キリトに双子の妹がいたとしたら   作:たらスパの巨匠

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妹はかなりの脳筋です

リーファが再びログインしてすぐに私たちはルグルーを出ることにした。なんでも、シグルドがシルフを裏切ったらしい。

 シルフとケットシーが世界樹攻略を目的に同盟を組むため、蝶の谷という場所で会談を行うらしいのだが、シグルドがその情報をサラマンダーに流し、会談場を襲わせるつもりらしいのだ。

会談はもうすぐ始まるらしいので、私たちは洞窟内を走っている。

 

 「ユカ、本当に良かったの?」

 

 リーファはシルフ、ケットシー、サラマンダーの問題に私を巻き込むのを悪いと思っているみたいだ。

 

 「全然いいよ。こうして世界樹まで案内してもらってるし、リーファがいなかったらここまで来るのにもっと時間かかったと思うし。」

 

 「・・・ありがと。」

 

 洞窟内を爆走していると、前方にモンスターの群れが現れた。かといって相手をしている時間はない。

 私はリーファの腕をつかむ。

 

 「行くよリーファ!」

 

 「へ?ちょ、きゃああああああああ」

 

 リーファの腕をつかんでモンスターたちの間を走り抜けたり、壁を走ったりして洞窟内を爆走する。ユカたちを追いかけるモンスターたちが列を作っていた。

 やがて出口が見えてくる。

 

 「リーファ!飛ぶよ!」

 

 ユカはリーファの返事を聞かずに洞窟の出口の先にある崖から飛びあがる。洞窟内のモンスターたちは飛行能力を持っていないので崖から落ちるか、もしくは洞窟内に戻っていく。急に空中に投げ出されたリーファも体勢を立て直し、空中で静止していた。古参なだけのことはある。

 

 「し、死ぬかと思った・・・」

 

 リーファはげんなりしている。

 

 「まあ、時間短縮になったけど。これじゃあ別のゲームだよ・・・」

 

 リーファは納得いかないようだった。

 

 

 

 

 

 洞窟を出た後、急いで蝶の谷を目指すが、間に合わなかったみたいだ。遠くにサラマンダーの軍勢と十人くらいのシルフとケットシーがいる。このまま何もしなければシルフとケットシーがサラマンダーの軍勢に蹂躙されるだろう。

 ただ見ているわけにはいかない。なにより怨敵が目の前にいるのだ。シルフもケットシーも知ったことではないとサラマンダー相手に聖戦を仕掛けようかとも思ったが、さすがにリーファに悪いし、そんなことしてる場合ではない。

 ・・・あれ?これ結構良い案なんじゃないかな?サラマンダーは100人もいない。70人くらいかな。今まで戦った感じ、このくらいならどうにかなりそうな気がする。(普通どうにかなるようなものではありません)

 

 「リーファ。こういう作戦を思いついたんだけど。」

 

 「・・・え?正気?」

 

 

 

 

 

 

 

 シルフとケットシーがサラマンダーと対峙している。私は両者が対峙している中央に急降下すると砂煙が舞った。

 

 「な、なんだ!?」

 

 「サクヤ。」

 

 「リ、リーファ!どうしてここに!?いや、それよりこれはどういう状況だ?」

 

 シルフの領主であるサクヤは状況が理解できずに混乱している。

 

 「えーっと、簡単には説明できないの。とりあえず、もしもの時はあのスプリガンの人を支援してあげて。回復魔法で。」

 

 「え?あ、ああ。」

 

 砂煙が収まると、ユカがサラマンダーに向かって叫ぶ。

 

 「指揮官に話がある!」

 

 

 すると、サラマンダー達の中からいかつい大男が出てきた。

 

 「スプリガンが何の用だ。その度胸に免じて話は聞いてやろう。」

 

 「私の名前はユカ。スプリガンの大使です。ここにはシルフとケットシーと会談をするために来ました。この会談を襲うということは三種族を敵に回すと考えていいんですね?」

 

 「護衛もつけていない貴様が大使だとは信じられんが・・・」

 

 そういうと指揮官の男は背中の大剣を抜いた。

 

 「俺の攻撃を30秒耐えきったら信じてやろう。」

 

 指揮官の大男は結構な戦闘狂のようだ。

 

 

 「まずいな。」

 

 「そうだね。あれは魔剣グラム。ってことはあの人がユージーンだろうね。」

 

 「サクヤ、アリシャさん。あの人のこと知っているの?」

 

 「ああ、サラマンダー最強と言われる男だ。そしてあの魔剣にはエセリアルシフトっていう剣や盾で攻撃を受けようとしたときに非実体化しすり抜けてくるエクストラ効果がある。」

 

 「そ、そんな無茶苦茶な。」

 

 

 

 

 

 

 

 私もユージーンと戦うために剣を抜く。

 

 「ではいくぞ。」

 

 そういうとユージーンは斬りかかってきた。

 私はユージーンの剣をスイルベーンで買った刀・氷華で受け、攻撃を逸らそうとした。しかし、ユージーンの攻撃は氷華をすり抜ける。私はそれを確認した瞬間身を逸らすが、頬に少しかすってしまった。

 その後ユージーンに斬りかかるが、ユージーンはユカの攻撃を剣で受けた。一度距離をとる。

 

 「ほう、ぎりぎりとはいえかわしたか。やるな。」

 

 私の攻撃を受けたことから、おそらくあの剣は任意で攻撃をすり抜けさせるか、相手が攻撃を受けようとしたときに攻撃がすり抜けるのだろう。

 種が分かれば戦いようがある。攻撃を受けずにパリィするか、連続攻撃で相手にまともに攻撃させなければいい。または全て避ければいい。おそらく速さではこちらが上だろう。

 今度はユカから斬りかかる。ユージーンの周りを飛び回り、上下前後左右から斬りかかる。ユージーンは攻撃を防いでいたが、次第に防ぎきれなくなり一度後方に下がった。

 

 「もう30秒たってるんじゃない?」

 

 「悪いな、首をとるまでに変更だ。」

 

 (指揮官というだけはあって強いな。ソードスキルを使わない片手剣のキリトくらいかな?)

 

 そう言うとユージーンはユカに斬りかかるが、ユカは、その攻撃を全て回避する。それに対して、ユージーンはみるみるHPが減っていく。

 ユージーンは魔剣グラムを所持しており、全種族最強とも言われている。そのため勝つ自信があった。

 だが、今回ばかりは相手が悪かった。

 SAOの攻略組の中で、誰がPvPで一番強いのかは明らかではない。装備による相性もあるだろう。だが、ソードスキルを使わない、ソードスキルのシステムアシストなしでの戦闘においてはユカの右に出る者はいなかった。そして、SAOサバイバーは二年間、命がかかった極限状態で戦ってきた。

 そして、ここはALO。ソードスキルはない。現状、剣の戦いでユカに勝てる者はいなかった。

 

 「おらあああああ。」

 

 ユージーンが何とか状況を打開しようと剣を上段に構えて大振りするが、そんな攻撃が当たるはずもなく、大きな隙ができた所をユカに怒涛の連撃を叩き込まれ、魂となり燃えながら落ちていった。

 

 「見事!見事!」

 

 「すごーーい!ナイスファイト!」

 

 もともと会談が行われるはずだった場所でサクヤやアリシャ達シルフとケットシーが歓喜の声を上げているが、その中でただ一人リーファだけが顔を青くして祈るように両手を合わしていた。

 サラマンダー達も二人の戦いに魅せられて、拍手や歓声を送っている。

 そんな時、ユカが近くにいた1人のサラマンダーのプレイヤーに斬りかかり、両断した。まさかこんな雰囲気の中で斬りかかると思ってもみなかったサラマンダーやシルフ、ケットシーのプレイヤーたちは絶句している。

 リーファだけがあちゃーと額に手をやっている。

 

 「・・・この中に、私の不名誉な噂を流した者がいるはず。」

 

 ユカがそう言うと、サラマンダー達がざわざわし始める。

 

 「もしかしてあいつが言ってた・・・」

 

 「たしか討伐命令も出てたはず・・・」

 

 「たしかに特徴が一致するな。長い髪に夢も希望もない貧乳だ・・・」

 

 ユカはサラマンダー達に向かって突撃した。


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