負けたくない。例えここで殺されたとしても、腐っていくくらいなら最後まで戦う。絶対にこの世界には負けたくない。
そう思い私は剣を手にモンスターを屠る。迷宮区にこもり始めて今日で何日目だろうか・・・・・おそらく三日くらいだろう。おなかがすいた。なんでゲームなのにおなかがすくんだろう。どうせ何かを食べたとしても本当におなかが膨らむわけじゃなくて、ただの電子による電気的情報だというのに。本当に腹が立つ。
そんなことを考えながら私はソードスキルを発動し、モンスターに剣を突き立てる。
「キリトー。どう?だいぶマッピング進んだんじゃない?」
「ああ、だいぶ進んだな。」
私はキリトと二人で迷宮区のマッピングをやっている。ボス部屋はもう発見されたから、まだ未踏破のエリアをマッピングしているところだ。
「ユカ、止まれ。 前の方に誰かいる。」
「本当だ。一人みたいだね。」
私たちの索敵スキルに反応があった。索敵スキルというのはその名の通り、自分の周りにいるモンスターやプレイヤーを見つけ出すスキルだ。
「あっ! いたよ。」
「どうしたんだろう? 動かないな。」
前方には赤色のローブを装備したプレイヤーが立っていた。でも動かない。何かあったんだろうか。
そんなことを考えていると、赤ローブのプレイヤーの周りに大量のモンスターがポップした。
「やばい。行くぞ、ユカ。」
「うん。」
それを見た瞬間キリトは飛び出していった。私もそれについていく。確かにこのままだと危ない。
助けに行くために走っていると、暗い迷宮区が一瞬明るくなった。 赤ローブのプレイヤーがソードスキルを発動したみたいだ。
それはまるで流れ星、一瞬光っては消える。その流れ星は連続で繰り出され、さながら流星群のようだ。
・・・強い。このプレイヤーは間違いなく、トップレベルの実力を持っている。
「・・・何をしているの?」
赤ローブのプレイヤーはすべてのモンスターを倒してしまった。そのため、助けるために駆け付けた私とキリトはその場で止まり、なんとも微妙な立ち位置になってしまった。
「いや、その~、囲まれていたから助けようと思って・・・」
「必要ない。」
「え?」
「余計なお世話よ。どうせみんな死ぬんだから、助ける必要なんかない。」
そういうと赤ローブのプレイヤーは歩き始めた。
ドサッ
歩き始めたと思うと急に倒れてしまった。
「ど、どうしよっか?」
「・・・このまま放置するわけにもいかないだろう。」
というわけで、私は赤ローブのプレイヤーをおんぶして迷宮区を出た。
・・・ほんと、ナニコレ?
目を開けるとそこは草原だった。日の光がまぶしい。日の光を浴びたのは久しぶりだ。たしか、迷宮区で変な二人組とあって・・・・・
「あ! 目を覚ましたよ。」
「あんた、だいじょうぶか?」
どうやらこの二人組が倒れた私を迷宮区の外まで運んだみたいだ。
「余計なことを・・・」
「え? 余計なこと?」
「そうよっ。どうせみんな死ぬのよ。二か月たってもまだ第一層だってクリアできてないのよ。それなのにすでに二千人も死んでいる。
私たちはこのゲームから出られないのよ。」
このデスゲームが開始されて二か月がたった。しかし、まだ第一層すらも攻略されていないのだ。それなのにもう二千人も死んでしまった。絶対にクリアできるわけがない。
「そうでもないよ。」
「・・・どういうこと?」
「今日この後、第一層攻略会議が開かれるんだ。ゆっくりだけど確実にクリアには向かっているよ。よかったらあなたも参加したらどう?」
知らなかった。このところ迷宮区にこもりっぱなしだったからなぁ。
「私はユカ。そっちの男はキリト。 あなたは?」
「・・・アスナ。」
「よろしくアスナ。 もしよかったら一緒に攻略会議に参加しない? 私も女の子がいてくれた方がうれしいし。攻略組って男ばっかりだからさ。」
「・・・いいわよ。」
「よしっ! じゃあ、さっそく行こうか。」
こうして私はよくわからない黒ずくめの二人組と攻略会議に参加することになった。