下ろした。
アスナの首から上と下は離れ、ポリゴンとなり、消えた。