キリトとアスナはクラディールを斬って斬って斬りまくったあと、黒鉄宮へのコリドーを開き、投げ入れた。その後、今回のことをヒースクリフに報告し、キリト、アスナ、ユカの3名は無期限の休暇を申請。ヒースクリフもこの3人にギルドを抜けると言われることを危惧し、これを承諾した。血盟騎士団本部を後にし、そのまま3人で夜ご飯を食べることになった。どうやらキリトが午前中にラグー・ラビットを捕まえたらしく、それをキリトとアスナの家でアスナの手料理をご馳走してもらった。
アスナの手料理はほっぺたが落ちるほど美味しかったことはいうまでもない。
それから2日後、私の部屋にインターホンが鳴り響いた。
「はーい。どちら様?」
私は玄関のドアのカギを外し、開ける。
「こんにちは!ユカおねえちゃん!」
「ふふっ。こんにちは。ユイちゃん!」
ドアを開けるとユイちゃんとキリトとアスナが立っていた。どうやら、私の家に遊びに来たらしい。
部屋の中ではキリトとユイちゃんが遊んでいる。
「キリト君って意外とこども好きなんだよね。」
「それは私も意外だったなぁ。」
「そうだよね。」
「そういえば、ユイちゃんは記憶は戻ったの?」
「うんうん。まだ戻らないみたい…」
「…そっか。」
まあ、そんな簡単にはもどらないか~。
「この後サーシャさんの所に行くんだけど、ユカも一緒に来る?」
「どうせ暇だし、私も行こうかな!」
「じゃあ、一緒に行こっか。」
私たちは一層でこどもたちと暮らしているサーシャさんのもとを訪ねた。
「こんにちは~。」
「こんにちはアスナさん、それにキリトさんとユカさんも。」
サーシャさんは私たちにお茶を出してくれた。
「そういえば、先日アスナさんとキリトさんがユイちゃんを迎えにこられた後に軍の人が訪ねてきたんですよ」
「軍が?」
「ええ。その人は穏健派の人で謝罪がしたいとのことで。あと何かお話があるみたいで。」
そう言うとサーシャさんはその軍の人にメッセージを飛ばした。
10分位するとその人は訪ねてきた。
「私はユリエールというものです。」
「血盟騎士団のアスナです。」
「キリトだ。」
「ユカです。」
「実は、厚かましいのですが頼み事がありまして…」
ユリエールさんの話によるとシンカーという人があのキバオウとディアベルに騙されて一層の地下にあるダンジョンに閉じ込められ、出てこれないらしい。助けに行こうにも強力なモンスターがいるため、シンカーが閉じ込められているところまで進めないから力を貸してほしいとのことだ。
私たちはそのダンジョンに行くことにした。ユイちゃんを連れて。
ダンジョンに出てくるモンスターはたしかに強かった。60層クラス、時には70層クラスのモンスターが出てくるので、軍が進めないのも無理はないだろう。
しかし、
「よし!ユイ!見てろよ。…スターバースト・ストリーム。」
「わぁー!パパかっこいいです!!」
キリトは調子に乗っていた。
「さすがパパです!」
「ねぇ、ユイちゃん!私も見ててね。」
そう言うとユカは全身に薄いピンク色のライトエフェクトを纏わせ
「トランザム!」
ユカも調子に乗っていた。
「ユカお姉ちゃんもかっこいいです!!」
その様子をアスナは笑いながら、ユリエールは信じられないものを見る様子で見ていた。
「あの、攻略組というのは、皆さんあんなに強いんですか?」
「え?いえ。あの二人は特別おかしいだけですよ。」
「そ、そうですか。」
付近のモンスターを倒しきったユカとキリトがアスナとユリエールとユイのもとに近づいてきた。
「なぁアスナ!後でこれを料理してくれよ。」
そう言うとキリトは何かの肉を取り出した。
「こ、これは?」
「さっきのカエルの肉。」
「絶対嫌!」
そう言うとアスナはキリトの手から肉をひったくり、オーバースローでダンジョンの奥に投げ捨てた。
「なっ!何するんだよ!…こうなったら。」
そう言うとキリトは両腕で抱えきれないほどのカエルの肉を取り出した。
「いやーーー!!」
アスナはその肉を次々と投げ捨てていく。いたるところでカエルの肉がポリゴンとなってパリンパリンと消えていく。
「ふっふっふっ。まだまだ肉はあるぞ。」
そう言うとキリトはまたカエルの肉をアイテムストレージから取り出した。
「…そっかぁ。キリト君、そんなにそのお肉食べたいんだ。なら、私が食べさせてあげるね。」
そう言うとアスナはカエルの肉をキリトの口の中に押し込み、詰め込み、ねじ込んだ。その時のキリトの顔には、SAOの倫理規定に違反したのかモザイクがかかっていた。
ユカは全力でユイの目を隠した。
なんやかんやでダンジョンの奥までやって来た。そしてプレイヤーの反応があった。
ユリエールはその反応がシンカーの物だと確信し、反応のあった方に走る。
「シンカーー!」
「ユリエール!」
この時ユカとキリトの索敵スキルに反応があった。
「来ちゃダメだ!!その通路は
ユリエール目掛けて凶刃が降り下ろされた。
キリトとユカはユリエールに攻撃が当たるよりも一瞬速く、ユリエールを抱えて避けた。
「ユリエールさんはシンカーさんのもとに!アスナもユイをそっちに!!」
ユイとユリエールはシンカーのいる安全エリアに避難して、キリト、アスナ、ユカの三人が死神のようなモンスターと対峙する。
「俺の識別スキルでも何もわからない。おそらく90層クラスだ。」
「さすがにこれは厳しいね。」
「私たちが時間を稼ぎます。その間に転移してください!ユイを頼みます!」
モンスターは武器である大鎌を降り下ろしてきた。ユカは鬼舞を発動させ白雪を黒く輝かせ、攻撃をパリィしようとする。しかし、それはかなわず、攻撃の軌道をそらせるのがやっとだった。
「鬼舞でも無理か…」
死神のようなモンスターは次にキリトとアスナに向かって攻撃を仕掛けた。二人は剣を重ねて攻撃を防ごうとするが、後方に飛ばされた。二人とも半分くらいHPが減っている。
ユカはモンスターに向かってピックを投げヘイトを自分に向けた。モンスターは攻撃を仕掛けてくるが、ユカはそれを避けることに専念した。幸い、この場所は壁と天井に囲まれている。剣舞と白雪のスキルを活かすには絶好の場所だ。
しかし、モンスターの動きはユカの予想を大きく上回った。大鎌を振り回し、壁や天井などお構いなしに斬りつけていく。ユカはそれを避けきれず、白雪で受けてしまい壁に叩きつけられる。
「まて!ユイ!」
「ユイちゃん!」
三人が動けないでいるとユイが1人で死神のようなモンスターの前に立った。そして空中に浮かび、とてもプレイヤーに振り回せる長さではない長剣をどこからともなく取り出し、モンスターを斬った。斬られたモンスターは炎に包まれそのままポリゴンとなり消えた。
あのあと、ユイちゃんはアイテムに姿を変えた。
ユイちゃんはMHCP001、メンタルヘルスカウンセリングプログラム試作1号というSAOを管理するプログラムの1つだったらしい。システムのエラーとして、SAOを管理するメインシステム・カーディナルに消去されようとしたところを、キリトがダンジョンの奥にあるシステムコンソールを操作し、ユイちゃんをシステムから切り離し、オブジェクトしたのだ。
ダンジョンの奥ではアスナのすすり泣く声がしばらくの間響いていた。