ザッザッザッとどこぞやの軍隊のように並んで足並みを揃えながら全身を鎧に包んだプレイヤーの集団が歩いてきた。
「休めー!」
先頭にいたプレイヤーが号令をかけると後ろにいたプレイヤーたちは声を漏らしながらその場に座り込んだ。ここまで無理をしてきたんだろう。
先頭にいたプレイヤーが私たちに近づいてきた。
「私はアインクラッド解放軍、コーバッツ中佐だ。」
「キリト。ソロだ。」
「君たちはこの先も攻略しているのか?」
「ああ、ボス部屋の前まではマッピングしてある。」
「ふむ。ならそのマッピングデータを提供してもらいたい。」
「なっ!!タダで提供しろだと!マッピングの苦労が分かっていってるのか!?」
「我々はプレイヤーを解放するために戦っているのだ‼なら、我々に協力するのは当然の義務である‼」
キリトが代表して答えているとコーバッツというプレイヤーは滅茶苦茶なことをいい始めた。クラインが反論するも聞く耳持たないようだ。
「んだとてめえ!こちとらてめぇらに頼んだ覚えはねぇぞ!!」
どうやらクラインは先程の熱が収まってないらしい。
「待て、クライン。分かった。提供しよう。」
そういうとキリトはコーバッツにマッピングデータを送った。キリトはマッピングデータで商売する気はなく、コルはいらないらしい。
「協力感謝する。」
コーバッツは感謝など微塵もしていない様子で軍のメンバーに号令をかけ歩いていった。
「ねえ、キリト。ほんとによかったの?」
「…ああ、流石にボスに挑むようなことはしないだろう。」
キリトはそう判断したようだが、少し気になるのか軍の後を追うことにした。
軍の後を追いながら、でてくるモンスターを倒していると、ボス部屋の方から悲鳴が聞こえてきた。その悲鳴が聞こえた瞬間、まずアスナが、次にキリトとユカがボス部屋に走り出した。クラインたち風林火山はポップしたモンスターにあしどめされている。
ユカたちがボス部屋の前に着くと、ボス部屋の中は悲惨な状況だった。軍のプレイヤーはボスの攻撃を防ぐのもままならず、一方的にボスにやられていた。
「早く転移しろ!!」
「ダメだ。転移結晶が使えない。」
キリトが叫ぶも、ボス部屋は結晶無効化エリアらしく転移できないみたいだ。
「戦えー!戦うんだー!」
軍の中でコーバッツだけが戦おうとして退こうとしない。軍のプレイヤーもその指示に従い突撃するが、近づくこともままならないようだ。
するとボスがコーバッツに目をつけ、大きな剣を振り抜いた。コーバッツは空中に飛ばされ、俺たちの前に落ちると、そのままポリゴンとなり、消えた。
「だめよ…もう…」
「アスナ!待って!」
「ダメー!!」
ユカがアスナを止めようとするも、アスナはボスめがけて突っ込んでいった。ボスにソードスキルを発動させ攻撃を当てるも、反撃され床に叩きつけられる。ボスがアスナに追撃を仕掛けようと剣を振るうが、その攻撃はキリトがエリュシデータを剣に当てることでそらした。
「下がれ!」
その号令でアスナは一度後ろに引いた。
「ユカ、援護頼めるか」
「うん。いいよ。」
ユカはキリトの隣に並び白雪を抜いた。キリトはダークりパルサーも抜き戦闘体制にはいる。
ボスは再度剣を振りおろしてきた。ユカは白雪を黒く輝かせ、その攻撃をパリィする。
「スイッチ!」
キリトはそのまま二刀流ソードスキル・スターバーストストリームを発動。ボスを斬りつけていく。しかしこのソードスキルは隙が多い。ボスはその隙をつき攻撃を仕掛けるが、足を白く輝かせたユカがキリトの周りを走り回り、ボスの攻撃をすべてパリィする。
キリトのスターバーストストリーム16連撃目がボスをポリゴンに変え、ボスを倒したときになるファンファーレがボス部屋に鳴り響いた。
その後、軍のプレイヤーはお礼を言って帰っていき、クラインたちも帰っていった。私たち3人は75層を解放するためにボス部屋から75層に繋がる階段をのぼっている。
さっきの戦い、私は何も出来なかった。むやみにボスに突っ込んで、キリトくんに助けてもらって、キリトくんとユカがボスを倒すのを見ていることしか出来なかった。今思えば私はこの二人に助けて貰ってばかりだ。むしろ私のせいでキリトくんとユカを危険な目にあわしている。私がもっと強かったら…
「アスナ。どうかしたか?」
「大丈夫?」
「ううん。何でもないよ。」